議会報告 【文教委員会】 平成22年10月7日 「公立小中学校教職員の広域人事について」

木曜日, 11月 11, 2010

 

≪公立小中学校教職員の広域人事について≫

 

 

(一) 市町村の意見について

(二) 管内格差について

(三) 理由について

(四) 教育局の人事要綱について

(五) 認識について

(六) 職員団体の関与について

(七) 特定地域の扱いについて

 

 

平成22年10月7日

質問者 :自民党・道民会議 千葉 英守

 

 

(一) 市町村の意見について

 

 広域人事の要綱づくりには、市町村教委の意見を聞いて検討するとのことだったが、転入希望者が殺到する都市教委と、ほとんど転入希望者のいない地域の教委では、相反する意見もあるのではないかと考える。

 どのような意見があったのか。 また、それらの意見をどのように調整し、反映させるのか。

 

 

所 管 : 総務政策局教職員課

答弁者 : 総務政策局長

 

 

 教職員の広域人事に係る市町村教委の意見でありますが、

 

○ 平均年齢の高い管内の都市部の市教委からは、積極的に推進してほしいという意見がある一方、市の課題を優先する必要があるとの意見や、都市部からの転出者の確保が難しいなどの意見があったところ。

 

○ また、平均年齢の低い地域を有する管内のほとんどの市町村教委からは、積極的に実施してほしいという意見があったところ。

 

○ 道教委といたしましては、全道的な教育水準の向上や学校の活性化、特に学力向上や生徒指導等の教育課題に対応していくためには、年齢のバランスのとれた教職員配置が必要であり、それぞれの管内の枠組みだけでは解決できない人事上の課題について、丁寧に説明し、市町村教育委員会等の理解を得て進めているところ。

 

 

 

(二) 管内格差について

  

 教職員人事については全道的なアンバランスと、もう一つは教育局管内におけるアンバランスが指摘されている。

 例えば、渡島の函館市、後志の小樽市、上川の旭川市、オホーツク管内の北見市などに希望が集中し、一度入ったら金輪際出ないとまで言われるくらいだと聞く。とくに養護教諭の異動は皆無に等しいとまで聞く。

 そこで伺うが、この数年、これらの市内の学校から管内の他の市町村の学校に異動した一般教員及び養護教諭の数はどのくらいか。

 

 

所 管 : 総務政策局教職員課

答弁者 : 教職員課長

 

 

 教諭等の異動数についてでありますが、

 

○ ご指摘のあった、函館市など4市から、管内の、他の市町村の学校に異動した人数については、過去3年間で申し上げますと、

 

・教諭については、

平成20年度で、函館市19人、小樽市21人、旭川市42人、北見市32人、となっており、4市合計で教諭3,372人に対し、114人。

平成21年度は、函館市18人、小樽市9人、旭川市6工人、北見市50人、となっており、4市合計で3,365人に対し、138人。

平成22年度は、函館市19人、小樽市T2人、旭川市35人、北見市36人で、

4市合計で3,379人に対し、102人となっているところ。

 

・養護教諭は、

平成20年度は、4市とも異勤者なし。

平成21年度は、小樽市と旭川市各1人、北見市5人、となっており、4市合計で235人に対し、7人。

平成22年度は、旭川市と北見市各1人で、4市合計で233人に対し、2人となっているところ。

  

 

 

(三) 理由について

 

 極めて少ないとの感想を抱く。とくに、小樽市からの転出と養護教諭の転出の少なさが際だっているが、その理由は何か。

 

 

所 管 : 総務政策局教職員課

答弁者 : 教職員課長

 

 

 小樽市からの教諭等の転出についてでありますが、

 

○ 小樽市の教諭の人事異動につきましては、後志管内の人事異動実施要領により実施されているところであり、平成14年度には、小樽市と郡部との交流や長期勤務者の解消を図るため、後志教育局と小樽市教育委員会の定期協議の場を設けるなどして異動の促進に努めてきたところであるが、各学校の教科バランスや生徒指導上の課題等の学校事情のほか、公宅がないこともあり自宅保有率が高いこと、夫婦共稼ぎの者も多く、小樽市内に生活基盤が築かれていること等から、他町村への異動が少なくなっているところ。

 

○ 養護教諭につきましては、各学校に1名の配置で、総数が少ない中で、実際上は退職者などで欠員が生じた揚合に人事異動を行う場合がほとんどであること。

また、育児休業等教職員個々の事情もあり、他市町村への異動が少なくなっているところ。

 

 

 

(四) 教育局の人事要綱について

 

 これまでは、道教委本庁が基本的な考え方を示し、それに基づいて全ての教育局ごとに人事異動要綱を作成していると承知している。

 要綱では、管内のいわゆる利便地、不便地を4~5段階にランク付け、一人の教員が全体を経験出来るよう、勤務する目安の年数を示している。そのとおりに人事が行われていれば、いま答えられたように人気都市から郡部へは、ひとつかみの教員しか異動しないといった、極端なアンバランスは生じなかったはずではないか。

 要綱どおりに人事が行われなかった原因は、どこにあったと考えるのか伺う。

 

 

所 管 : 総務政策局教職員課

答弁者 : 教職員課長

 

 

 教職員の人事異動についてでありますが、

 

○ 教職員の人事異動にあたっては、これまで、各教育局におきまして、教職員個々の資質向上や組織の活性化を図るため、多くの地域や規模の異なる学校に勤務するなど、多様な教職経験を積むことができるよう、在職期間中に複数の地域を経験させることなどを人事異動要項に定め、都市部と郡部との人事異動等の促進に努めてきているところ。

