議会報告 【予算特別委員会】 平成22年3月17日 「北海道劇場について」

水曜日, 3月 17, 2010

≪ 北海道劇場について ≫ 

 

(一)北海道劇場に係る経緯について

(二)北海道劇場の理念について

(三)札幌市との関わりについて

(四)劇団四季の北海道進出について

(五)道内の舞台芸術団体の活動状況について

(六)北海道の舞台芸術振興のあり方について

(七)道内の演劇等の情報発信について

(八)舞台芸術拠点について

(九)北海道の役割について

(十)北海道劇場基本計画について

 
 
平成22317
 質問者:自民党・道民会議 千葉 英守

 

  

(一)北海道劇場に係る経緯について

 

 北海道劇場についてお伺いします。札幌市は、北海道新幹線札幌延伸を踏まえて、札幌駅周辺整備構想を考えなければならない時期がきており、先般、北海道劇場建設予定地でありました中央区北5条西1丁目の土地についてどのようにされるか照会があり、知事は札幌市に対して、あの場所での北海道劇場建設を断念する旨の回答をされたのであります。その経過について、お聞きします。また、北海道劇場についての札幌市との協議はどのようになっていたのか経緯を含めてお伺いします。

 

所 管 : 環境生活部生活局道民活動文化振興課

答弁者 : 道民活動文化振興課参事

 

北海道劇場に係る経緯についてでありますが、

 

○ 北海道劇場については、平成208月開催の知事と市長が出席する道・札幌市行政懇談会においてその方向性や市のまちづくり構想などが話題となったところ。

 

○ その後、札幌市においては、まちづくりの観点から、北海道劇場基本計画で劇場の敷地付設としている北5条西1丁目街区を含む札幌駅周辺地区の再整備構想案を平成22年度中に策定することとしていることから、昨年12月に、この街区における劇場整備の有無について速やかに検討願いたい旨の文書をいただいたところ。

 

○ 道としては、道財政が今後とも極めて厳しい状況が続くことが見込まれることから、現時点において整備の見通しを示すことは困難な状況にあるため、市の再整備構想案の策定に当たっては、北海道劇場の整備を前提としないで検討を進めていただくようお伝えしたところ。  

 

○ 今後、札幌市との間では、市が計画している市民交流複合施設に関して、情報交換、意見交換を行うと共に、同街区における劇場の整備を前提とした北海道劇場基本計画については、道として主体的に見直しを進めて参る考え。    

 

 

(二)北海道劇場の理念について

  

 経過についてはわかりました。私は、文化とは、かねてから心豊かな生活には、ゆとりや潤いが必要であり、文化は人々の暮らしの潤滑油と思っております。平成6年に制定した北海道文化振興条例には、すべての人が文化を享受することが出来る生活文化圏を築いていくものとあり、道立劇場はその目標を具体化するための重要な手立ての一つとあります。「道立劇場構想」は生かしていかなければならないと思っております。見解を伺います。

 

所 管 : 環境生活部生活局道民活動文化振興課

答弁者 : 道民活動文化振興課参事

 

北海道劇場の理念についてでありますが、  

 

○ 委員のご指摘のとおり、平成9年に策定した道立劇場基本構想においては、道立劇場は北海道文化振興条例の目標を具体化するための重要な手立ての一つとして、位置づけているところ。  

 

○ 今後、基本計画の見直しにあたっては、基本構想で示した道立劇場の理念等を踏まえ、今後の舞台芸術の振興のあり方について、検討して参りたい考え。

 

 

(三)札幌市との関わりについて

 

 私は、当時札幌市議会議員でしたが、記憶では、文化行政の道と札幌市の暗黙の役割分担を行ったと思います。道は道立劇場を中心とした演劇振興、札幌市は、音楽ホール・キタラを中心とした音楽振興とのことであったと思います。札幌市は、道立劇場建設に対しても支援を続けてきたと思うが、どのような支援だったのか伺います。

 

所 管 : 環境生活部生活局道民活動文化振興課

答弁者 : 道民活動文化振興課参事

 

札幌市との関わりについてでありますが、

 

○ 北海道劇場の整備に関して、平成9年以降、数次にわたり札幌市から道に対し、札幌駅南口東街区への立地について要請があり、道としては、立地場所として、場所がわかりやすく、交通アクセスが容易であり、公共交通機関と隣接するところへの整備が望ましいとの観点から、平成132月に立地場所を札幌市と表明し、平成147月には北海道劇場基本計画を策定したところ。これを受け、札幌市においては、平成15年に当該予定地の一部、約8,000㎡を旧鉄建公団から、平成16年に残地約5600㎡を日本通運株式会社から劇場用地として取得するなど、北海道劇場の実現に向け協力をいただいたところ。

 

  

 

(四)劇団四季の北海道進出について

 

 話を少し変えます。日本の優れた劇団であり日本最大の劇団でもある劇団四季が札幌市に拠点を持つと報道されておりますが、大変歓迎したいことであります。 どのような計画になっているか伺います。

