議会報告 【文教委員会】 平成23年1月11日 「視覚障がい教育センター校に関する検討会議について」

火曜日, 1月 11, 2011

≪視覚障がい教育センター校に関する検討会議について≫

 

 

(一) 医療、福祉との連携について

(二) 課題への対応について

(三) 視覚障がい者の教職員採用について

(四) 管理運営のあり方について

(五) 特別支援教育センターとの関係について

 

 

平成23年1月11日

質問者 :自民党・道民会議 千葉 英守

 

 

 先般、「視覚障がい教育センター校に関する検討会議からの報告」、「有朋高校跡地有効活用検討会議からの報告」についての説明があり、道教委としては2つの報告を踏まえ、その実現に向けて関係部局と協議したいということである。

(参照:「視覚障がい教育センター校に関する検討会議からの報告」

     「有朋高校跡地有効活用検討会議からの報告」

<ともに道教委のウェブサイトです>)

 

 私は、数年来、有朋高校跡地に視覚障がい教育センター校を設置することの必要性を主張してきたが、「ようやくここまで来たか」と感慨もひとしおである。(関連する過去の質問はこちら

 以下、報告内容及び道教委の考え方等について伺う。

 

 

(一) 医療、福祉との連携について

 

 まず、検討会議ではセンター校との連携の在り方について、医療福祉関係機関の代表者と協議したとのことであるが、そこで交わされた意見は、どのように報告書に反映されているかを伺う。

 

 

所 管 : 学校教育局特別支援教育課

 

答弁者 : 特別支援教育課長

 

 

 医療、福祉との連携についてでありますが、

 

○ 本道の視覚障がい教育の専門性の維持・向上や、地域の学校に対する支援を充実していくためには、視覚障がい教育センター校を整備するとともに、センター校と医療・福祉との関係機関との連携を一層強めていくことが必要であり、検討会議においては、複数の医療・福祉機関の代表者から意見を伺ったところ。

 

○ この中では、

・医療・福祉・教育の関係機関が連携して、視覚障がいのある子どもを早期に把握し、専門的な支援が受けられるネットワークの構築、

・視覚障がいのある乳幼児が盲学校において支援を受けられる体制づくりの充実

などの意見をいただいたところ。

 

○ このような意見を踏まえ、検討会議の報告書では、センター校として備えるべき機能として、札幌医科大学をはじめとする医科系大学や病院などと連携した教育機能や理療機能の充実を図ることはもとより、視覚障がいのある乳幼児やその保護者に対して、教育相談など就学前の早い段階からの指導支援の充実を図ることや、視覚障がい者の診断を行う眼科医に対して、早期教育の重要性の理解を促す取組を行うなど、医療や教育、保健、福祉、労働などの各関係機関と連携して、本道の視覚障がい者に広く対応するための支援体制の構築を図ることの必要性が盛り込まれたところ。

 

 

 

(二) 課題への対応について

 

 現在、本道の盲学校に在籍する児童生徒数が減少する傾向にあり、昭和63年には350名であったのに対し、本年度は175名と半減している。センター校の整備に関する検討会議報告においても、同じ障がいを持つ子ども同士が学び合う機会の減少、教員の指導技術向上を図ることが難しくなってきていることなどを挙げ、そのことへの対応が喫緊の課題であると指摘している。

 道教委は、こうした課題解決にどのように取り組む考えかを伺う。

 

 

所 管 : 学校教育局特別支援教育課

 

答弁者 : 特別支援教育課長

 

 

 視覚障がい教育の抱える課題への対応についてでありますが、

 

○ 盲学校の児童生徒数が減少する中で、社会性の育成や学習意欲の向上を図るうえで、幼稚部から高等部専攻科までの異なる学校種を一体として整備することにより、一定の集団規模の確保が可能であり、同じ障がいのある子どもたちが、同学年のみならず、異なる年代の者とも一緒になって教育活動や交流を行うことができ、こうした取り組みを通じて、互いに協力しながら、主体的に考えて課題を解決する経験の機会をもつなど、学ぶ環境を一層整えることができると考えているところ。

 

○ また、教員において、こうした幼稚部から高等部専攻科までの一貫教育を通じて、将来を見据えた継続的・系統的な指導方法について、日常的な研鑚を深められることができるものであり、さらに、センター校で培われる視覚障がい教育のノウハウなどを地域の盲学校での教育活動に生かすことにより、本道における視覚障がい教育の専門性の維持・向上を図ることができると考えているところ。

