議会報告 【文教委員会】 平成22年5月11日 「教職員の服務規律に関する調査について」

火曜日, 5月 11, 2010

《 教職員の服務規律に関する調査について 》

 

 (一) 文部科学省の調査依頼について

 (二) 調査の必要性について

 (三) 調査内容について

 (四) 道教委の権限について

 (五) 教育委員会の議論について

 (六) 違法な選挙活動に関する通知について

 (七) 北教組からの聴取について

 (八) 今後の対応について

 

 

 平成22511

質問者:自民党・道民会議 千葉 英守 

 

 

(一) 文部科学省からの調査依頼について

 

 我が会派は、先の第一定例会において、本道5区選出の小林議員陣営に対する北教組の政治資金規正法違反事件と幹部の逮捕、教員の違法な選挙活動や勤務時間中に行われている組合活動、卒・入学式における国旗・国歌の取扱い問題などについて、独白に入手した北教組の内部資料などに基づき、教育長の見解を伺ったところであるが、この問題は、国会においても我が党の議員が取り上げ、鳩山総理大臣をはじめ文部科学大臣など関係閣僚の見解を質したところである。はじめに、国会の会議録から、関係大臣の答弁を紹介する。まず、文部料学大臣は、このように答えている。「北教組における逮捕者まで出した事件において、教育現場の中立性が著しく損なわれているではないかという国民的不安と、懸念が起こっていることは事実でございます。教育公務員特例法第18条第1項に違反する事態ではないかという指摘があるのを踏まえて、道及び札幌市教育委員会において、事実関係としてこの法令違反があるのかどうか、徹底的に調べなさいということを、今指示しております。」「教育に関わる団体という意味で、教育現場における子どもたちを含めて、父兄、国民に対して大変な不安と動揺を与えた今回の事態は、極めて遺憾なことだというふうに思っております。」「教育現場において、教育公務員特例法に違反している事例があれば、ゆゆしきことである。こういうことがあるとしっかり調べて報告してくださいとお願いしている。真っ正面から、起こってはいけないことが起こっているのではないか、もし起こっていたら、それは許し難いことであるということを踏まえて対応していることだけは、御理解頂きたい。」

 次に、鳩山総理の答弁である。「聖職者であるべき教職員のあり方、その中での教育公務員特例法第18条第2項のお尋ねがございました。もっともな部分もあるな、そのように私も思っているので、文部科学大臣に検討させたい。」「北教組の、私どもから見ればかなり偏った意見というものが盛り込まれた指導がなされていると、そのように理解致します。従いまして、先ほど文部科学大臣も、その実態をしっかりと調査しながら、正すべきは正して行かなきやならぬと、そのようにも思っておりますし、私としてもそのような方向で努力することが必要ではないかと、そのように考えております。」つまり、「北教組の事件が子どもたちをはじめ保護者、国民に、大きな不安や動揺を与えていることは事実であり、極めて遺憾である。起こってはいけないことが起きているとしたら、許されないことだ。法令違反という指摘を踏まえ、文部科学大臣として道教委及び札幌市教委に、徹底的に調べるよう指示をした。聖職者であるべき教員のあり方について、指摘されたことはもっともである。北教組の偏った意見が盛り込まれた指導が行われているので、実態をしっかりと調査し、正すべきは正して行かなければならない。」ということである。法治国家の責任有る立場として、当然の答弁であり、ほとんどの国民もそのような思いであろうというように考える。そこで、以下、伺って参る。

 

 
 

 文部科学省からの調査要請は、このような総理大臣や文部科学大臣の考え方を踏まえ、国会や道議会で取り上げられた事例や報道された事例、つまり北教組が行っているとされるさまざまな違法活勤について、国民の前にきちんと実態を明らかにし、正すべきものを正していかなければならない。そのために、任命権者である道教委及び札幌市教委において、徹底的な調査を行って欲しいというのが、文部科学省の要請の趣旨であると考えるが、見解を伺う。

 

 

所 管 : 教育職員局参事(渉外)

答弁者 : 教育職員局参事(渉外)

 

 

文部科学省の調査要請についてでありますが、

 

 

○ 文部科学省からは、北教組の活動についての報道や国会において違法のおそれがあると指摘された事項に関し、それらが事実であれば、ゆゆしき事態であることから、事実確認を行うよう要請があったところであり、道教委としては、このことも踏まえ、学校教育に対する道民の信頼を確保するため、任命権者として、しっかりと調査することも必要と考え、現在、服務規律等の調査を行っているところ。

 

 

 

() 調査の必要性について

 

 

 