 

所 管 : 環境生活部生活局道民活動文化振興課

答弁者 : 道民活動文化振興課参事

 

劇団四季の北海道進出についてでありますが、

 

○ 劇団四季については、平成59月から約6年間、札幌駅南口の旧線路跡地に建設したJRシアターで公演し、期間中、延べ約126万人の観客動員を記録し、多くの道民に広く舞台芸術の鑑賞機会を提供いただいたところ。  

 

○ 劇団四季は、3月1日に札幌市内事務所を開設しており、札幌市中央区内に座席数が1,000席程度の専用ホールを設置し、年末の公演を計画されているとのことであるが、北海道進出に係る具体的な計画については、近日中に発表する予定とお聞きしているところ。また、本道の子ども達を対象とする「こころの劇場」を開催し、全道各地において、子ども達がミュージカルを鑑賞する機会の提供について、検討していると伺っているところであり、道民にとって大変喜ばしいことと考えているところ。

 

 

(五)道内の舞台芸術団体の活動状況について

 外国や本州から一流のオペラ、ミュージカル、バレエ、演劇、歌舞伎などに来て頂き、道民に鑑賞の機会を提供できることは素晴らしいことでありますが、北海道の演劇界は、全国的にみてどの程度のレベルにあると認識しているのか伺います。

 

所 管 : 環境生活部生活局道民活動文化振興課

答弁者 : 道民活動文化振興課参事

 

道内の舞台芸術団体の活動状況についてでありますが、

 

○ 道では、道内の舞台芸術団体の活動の推進と向上を図るため、財団法人北海道文化財団を通じて、演劇公演活動に対し支援を行っており、道外や国外での演劇活動も見られるようになってきているところ。

 

○ この中で、平成21年度においては、韓国光州広域市で行われた「光州平和演劇祭」においてグランプリに相当する「平和演劇賞」を受賞した事例や、平成20年度では、東京で開催された「東京劇団フェス08」で、札幌の劇団がグランプリを受賞した事例が見られたところ。  

 

○ このように、全国的にまた、国際的に評価を受ける優れた作品が生まれる裾野が広がりつつあるのではないかと考えているところ。

 

 

(六)北海道の舞台芸術振興のあり方について 

 

 それでは、北海道の舞台芸術文化振興をどのように進めてきたのか、具体的にお示し頂きたいと思います。また、地区ごとに、どのような特色があるかお聞き致します。

 

所 管 : 環境生活部生活局道民活動文化振興課

答弁者 : 道民活動文化振興課参事

 

北海道の舞台芸術振興についてでありますが、  

 

○ 道においては、道民の一人ひとりが心の豊かさを実感できる地域社会の構築をめざし、舞台芸術の活性化、裾野拡大、人材育成や交流の促進等を図るため、道・北海道文化財団及び舞台芸術関係団体等で北海道舞台塾実行委員会を組織し、舞台芸術作品の制作・公演や、地域で活動する舞台芸術団体の交流公演の開催、さらには、個性あふれる地域文化の創生・活性化するための地域舞台塾の開催や、古い倉庫等をホールに改装した地域創連アトリエにおける舞台芸術関連事業等を実施してきたところ。

 

○ こうした中で、函館市では「市民創作函館野外劇」、東川町では「写真甲子園」、むかわ町では「田んぼdeミュージカル」、夕張市では「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」など、道内各地で特色のある新たな芸術活動が開催されているところ。

 

 

(七)道内の演劇等の情報発信について 

 

 北海道には各地で様々な劇場文化が育っています。全て、札幌集中と考えなくてよいと考えます。私の知る、大衆演劇もその一つです。地方で大人気です。北海道演劇ネットワークで、この地域ではこういう演劇があり、この地域ではこういうミュージカルをやっているという情報ネットを構築をすべきであります。また、北海道の演劇が国内外に発信できる、また、国内外の演劇情報を、道内で簡単に手に入れることのできる情報ネットワークをどのように考えているか伺います。

 

所 管 : 環境生活部生活局道民活動文化振興課

答弁者 : 道民活動文化振興課参事

 

道内の演劇などの情報発信についてですが、

 

○ 道では、ホームページや財団法人北海道文化財団を通じて、さまざまな演割に関する情報の発信に取り組んでいるところ。具体的には、道内各地で行われている文化の催しや道内外の文化施設等に関する資料・情報を公開する「文化情報ライブラリー事業」、地域の方々が自主的に企画する文化活動・情報誌で情報提供を行う「文化情報提供事業」、さらには、道内外の財団や文化団体などとの文化情報をホームページで結び、より広範囲な情報の提供などを行ってきているところ。

 

○ 今後もこれらの事業を通じ、道内各地の演劇などに関する情報を積極的に発信していく考え。

 

 

(八)舞台芸術拠点について  

  