 

 

 

(三) 視覚障がい者の教職員採用について

 

 視覚障がいの特性に応じた専門的教育のより一層の充実を図るためには、例えば、自らも事故により視力を失いながら、本道の視覚障がい教育の草創期に大きな役割を果たされた南雲総次郎先生のような方も必要ではないかと考える。

 将来は母校の教職員となり、同じ障がいを持つ子どもたちの教育を担ってもらえるような卒業生を育てていくべきであると考えるが、現在、道内の盲学校卒業生が教壇に立っている例がどのくらいあるかを含め、視覚障がいのある教員の採用についての見解を伺う。

 

 

所 管 : 学校教育局特別支援教育課

 

答弁者 : 学校教育局長

 

 

 視覚障がいのある教員についてでありますが、

 

○ 道立盲学校卒業者のうち、現在、義務校の盲学校に2名、高等盲学校に14名の計16名が、教員として勤務しているところであり、同じ障がいのある教員が自らの経験などを踏まえて指導を行うことは、子どもたちにとって、教員への志望も含め、将来の目標意識が高まるなど、キャリア教育において大きな効果があると考えているところ。

 

○ 道教委においては、これまでも身体に障害のある方を対象として、教員などの特別選考を実施してきており、本年度においては、盲学校卒業生を教員として2名登録したところで、今後とも、視覚障がいのある現職教員の協力を得て、盲学校の児童生徒に対して、教員志望の児童生徒に対して、教員志望への意識を高めるための取り組みを行うなどして、視覚障がいのある教員の採用にも積極的に取り組んでまいりたい。

 

 

 

(四) 管理運営のあり方について

 

 センター校は、教育機能のほか、理療・支援機能を併せ持ち、社会人も対象とする理療研修センターを併設するなど、利用するすべての人が快適に利用できる、いわゆるユニバーサル・デザインのモデルになるような施設設備とすることが検討することとされている。

 しかし、その管理監督にあたる運営組織は、校長が理療研修センター長を兼務すること、教頭は理療研修センター副所長を兼務し、かつ、幼稚部から高等部専攻科までの校務を担当することとなっている。

 私は、この体制で責任を持って管理運営を果たすことができるのか不安に思うが、見解を伺う。

 

 

所 管 : 学校教育局特別支援教育課

 

答弁者 : 特別支援教育課長

 

 

 校内組織についてでありますが、

 

○ 検討会議においては、札幌盲学校や高等盲学校、附属理療研修センターにおける職員構成を参考としながら、新たなセンター校が担うべき機能を踏まえた校内組織のあり方について検討を行ったところ。

 

○ 道教委としては、引き続き、盲学校関係者などの意見も聴きながら、今後の児童生徒の状況なども十分考慮し、センター校における具体的な校内組織のあり方について検討してまいりたい。

 

 

 

(五) 特別支援教育センターとの関係について

 

 道教委は、障がい児教育に関する研究、相談業務を行う特別支援教育センターを設置しているが、視覚障がいに関してセンター校との関係をどのように考えているのか。

 

 

所 管 : 学校教育局特別支援教育課

 

答弁者 : 学校教育局長

 

 

 特別支援教育センターとの関係についてでありますが、

 

○ 新たなセンター校では、一貫教育で培った視覚障がい教育の専門性を生かして、他の学校に対して、理療教育に関わる研究成果の普及、視覚障がい教育に携わる教員への研修等を行うほか、視覚障がいのある乳幼児とその保護者を対象とした教育相談等の支援を行うこととしているところ。

 

○ また、特別支援教育センターにおいては、障がいの種類、程度を問わず、

・特別支援教育に関する専門的、技術的事項の調査研究

・教育関係職員への特別支援教育に関する研修

・道民や教育関係職員への特別支援教育に関する相談

等を行っているところであり、このなかでは、重度・重複障がいのある児童生徒についての実態把握や、必要な指導内容・方法に関する助言といった複数障がい種への対応を必要とする支援業務も行っており、新たなセンター校で、こうした業務を行うことは難しいと考えているところ。

 

○ 道教委としては、今後、両機関の連携のもとに、本道の特別支援教育の充実が図られるよう、センター校と特別支援教育センターがそれぞれ行うべき業務や具体的な連携について検討を進めてまいりたい。

 

 

 



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