 我が会派は、先の第一回定例会において、代表質問をはじめ一般質問や予算特別委員会の議論を通じ、北教組の明らかに違法と思われるさまざまな活動について、独白に入手した北教組の内部資料などを示しながら問題点を指摘するとともに、実態を把握のうえ厳正な対処と是正に努めることが必要であると言ってきたところである。それに対して教育長は、事実関係を調べ違法な事案については、厳正に対処するという趣旨を答えた。道教委が行う今回の調査は、この答弁を踏まえたものと考えるが、改めてこの調査の必要性について、教育長の認識を伺いたい。

 

 

所 管 : 教育職員局参事(渉外)

答弁者 : 教育長

 

  

調査の必要性についてでありますが、

 

 

○ この度の北教組にかかわる事態を受けて、子どもたちや現場の教職員、保護者や地域の方々の不安を取り除き、学校教育に対する道民の信頼を確保するために、教職員の服務規律の状況などについて調査を行うもの。

 

 

○ 道教委としては、この調査を通して、教職員の服務規律の状況や職員団体の活動による学校運営への影響について明らかにするとともに、正すべきことは正し、校長がその権限と責任のもとリーダーシップを発揮し、適切な学校運営が行われていくことができる環境を整えていくことが、なによりも大切であると考えているところ。

 

 

 

(三) 調査内容について

  

ところが、先月の文教委員会でも発言があったように、一部にはこの調査が、職員団体に対する不当労働行為に当たるとか、職員の思想・信条を犯すものだという意見がある。さらに、なぜそのようなことになるのか理解に苦しむところだが、この調査は教育現場を混乱させるとか、教職員を萎縮させ信頼関係を崩すなどという主張がある。私は、調査の質問内容や実施方法などからすれば、そのような見方は当たらないと考えるが、道教委の見解を明確にお示し願いたい。

 

 

 

所 管 : 教育職員局参事(渉外)

答弁者 : 教育職員局長 

 

調査内容についてでありますが、

 

 

○ 今回の調査は、学校教育に対する道民の信頼を確保するため、教職員の服務規律の状況や職員団体の活動による学校運営への影響について、法令や学習指導要領に反する違法な行為や不適切な行為の事実確認を行うため、聴き取り等の方法によって調査するものであり、法令上、特段の問題はないものと考えているところ。

 

 

(四) 道教委の権限について 

 

 道教委が議会答弁で「法令上、職員団体に対して調査を行う権限はない」と答えていることを引き合いに出し、道教委がこの調査を実施することに疑問符を付けるような意見がある。しかし、私は、現行法に照らせば道教委及び札幌市教委には、任命権者として法令等に違反する行為の有無など教職員の服務状況全般について調査する、堂々たる権限が与えられており、それだからこそ文部科学大臣が国会において「徹底的に調査するよう指示した」という答弁を行ったものと考える。この調査を実施する道教委の権限について、これも明確に見解をお示し願いたい。

 

 

所 管 : 教育職員局参事(渉外)

答弁者 : 教育職員局参事(渉外)

 

 

調査についてでありますが、

 

 

○ 道教委としては、法令上、職員団体に対しては、調査を行う権限はありませんが、この度の調査は、教職員が法令や学習指導要領に反する違法な行為や不適切な行為を行っていたかどうかなど、教職員の服務規律の状況などについて任命権者として調査するものである。

 

 

 

(五) 教育委員会の議論について 

 

 この調査の実施について道教育委員会に報告した際、委員からは心配する意見が述べられたという声が聞かれる。委員からは、どのような意見が述べられたのか、伺う。

 

 

所 管 : 教育職員局参事(渉外)

答弁者 : 教育職員局長

 

 

教育委員会の議論についてでありますが、

 

 

○ 教育委員会の会議において、委員からは、職務に専念する義務については、公務員として住民への責任を果たすという観点からきちんと対応していただきたい、新年度という時期的なことや、量が膨大であることから円滑に調査が進められるのか心配なところがある、などの発言があったところ。

 

 

○ 道教委としては、学校において調査を進める中で、疑問な点が生じれば適切に対応していくとともに、調査期日についても、市町村教育委員会や学校の進捗状況を見極めながら必要な対応をしてまいる考え。

 

 

() 違法な選挙活動に関する通知について

  

 日教組の委員長は臨時大会において、政治資金規正法違反容疑で北教組の幹部が逮捕された事件に関連し、教職員組合が、団体として特定の候補者を推薦することは禁止されてはいないことを強調したうえ、法令遵守を徹底しながらこの夏の参議院議員選挙に総力を挙げると述べたと伝えられている。 総力を挙げるとは、推薦した候補者の当選を目指し、組合員を総動員して選挙活動を行うということだろうが、教員たる組合員が選挙運動や政治活動を行うことは、教育公務員特例法などにより禁止されているところである。 315日の文教委員会で、時間外や土、日の自分の時間の中で、どういう活動をするかまで制約されているのか、疑義があるという発言もあった。また、自宅の壁に、参議院議員選挙立候補予定者の看板を掲げている教員もいる。 しかし、教育における政治的中立を確保するため、公立学校教員の政治的行為は、公職選挙法や教育公務員特例法によって、いわば時間、場所を問わず制限されているのである。