「道立劇場基本構想」を進める上でも、たとえ小さくても舞台芸術の拠点を持つべきです。「道立劇場基本構想」の基本的機能を生かすべきであり、「1.舞台芸術の鑑賞拠点」、「2.舞台芸術の創造拠点」、「3.人材育成拠点」、「4.交流拠点」、「5.舞台芸術の情報・ネットワーク拠点」などとしての機能の考え方は基本的に揺るがないものと思います。現在、新しい施設を建設できないとすれば、既存の施設をどう有効活用するかであります。考えられるものとしては、例えば、かでるホールがあります。現在利用率が高いわけですが、分析すると講演会が非常に多くなっています。音楽発表会などは本来、キタラホールが利用できるわけですので、役割分担をして、かでるホールには舞台芸術に振り分けながら、空いている時間帯を、舞台芸術、人材育成、情報ネットなど拠点とすべきであると思いますが、如何でしょうか。ご見解を伺います。

 

所 管 : 環境生活部生活局道民活動文化振興課

答弁者 : 生活部長

 

舞台芸術拠点についてでありますが、

 

○ いわゆる、かでるホールについては、道民自らの創意や活力が生かされる地域づくりに必要な様々な活動などの充実を図ることを目的としており、そうした活動の一環として、平成20年度においては、年間約60件の演劇公演等のための利用があるところ。

 

○ 道内において、舞台芸術の鑑賞や創造、人材育成などといった拠点機能を持つことは、舞台芸術の振興を図る上では意義あることと考えており、今後こうした場の一つとしてのかでるホールの利用拡大に向け、関係部とも連携を図りながら、演劇関係者などへのPRや情報発信に積極的に取り組んで参りたい考え。

 

 

(九)北海道の役割について 

 

 札幌市が市民交流複合施設を考えており、造立劇場基本構想の機能と似通った施設づくりを考えていますが、しかし、道は北海道ならではの役割があるはずです。それは、「1.舞台芸術作品の創造の場」、「2.道内外の舞台芸術交流の場」、「3.舞台芸術学習の場」、「4.質の高い舞台芸術を担い、支える人材育成機能」を発揮できることが、最も北海道ならではの仕事ではないでしょうか。それが、ひいては道内舞台芸術振興に貢献できるものと考えますが、道の考え方を伺います。

 

所 管 : 環境生活部生活局道民活動文化振興課

答弁者 : 生活局長

 

道の役割についてでありますが、

 

○ 札幌市の市民交流複合施設については、今後、詳細な施設プランを作成する予定と伺っていますが、現時点の計画によると、ミュージカル、オペラ、バレエなどの様々な舞台芸術にも対応可能で高機能ホールを有するなど、施設面からは北海道劇場の鑑賞機能の一部に対応できる内容となっているものと考えているところ。

 

○ しかし、北海道劇場基本計画では、鑑賞拠点機能のほか、多彩な舞台芸術の創造、本道の舞台芸術を担い支える人材の育成、道民に親しまれる交流の場などといった機能を持つこととしており、これまでも北海道劇場推進事業等において、演劇作品の制作・公演やワークショップ、さらには各地間での交流公演などを実施してきたところ。

 

○ 道としては、計画に盛り込まれたこうした創造活動、人材育成、交流などにおいて、役割を最大限果たしていくことが重要と考えているところであり、こうした面において、本道の舞台芸術の振興について貢献して参りたいと考えているところ。

 

 

(十)北海道劇場基本計画について 

 

 最後に、先の一般質問に、知事から、道民の意見を聞いて考えるとの答弁がありましたが、平成6年に文化条例ができ、平成9年の道立劇場基本構想、平成14年北海道劇場基本計画策定時から時代は進み、札幌市が平成20年市民交流複合施設建設を明らかにしている現在、「北海道劇場基本計画」をどのように具現化していくお考えなのか、お伺いします。

 

所 管 : 環境生活部生活局道民活動文化振興課

答弁者 : 環境生活部長

 

北海道劇場基本計画についてでありますが、

 

○ この基本計画については、平成147月に策定後、約8年を経過していることから、この間の道内におけるホールの整備状況や、地域の文化活動の状況など、舞台芸術をめぐる情勢変化等の調査に今後速やかに取り組むとともに、札幌市や関係者との意見交換を行いながら、来年度を目途に今後北海道に求められる役割、果たすべき機能について検討を行い、その結果を踏まえて、計画の抜本的な見直しを行い、今後の舞台芸術活動のあり方について検討する考え。

 

○ この計画の見直しに当たっては、舞台芸術を通して道民が集い、交流し、学び、創造することにより活力ある地域社会の形成と文化の厚みに寄与するという北海道劇場の理念を十分踏まえ、全道的な拠点機能やネットワークづくりなどといった点も含め検討し、これまでの舞台芸術振興に関する事業を見直し、計画に反映して参りたい考え。  

 

 

 



ご意見・ご感想をお寄せください