 

○ しかしながら、それぞれの管内において、この異動が進まない要因としては、都市部から郡部へ異動を望まない者が多いことに加え、各学校の教科バランスや生徒指導上の課題、部活動指導などの学校事情によるものの他、本人の病気、家族の介護、育児休業など教職員個々の事情など様々な理由によるものと考えているところ。

 

 

 

(五) 認識について

 

 教育長はこのような教職員人事の状況を、どのように認識しているのか伺う。

 

 

所 管 : 総務政策局教職員課

答弁者 : 教育長

 

 

 教職員人事異動についてでありますが、

 

○ 都市部と郡部との人事異動にあたっては、これまで、各教育局におきまして、市町村教育委員会と連携し、人事異動要項の周知徹底を図るなどの取組を進めてきたところですが、異動状況を見ますと、都市部と郡部との異動が円滑に進んでいない状況にあり、学校や地域によっては、教員の年齢構成が偏る傾向も見られ、経験不足等による若手教員の学力向上への取り組みをはじめとした、指導力への懸念もあるところ。

 

○ こうした課題を解消し、地域や学校の教育の質を高めるためには教員の年齢や経験など各学校における教職員構成の適正化を図ることが重要なことと考えておりますことから、市町村教育委員会と連携し、平成20年に設置した管内教職員人事推進会議はもとより、本年8月に設置した全道人事調整会議を十分機能させながら、このたびお示しした、管内の枠を超えた広域人事のしくみを有効に活用するなどして、これまで以上に都市部と郡部との異動を進めてまいる。

 

 

 

【再質問】 札幌市との交流について

 

 全道で、管内の枠を超えた広域人事を進め、これまで以上に都市と郡部との異動を進めるということだが、この際、札幌市との交流を行うことも検討すべきでないかと考える。教育長の見解を伺う。

 

 

 札幌市との教職員人事交流についてでありますが、

 

○ 都市部と郡部の広域人事を進めていく上では、任命権を別にしておりますが、道内でも多くの教職員が在籍する札幌市の協力をいただくことが、必要と考えているところ。

 

○ このため、本年に入りまして、道教委と札幌市とで人事交流について、意見交換を重ねており、今後、具体の交流に結びつけるよう、努めてまいりたい。

 

 

 

(六) 職員団体の関与について

 

 我が会派の同僚議員のところには、教職員組合とくに北教組の支会や分会の役員から、内示前に異動情報が伝えられたとか、組合に入らないと人事の時に不利だと言われたなどの話が伝わっている。このようなことをどのように受け止めるか。

 

 

所 管 : 総務政策局教職員課

答弁者 : 教職員課長

 

 

 教職員の人事についてでありますが、

 

○ 小中学校教職員の人事異動は、教育委員会決定の『「北海道公立学校教職員」人事異動要綱』及び、教育長決定の『「北海道公立小中学校教職員」人事異動実施要領』に基づき、地域の特性など管内の実情に即しつつ、それぞれ各管内において具体的な人事異動方針を定め、教職員個々の事情や希望につきましても十分把握し、道教委としては、職員団体の加入の有無に関わらず、公平を欠くことのないように対応しているところ。

 

○ 教職員の異動内示にあたっては、教育局長から市町村教育委員会教育長に対し、教職員の異動について内示し、当該市町村教育委員会教育長から各学校長を通じ、本人に対して異動内示を行っており、道教委として、職員団体に対し事前に伝えるようなことは行っておらず、また、あってはならないことであると考えているところであり、今後とも、市町村教育委員会に対し、異動の情報の厳格な取扱について、遺漏のないよう周知してまいる。

 

 

 

【再質問】 北教組大会議案書106頁について

 

 北教組の大会議案書には「再任用希望者の、組合員継続を条件とした、民主的任用を実現させる取り組みを強化します」とある。

 これを読む限り、教員の再任用について道教委と北教組の間で、何らかの話が行われているのではないかという疑念を持つ人がいても不思議はない。見解を伺う。

 

 

所 管 : 総務政策局教職員課

答弁者 : 教職員課長

 

 

 教員の再任用についてでありますが、

 

○ 道教委として再任用職員の任用に当たっては、『北海道教育委員会の任命に係る学校職員への再任用取扱要綱』などに基づき、対象者の知識、経験、適正等を総合的に勘案して選考を行い、一般教職員と同様、市町村教育委員会の内申を受け、道教委が任命権者として発令を行っているところであり、ご指摘のような事実はない。

 

 

 

(七) 特定地域の扱いについて

 

 オホーツク管内、後志管内は若年層が多い地域に分類されている。そうすると小樽から石狩局管内の市に異動、その後また小樽市内勤務という例や、北見市から旭川市勤務、その後北見市へ戻るケースも考えられる。そうならないように歯止めをかけるべきと考えるが見解を伺う。

 

 

所 管 : 総務政策局教職員課

答弁者 : 教職員課長

 

 

 小樽市や北見市における広域人事の取扱いについてでありますが、

 

○ 今回の広域人事においては、後志管内とオホーツク管内は、平均年齢の低い地域を有する管内として、それぞれ平均年齢の高い、隣接の石狩・上川管内との人事異動を基本としている。

 

○ これは、当該管内の、郡部の平均年齢の低い学校の若年層の教員が、隣接管内の平均年齢の高い学校に異勤し、経験や実績を績むことによって力量を高め、将来、元の管内に戻って活躍できることを基本としていることから、小樽市の教員が石狩管内の都市に異動することや、北見市の教員が上川管内の都市に異動することなど、ご指摘のようなことは、想定していない。

 

 

 



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