議会報告 【文教委員会】 平成22年9月7日 「教職員の服務規則等に関する調査について」

火曜日, 9月 07, 2010
 
≪教職員の服務規律等の実態に関する調査について≫ 

 

 

 

(一) 教職員の服務規律等の実態に関する調査について 

 

(二) 北教組の機関紙について 

 

 

 

平成2297 

質問者 :自民党・道民会議 千葉 英守 

 

 

 

(一) 教職員の服務規律等の実態に関する調査について 

 

 

1 文部科学省への報告について 

 

 前回、教職員の服務規律の実態に関する調査報告があり、概要を伺ったが、本日は調査内容やその後の取組について伺う。 

 そもそも、この調査は北教組の政治資金規正法違反事件などが国会審議で取り上げられ、文科省から道教委、札幌市教委に対し調査の指示があったものであるが、調査結果をどのように文科省に報告したのか。 

 また、それに対する文科省の受け止め方、その後の調査の指示や詳細なヒアリングの有無を伺う。

 

 

所 管 : 教育職員局参事(渉外)  

答弁者 : 教育職員局参事(渉外)

 

 

 文部科学省への報告についてでありますが、 

 

○ 教職員の服務規律等の実態に関する調査結果については、83日に文教委員会で報告するとともに、同日、文科省へ調査報告書を送付したところ。 

 

○ その後、6日には、教育職員監をはじめ、担当職員が文科省へ出向き、「勤務時間中の組合活動に関する調査」、「教職員の政治的行為等に関する調査」など、文科省から調査要請のあった事項を中心に調査結果を説明するとともに、今回の調査結果を踏まえて、今後道教委として取り組んでいく事項を説明したところ。 

 

○ その後820日、文科省より、電話にて、 

 

・無回答者に対し、今後法令違反の疑いある行為の具体的な内容の把握・確認を行う中で、無回答者も含めた非違行為の実態を解明すること等の対応を検討すること、 

 

・法令違反等の疑いある行為を見聞きしたことがあるという結果に対しても、具体的な内容の把握・確認を確実に実施し、非違行為が明らかになった場合は、厳正に対処すること、 

 

・今後、道教委が行うこととしている指導や研修、職員団体への申し入れ等の取組について、報告書記載のとおり確実に実施すること、 

 

などの指導があったところ。 

 

 

 

【再質問】 

 

 820日の指導を踏まえた、具体的な対応について問う。 

 

 

所 管 : 総務政策局教職員課 

答弁者 : 総務政策局長 

 

 

 文部科学省からの指導に対する対応についてでありますが、 

 

○ 無回答者への対応については、現在、法律の専門家とも相談しながら、どのような対応ができるか検討しているところ。 

 

○ そうした中であるが、この度の調査において、法令等違反の疑いのある行為を見聞きしたことがあるという結果も出ており、今後、この具体的な内容を把握・確認する中で、無回答者にかかわる事実が出てくれば、本人に確認し、非違行為の実態解明に努めていきたいと考えている。 

 

 

 

2 札幌市の状況について 

 

 この調査は、札幌市にも同じ指示があったわけだが、選挙運動や勤務時間中の組合活動などで法令違反の疑いがある教員は、過去5年間で297人だったなど、札幌市の調査結果がまとまったことが報道されていた。 

 札幌市の調査結果がどうだったのか、また、その内容を道教委はどのように受け止めているのか伺う。 

 

  

所 管 : 教育職員局参事(渉外) 

答弁者 : 教育職員局参事(渉外) 

  

 

 札幌市の状況についてでありますが、 

 

○ 札幌市教育委員会においても、道教委とほぼ同内容の調査を行っており、この度、公表された報告書によると、勤務時開中の組合活動に関する調査では、職員団体用務でファクシミリやコピー機などの学校備品を勤務時間中に使用したと回答があったのが延べ277人、教職員の政治的行特等に関する調査では、選挙運動に係る「ビラ配布」、「電話かけ]などの行為を行ったことがあると回答があったのは延べ13人など、延べ297人の教職員に非違行為の疑いがあるとしたほか、学校運営等の実態に関する調査では、主任等の命課に対する返上行為の意思表明があったとの回答が149校であったなどの調査結果がまとめられているところ。 

 

○ 道教委としては、この度の道教委と札幌市教委の調査結果から教職員の服務規律の確保等に関して、共通する問題があると受けとめており、教職員の服務規律の確保や適切な学校運営の推進が図られるよう札幌市教育委員会に対して今後の取組に関する情報提供や意見交換を行うなど、より一層連携した行動ができるよう働きかけてまいる考え。 

 

 

 

【再質問】

 

札幌市教委と今後の取り組みについて、意見交換などを行い連携するとのことだが、具体的にどのように連携を図っていくのか伺う。 

 