 先の第一回定例議会で教育長は、教員が違法行為を行わないように、新年度早々に違反行為などを具体的に示して通知するとのことだったが、どうなっているのか伺う。

 

 

所 管 : 総務政策局教職員課

答弁者 : 教職員課服務担当課長

 

 

通知についてでありますが、

 

 

○ 公職選挙法では、職員団体が公職の候補者等を推薦する行為を制限する規定はないところであるが、個々の教育公務員の政治的行為については、教育の政治的中立性の原則に基づき、教育公務員特例法などの法令により厳しく禁止されているところ。

 

 

○ 道教委としては、政治資金規正法違反により、子どもたちの教育に携わる教職員が加入している職員団体の幹部が逮捕・起訴されたこのたびの事態を受け、教職員一人一人が法令を遵守し、服務規律の確保が図られるよう、過日、市町村教育委員会等に対し選挙用ポスターを貼ってまわること、教員等としての地位を利用して電話で投票を依頼することなど教育公務員特例法により適用される国家公務員法に基づく人事院規則に違反する行為や公職選挙法に違反する行為などの具体的な事例を通知し、学校における教職員一人一人に対する周知や指導の実施状況について報告を求めたところ。

 

 

 

(七) 北教組からの聴取について

  

 第一回定例議会で教育長は、北教組の3人の幹部が政治資金規正法逮反容疑で逮捕され取り調べを受けた後、最高責任者が起訴された事件について、子どもたちの教育を担う教員の組合であり、与えた影響も大きいとして、北教組から事情を聴取したいとの考えを示された。どのように対応したのか伺う。

 

  

所 管 : 教育職員局参事(渉外)

答弁者 : 教育次長 兼 教育職員監

 

 

北教組からの聴取についてでありますが、

 

 

○ 北教組の幹部からの事情の聴取については、今回の調査の内容をとりまとめの上、聴取する内容や実施時期、方法等を検討し、実施することとしている。

 

 

 

(八) 今後の対応について

 

 これまでの文教委員会で、学校備品を組合用務に使うことについて、ぎすぎすしすぎると、いろんな面で支障が出るとか、服務規律に関して地域や保護者の方々から情報を寄せてもらおうとすることについて、要らざる不信、不安をあおることが懸念される、学校運営は話し合って民主的に決めたものであり、スムーズに行ってきたのだから、それを尊重すべきだなど、北教組と仲良くやったら良いのではないかというような意見もある。しかし、教育委員のどなたかも指摘されたとのことだが、ずさんな公務員の労使関係が国民の威しい批判を浴びた事例は、枚挙に暇がないと言える。この数年だけでも社会保険庁、農林水産省をはじめ、黙認していた管理職も含め4千人以上の処分が行われ、不正に受け取っていた給与、およそ27千万円の返納が行われた道開発局のヤミ専従問題などに、国民から厳しい批判の声が挙がったところである。おそらくこれらの問題も、「まあ、そのくらいは上手くやっておけ」といったことが、次第に「正当な権利である」というようにエスカレートして行き、不当な要求を認めることが民主的な職場づくりであるという誤った考え方が定着していったのではないかと考える。現場で馴れ合って上手くやれば良いのだというのは、通用しないのである。「この調査の実施に関しては管理運営事項であり、交渉事項とはならないという道教委の姿勢は、これまで構築されてきた教職員と校長の信頼関係を崩す」という主張もあるが、それを裏返せば、何でも校長交渉で決めるのが当たり前という北教組の闘争方針が、いかに蔓延しているかを物語るものと言うべきであると考える。これまで法令に反することを、それが当たり前として行っていた者は萎縮するかもしれないが、きちんとしていれば萎縮するようなことは何もないのである。はじめに大臣答弁を紹介した際に、法治国家の責任者として当然の答弁と申し上げた。無法状態を放置する「放置国家」にしてはいけない。極めて大事な調査である。しっかりと調査結果をまとめて頂き、その結果に基づいて正すべきは正して行くべきであると強く申し上げるとともに、教育長の決意を伺いたい。

 

 

所 管 : 教育職員局参事(渉外)

答弁者 : 教育長

 

  

今後の対応についてでありますが、

 

 

○ 道教委としては、今回の調査をしっかりと行うことが、学校教育に対する道民の信頼の確保につながると考えているところであり、教職員の服務規律の状況や職員団体の活動による学校運営への影響について事実を確認した上で、明らかな法令違反が確認された場合は厳正に対処し、校長がその権限と責任のもとリーダーシップを発揮して、適切な学校運営が行われるよう支援に努めてまいる。

 

 

 



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