議会報告 【文教委員会】 平成22年8月3日 「いじめ問題について」

火曜日, 8月 03, 2010

≪ いじめ問題について ≫

 

(一)いじめ追跡調査について

(二)今後の指導について

(三)意識の高揚について

 

平成22年8月3日

質問者 : 自民党・道民会議 千葉英守

 

(一)いじめ追跡調査について

 

 先ごろ、文部科学省の国立教育政策研究所が「いじめ追跡調査」の結果を発表した。

 この調査は、平成16年から平成21年までの6年間、ある市の全小中学校19校の小学校4年生から中学校3年生を対象にいじめに関する行動を調査したものである。

 その中で、調査開始当時の小学校4年生については、中学校3年生になるまでの6年間を通算して行動分析が行われているが、その結果、6年間を通していじめられもせず、いじめたこともないという子どもは僅かに1割程度にしか過ぎない、裏返せば9割の子どもは加害者か被害者、あるいはその両方の立場でいじめにかかわっていたことが、明らかになったということである。

 この調査は「いじめられていると聞いたことがある」「いじめを見たことがある」という伝聞情報などを集めたものではなく、子どもたらが自分白身のことを回答したもので、極めて客観性の高いデータであるということである。この調査結果をどのように受け止めているのか伺う。

 

所 管 : 学校教育局(生活指導・学校安全)

答弁者 : 学校教育局参事  

 

国の調査結果についてでありますが、  

 

○ この度、国立教育政策研究所が公表した「いじめ追跡調査」において「いじめ」は、特定の年度や学校に多く発生したり、特別な課題を抱えた子どもに発生したりするものではないことを示すデータが明らかにされ、そのことを踏まえ、いじめを減らすためには、いじめが起きにくい学級や学校をつくるなどの未然防止の取組が必要であるとの対応策が示されたところ。

 

○ こうしたことから、道教委としては、各学校や市町村教育委員会においては、「いじめは、どの学校でも、どの子にも起こり得る」ことを再認識し、危機感と緊張感を継続しながら、いじめの問題に取り組んでいく必要があると考えており、特に、児童生徒の好ましい人間関係を構築するなどの未然防止の取組に重点を置いて取り組むよう、この度の調査結果も活用しながら引き続き働きかけてまいる。

 

 

(二)今後の指導について

 

 道教委は「いじめはどの学校でも、どの子どもにも起こりうるという認識が必要である」として、保護者や地域との連携を図りながら学校の取り組みを強化するよう指導してきたところである。しかし「どの子にも起こりうる」と言いながらも、9割の子どもがいじめの当事者となることまでは想定していなかったのではないかと考える。

 また、先般道教委が実施した調査では、取り組みに対する学校の認識と保護者の受け止め方に大きな乖離があることが明らかになった。 

 この「いじめ追跡調査」の結果を、教員だけではなく保護者にも広く周知して積極的に活用すべきと考えるが、今後の指導にどのように取り組むのか伺う。  

 

所 管 : 学校教育局

答弁者 : 学校教育局次長

 

「いじめ追跡調査」の結果の活用についてでありますが、  

 

○ いじめの問題にかかわっては、これまでも、学校と家庭・地域が連携して対応するよう指導してきたところであるが、先に実施した、いじめの問題への取組にかかる保護者アンケートにおいては、学校がいじめの問題に取り組んでいることが保護者には十分に伝わっていない状況が見られたところであり、道教委としては、様々な機会を活用して、保護者に対する情報提供や広報活動を行うよう各学校や市町村教育委員会に対し指導しているところ。  

 

○ 今後は、こうした取組と合わせ、学校と保護者がいじめに関する理解を一層深め、連携して取り組むことができるよう、国の調査結果に示されている小学校4年生から中学校3年生までの6年間に、いじめとかかわりのある児童生徒は9割に達することや、児童生徒がいじめの加害に向かう要因及びいじめを減らすために必要なことなどについて啓発資料を作成し、各学校や市町村教育委員会、北海道PTA連合会に配布してまいる。  

 

○ また、いじめの未然防止の取組を各学校が進めるためには、児童生徒の好ましい人間関係を構築することが必要であることから、今年度から「子どもの人間関係づくり推進事業」において 

・中学校区における児童生徒の交流 

・人間関係を築くために必要な知識や技能を身に付けせる活動

などに取り組んでいるところであり、本年度末には、その成果を各学校や市町村教育委員会に周知してまいる。  

 

 

(三)意識の高揚について

 

 しっかりと取り組むとのことだが、先日残念な報道があった。ある道立高校に今年度着任した二人の教員が、たまたま出会った高校の卒業生と酒を飲んだところ、その中に未成年者がいたとして警察から厳重注意を受けたそうである。未成年と知りながら飲んでいたわけでないようで、そうであればそれほど目くじらを立てることもないかとも思うが、その先が問題である。卒業生が帰った後、教員二人で飲んでいるうちにけんかになり、殴られた教員が警察に通報したことからパトカーや救急車が出動する事態となった。外はもう明るくなっていたのではないかと思われる午前4時頃まで酒を飲んだ挙げ句けんかに及び、殴られたからと110番通報してパトカーが出勤する騒ぎを起こすというような教員の指導を、果たして生徒は受け入れるだろうか。

 体罰、セクハラをけじめ不祥事により教員の処分が後を絶たず、昨年度は64件、今年度も20件に及んでいる。教師としての意識が低く、自覚と緊張感に欠けているのではないかと指摘せざるを得ない。毎年実施されている、いじめなど「児童生徒の問題行動調査」の結果も近々公表されるだろうが、その状況も見ながら保護者、道民の期待に応えられるよう、学校はいじめ問題に背筋を伸ばして取り組んで欲しい。教育長に見解を伺う。

 

所 管 : 学校教育局(生活指導・学校安全)

答弁者 : 教育長

 

教員の意識などについてでありますが、

 

○ 先日公表したいじめの問題への取組に係る保護者アンケートからも、いじめの未然防止、早期発見・早期対応のためには、学校が地域や家庭と一体となって、取り組むことの重要性が改めて確認されたところ。  

 

○そのためには、直接児童生徒の教育に携わる教員が地域や家庭の信頼を得ることが何よりも肝要であり、学校はそうした信頼があってはじめて、実効性のある取組を進めることができるものと考えているところ。  

 

○ しかしながら、教員の不祥事は跡を絶たず、また、この度、御指摘の道立学校の教員による事故が発生しており、児童生徒はもとより、地域や保護者からの信頼を著しく損なう事態を招いたことは誠に遺憾であり、大変申し訳なく思っているところ。  

 

○ 私としても、よき師とのめぐり会いは、その人とのかかわりの中で、自ら学び成長する契機となるとともに、人生の転機を迎えることであり、他の何ものにも替えがたい宝となるものであると考えております。  

 

○ 教師と児童生徒の信頼関係が基本であり、そうした意味で教壇に立つ教員は教育公務員としての自覚と責任をもって、自らを律し、日ごろから研鑚に努めていくべきものと考えており、各種研修会はもとより様々な機会を捉えて、学校や先生方にしっかりとそうしたことを伝えてまいりたい。

 

○ 道教委としては、今後、さらに教育公務員としての倫理観や使命感を高め、児童生徒はもとより、地域や保護者をはじめ道民の信頼を得て、いじめの問題を含めた教育課題に常に緊張感を持って取り組んでいくことができるよう、教員の服務規律の厳正な保持について強く指導してまいる考え。

 

 

 



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