 

 札幌市教委との連携についてでありますが、 

 

○ 道教委、札幌市教委双方が、調査報告書に記載している今後の取組について意見交換を行うなどしたいと考えているが、その中で教職員の服務規律の確保や適切な学校運営の推進が図られるよう、法令遵守の研修などの共同した取組について提案してまいりたい。 

 

 

 

【指摘】 

 

 札幌市の調査では、ビラ配り・電話かけ等の選挙活動を行ったことがあると回答した者が、道の調査を大きく上回ったという内容もあった。 

 後の質問にも関わるが、北教組は、前委員長代理が違法献金事件で有罪判決を受け、組織として「このような事件を二度と起こさないよう決意する」とのコメントを出した直後に、機関紙を通じて、組合員に参院選の選挙活動を一生懸命やれと煽るような、まさに二枚舌の組織である。 

 また、来年の統一地方選挙では、道政奪還、北政連をはじめとする組織推薦候補の当選を期して、組織挙げて戦うと宣言する組織である。 

 本年10月には、違法献金事件の舞台となった衆院道5区の補選もあり、来年4月には統一地方選挙もある。 

 これらの選挙で、教員が関係した選挙違反事件が再び起こるようなことがあれば、北海道の教育界は全国から大変な批判を浴びることとなる、 

 そのような事態にならないよう、道教委と札幌市教委がしっかり連携して、違法行為が行われないよう、しっかり取り組むことが重要であることを強く申し上げておく。 

 

 

 

3 本庁・本部間確認の追認について

 

道教委の調査では、本庁・本部間確認があったと称して地教委、校長に追認を求めた事案が1,058件もあり、地教委や校長はそのうちの852件に応じていたということである。しかし、その82%に当たる699件について、実はそのような確認をしたという事実がないものであったいうことだ。 

 そういった、いわばだまし討ちのような事例は、どのような内容に関して行われていたのか伺いたい。 

 

  

所 管 : 教育職員局参事(渉外) 

答弁者 : 教育職員局長 

 

 

 本庁・本部間確認の追認についででありますが、 

 

○ この度の服務規律等調査の結果、市町村教委や学校が行った本庁・本部間確認の追認852件のうち、699件は、職員団体が一方的に主張しているものであり、 

 

例えば、 

 

・学力・学習状況調査に関わり、「職務命令を前提としない」などの実際には存在しない「道教委見解」を引き出したとして、このことの追認を求めていること。 

 

・長期休業期間中の校外研修に関わり、平成2012月に「46協定」(昭和46年に道教委と北教組が締結した、教職員の勤務条件に関する協定)を破棄しているにもかかわらず、「協定書の趣旨を認めさせ、『長期休業期間中は校外研修を措置する』」などの「道教委見解」を引き出したとして、このことの追認を求めていること。 

 

・国旗・国歌の取扱いに関わり、学習指導要領に基づき適切に行わなければならないものであるとの道教委の考え方に対し、「混乱を生じさせない」、「ただちに懲戒処分をもって強制するものではない」、「共通理解のもと実施する」との道教委見解を引き出したとし、このことの追認を求めていること。 

 

・学校保健法の一部改正に関わり、「児童生徒の心身の健康問題に学校が組織的に対応する観点から学校医・学校歯科医及び学校薬剤師が有する専門的知見の積極的な活用に努められたい」という改正の趣旨に対し、「これら学校医等の職務は、あくまでも学校の求めに応じて行われるものである」などの「道教委見解」を引き出したとして、このことの追認を求めていること。 

 

 さらに、 

 

・学校職員評価制度や初任者研修、10年経験者研修などについても、道教委見解や道教委との確認があるとして、職員団体の主張を受け入れるよう求めるなど、実際には本庁・本部間で「確認」の事実がないものや、すでに廃止されているものがあったところ。

 

 

 

4 法令等違反の疑いがある行為について

 

 今回明らかになったもののうち、法令違反の疑いがある行為については、今後具体を把握するということだった。いつまでに、どのように行うのかお示し願いたい。

 

 

所 管 : 総務政策局教職員課

答弁者 : 総務政策局長

 

 

 法令等違反の疑いがある行為についてでありますが、

 

○ この度の調査において、一部の教職員から、年休等の手続を行わずに職員団体の会議等に出席したなどの勤務時間中の組合活動や、ビラ配り、電話かけなどの選挙運動を行ったなどの禁止されている政治的行為を行ったことがある、あるいは、そうした行為を見聞きしたことがあるとの回答があったところ。

 

○ 今後、こうした法令等に違反する疑いのある行為を行った者については、教育局を通じ、該当する市町村教育委員会及び道立学校から日時、場所、回数、行為の態様など具体的な内容の把握・確認をする予定。

 

○ その結果、非違行為が明らかになった者については、市町村教育委員会及び道立学校長に事故報告書の提出を求めた上で、年内を目途に厳正に対処してまいりたい。

 

 

 

5 日高管内の調査について

 

 日高管内のある町の学校備品使用等については、我が会派が入手した資料によって具体的な法令違反に当たる内容が明らかになった。

 道教委も調査を行っており、法令違反があれば厳正に対処することを明らかにしていた。

 どのように対処するのか、明確にお聞かせ願いたい。

 

 

 

所 管 : 総務政策局教職員課

答弁者 : 総務政策局長

  

 

 管内調査の結果への対処についてでありますが、

 

○ ご指摘のあった日高管内の町の学校備品の使用等については、調査の結果、職員団体役員の一名について、勤務時間中に学校のファクシミリを使って、町内各学校に対して職員団体分会の案内を送付していたことが胴らかとなったところ。

 

○ 当該職員については、このほか、勤務時間中に休暇処理を行わずに職員団体の会議に出席したことなども明らかとなったところであり、現在、町教委から提出された事故報告書をもとに本人から供述内容についての確認調書の提出を求めているところであり、取りまとめ次第、厳正に対処してまいる。

 

○ また、この職員以外にも、本人からの聴き取り結果により、勤務時間中に学校備品を使用して職員団体用務を行った、あるいは、年休等の手続を行わずに職員団体の会議等に出席したなど、勤務時間中の職員団体活動が把握できた者もいることから、町教委からの事故報告書の提出を受けて措置を決定したいと考えている。

 

 

 

6 学校備品の取扱いについて

 

日高管内の事案が公になった後も、ある支部からの分会あて文言が、学校のFAXに送られている。FAXや電話、コピーなど学校の備品の使用についても、きちんとしたルールを作っておくことが必要であると考える。どのように対処する考えか伺う。

 

 

所 管 : 学校教育高校教育課

答弁者 : 学校教育局長

 

 

 学校備品の取扱いについてでありますが、

 

○ 道教委としては、この度の調査の結果を踏まえ、校務以外で学校備品の使用を認める範囲や手続き等について検討を進めているところ。

 

○ 現在、財務規則上の取扱いについて関係部局とも協議中であり、道教委として必要な規程を早急に策定し、道立学校に対して通知して参る。

また、その内容を市町村教育委員会に通知し、適切な対応をするよう指導して参る考え。

 

 

 

7 組合掲示板など校舎の使用のあり方について

 

  十勝管内の学校で、校舎内に選挙ポスターが張り出されていた事件をふまえ、道教委は掲示板など校舎の一部使用について、ルールづくりを行うとのことだったが、どのようになっているのか。

 

 

所 管 : 総務政策局施設課

答弁者 : 総務政策局長

 

 

 組合掲示板など校舎の使用のあり方についてでありますが、

 

○ このたびの調査においては、半数近くの学校で、組合掲示板等のスペースの設置や職員団体用務のための会議室、教室等の使用実態があるものの、その多くの学校では、使用に関する規程がないことや使用許可の手続きがなされていないことが明らかになったところ。

 

○ 公立学校の施設を学校教育の目的以外に使用する場合は、「学校施設の確保に関する政令」により、学校長の同意を得た場合に、使用を許可することができることとされており、

道教委として、このたびの調査結果を踏まえ、学校における組合掲示板の取扱いについて

学校、教職員の政治的中立性に疑いを抱かしめるおそれのあるものは掲示してはならないなどの許可条件や許可手続きを明確に定め、近く、道立学校に通知することとしているところ。

 また、会議室等の校務以外での使用についても、学校備品の取扱いと同様に、現在、財産管理上の取扱いについて関係部局と協議中であり、道教委としての使用の取扱いを早急に定めることとしているところ。

 

○ こうした道教委の取扱いについて、市町村教育委員会に通知し、市町村立学校においても適切な学校施設の管理がなされるよう指導してまいりたい。

 

 

 

 

(二)北教組の機関紙について

 

1 機関紙「北教」に対する受け止めについて

 

 次に、先ほど申し上げた、北教組の機関紙について何点か伺いたい。

 その機関紙は、201071日付第1911号「北教」というタイトルで、参院選特集号と銘打たれている。この機関紙は、参議院予算委員会で我が党の議員が取り上げ「教職員という立場を利用し、教え子に選挙活動をやれと言っている。教特法に反すると思うがどうだ」と質問したところ、文部科学大臣は「御指摘のような記述がある。教育公務員が政治的目的を持って特定の候補者に投票するような行為は、人事院規則に定める政治的行為に該当し違法となる。教育者が教え子に対し、地位を利用して投票を依頼すれば、公職選挙法違反となり得る」という趣旨の答弁をしている。

 機関紙は教育長も御覧になっていることと思うが、このようなことをどのように受け止めているかお聞かせ願いたい。

 

 

所 管 : 総務政策局教職員課

答弁者 : 教育長

 

 

 北教組の機関紙についてでありますが、

 

○ 昨年の衆議院議員選挙にかかわり、政治資金規正法違反により、子どもたちの教育に携わる教職員が加入している職員団体の幹部が有罪判決を受け、子どもたちや現場の教職員はもとより、保護者、地域の方々に大きな不安や不信を与え、道民の本道教育に対する信頼を著しく損なう事態となったところ。

 

○ こうした中、ご指摘のあった北教組の機関紙「北教」には「教え子への「親書」「電話」による支持の確認」と記載されているが、教育者が教え子に対して教育上の地位を利用して特定の候補者に投票を依頼するよう選挙運動するような行為は、公職選挙法違反となり得るものと考えている。

また、政治的目的をもって選挙において特定の候補者に投票するように勧めるような行為は、人事院規則に定める政治的行為に該当し、違法となるものであり、もし、このような行為が実際に行われていたとすれば、あってはならないことであると考えているところ。

 

 

 

2 機関紙に記載されている行為について

 

 この内容は、教え子などに対して、法律で禁止されている選挙活動を行うよう求めているとしか考えられない。まさに、ただ今教育長が答えられたように、法令違反の疑いの高いものと言わざるを得ないものである。

 しかも、先ほども申し上げたように、615目に違法献金事件で前の委員長代理が有罪判決を受け、「このような事件を二度と起こさない」と北教組としての反省のコメントを出した直後であり、まさに舌の根も乾かぬうちに、である。

 教員が実際に知人、教え子に機関紙に記載されているようなことを行った結果、公選法違反などで起訴され有罪となった場合は、どうなるのか伺いたい。

 

  

所 管 : 総務政策局教職員課

答弁者 : 教職員課服務担当課長

 

 

 職員が起訴され有罪となった場合についてでありますが、

 

○ 地方公務員法第28条第4項では、職員が同法第16条各号に定める欠格条項に該当するに至ったときは、その職を失う旨、定められており、職員が禁固以上の有罪判決を受け、それが確定した場合は、当然に失職することとされている。

 

 

 

【指摘】

 

 答弁にあったとおり、教員に禁固以上の有罪判決が確定すれば、当然に失職する。

 服務規律調査の中でも、選挙活動をやったことがあるという事例が報告されている。わが党の行ったヒアリングでも、支部などからポスティングなどの動員指令があること、ポスティングでは顔がばれないように勤務校の校区外で行うよう指示があるなどの話を聞くことができた。

 これに対し、北教組は、そのような実態調査は労働組合法が禁止する不当労働行為に該当するという。また、違法行為について情報提供を求めることは、教員の基本的人権の侵害であるという。

 冗談ではない。明らかな違法行為がなされているときに、これを見て見ぬふりをすることは許されないというのは当たり前のことである。自らの主張に理由があると思うならば、労働委員会や法務局、裁判所に申し立てればよい。

 道教委には、終始毅然とした態度を堅持されるよう、強く申し上げておく。

 

 

 

3 北教組の議案書について 

 

 次に、我が会派は、8月に開催された北教組の第21回定期大会の議案書を入手した。その中には、これまでの議論の中で我が会派が指摘し、道教委が「そのような事実はない」と答えているものが、数多く含まれている。

先ほど、本庁・本部間確認があったと称して地教委、校長に追認を求めた事案で、地教委や校長が応じた852件のうち、実に8割を超える699件は、確認をしたという事実がない、だまし討ちだと申し上げたが、訂正させずに放置しておけば、組合員は議案言に載っていることは事実であると思い込むことは、当然である。

 事実に相違する点は、北教組に強く抗議し、すべて訂正するよう申し入れるべきである。

 ついては、まず、内容を精査すべきと考えますが、見解を求める。

 

 

所 管 : 教育職員局参事(渉外)

答弁者 : 教育職員局長

 

 

 北教組の議案書についてでありますが、

 

○ 今年度の議案書については、委員ご指摘のとおり、現在内容の精査を行っており、精査の結果、事実に反する記述が判明した場合は、是正するよう北教組へ抗議するとともに、市町村教育委員会へ周知してまいりたい。

 

 

 

【再質問】

 

 教育公務員にも国家公務員同様、罰則規定を設けるべきであると、わが党は主張しているが、道教委としても問題提起をすべきと考える。見解を伺う。

 

 

答弁者 : 教育長

 

 

 教育公務員に係る罰則規定については、第1定例議会の議論を踏まえ、現在全国教委連の了解を得て、各都府県に対し、意見を照会しているところであり、その結果を見て、全国教委連ともその取扱いについて相談してまいりたい。

 

 

 

 



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