議会報告 【文教委員会】 平成22年10月7日 「巡回指導教員事業について」

木曜日, 11月 11, 2010

 

≪巡回指導教員事業ついて≫

 

 

(一) 教員の責務について

(二) 指導について

(三) 不信感について

(四) 意見交換について

(五) 四項目の考え方について

(六) 訂正について

(七) 再調査について

 

平成22年10月7日

質問者 :自民党・道民会議 千葉 英守

 

 

(一) 教員の責務について

 

 北教組の大会議案書には、「巡回指導教員事業の中止を求め、道教委との交渉を強化した結果、4項目の考え方を示させ、一方的な配管に歯止めをかけさせた。今後、この事業を実体化させない取り組みを強化する。」という趣旨の記載がある。

 この事業は、全国学カストの結果が連続最下位グループとなっており、改善の兆しが見えない中、我が会派の提案を受け、道教委が、今年度から教員の指導力向上を図る手立ての一つとして、秋田県の例を参考にしながら取り組むこととしたものである。

 議案書の中で、北教組がなぜこの事業を問題にするかということを述べているので、まず、その点について見解を伺いたい。

 一つ目は、かかる事業が「点数学力を偏重し、成績・成果主義を助長する政策である」と主張していることである。

 学校は、勉強したことがどのくらい身に付いているか、つまり知識の蓄積を確認し、その知識をどのように使って課題を解決できるかを把握しながら、子どもたちを育てるところだ。

 その判定の手段としてテストを行い、水準を客観的に理解できるよう点数をつけたものが成績である。保護者は、子どもたらが生きていく上で必要な力を、少しでも多く身につけて欲しいと願っており、その証としての成績の向上を望んでいる。

 学校は、その期待に応えるため、子どもたちが良い成績を収められるように、最大限の努力をしなければならず、そのことはそれぞれの教員に課せられた責務でもある。

それを、点教学力偏重云々と、おかしな理屈をこねて反対するというのは、自らの責務を放棄した、全くもって無責任な態度と言うほかないと考える。

 このことについて、見解を伺う。

 

 

所 管 : 学校教育局義務教育課

答弁者 : 学校教育局長

 

 

 学力向上の取組についてでありますが、

 

○ 学校教育法においては、義務教育の目標として、基礎的・基本的な知識・技能や、これらを活用して課題を解決するために必要な能力、主体的に学習に取り組む態度などのいわゆる学力を、子どもたちに身に付けさせることが定められているところ。

 

○ そうした学力が、子ども一人一人に、どの程度身に付いているのかをテストや各種調査等を活用して、きめ細かに把握し、その後の子どもへの教育指導の充実や学習状況の改善に生かし、子どもたちの学力の向上を図っていくことは、学校として当然の務めであり、保護者もそのことを期待しているものと考えているところ。

 

○ そのためには、子ども一人ひとりの教育に直接携わる教員の役割は、極めて大きく、教職に対する情熱や、教育の専門家としての力量などを発揮することが求められているところであり、道教委としても、教員の資質能力の向上を図るために様々な施策を講じてきているところ。

 

 

 

(二) 指導について

 

 二つ目は、かかる施策が「指導力のある教員が巡回して指導することが、学校に指導・被指導の関係をつくり出し、協力・協働体制を崩壊させる」と主張していることだ。

 私は、指導力のある者が未熟な者、向上しようとする者を指導するのは当たり前のこととしか考えられない。ましてや、そのことが協力する姿勢を崩してしまうなどということは、まったくあり得ないことではないか。このことについても、見解を伺いたい。

 

 

所 管 : 学校教育局義務教育課

答弁者 : 義務教育課長

 

 

 学校の指導体制についてでありますが、

 

○ 子どもたちに基礎的・基本的な知識、技能などの学力を確実に身に付けさせるためには、学校が一体となって子ども一人一人の理解度に応じた指導方法や指導休制を工夫していくことが大切であると考えているところ。

 

○ そのためには、各学校において、日常的に教員が相互に授業や実践交流を行ったり、全教職員が一堂に会した校内研修の充実などに取り組んだりすることはもとより、他校の授業を積極的に参観したり、外部から専門的な講師を招聘するなど、外部の人もまじえて教員の資質の向上に努めることは有効であり、巡回指導教員が指導に入ることは「協力・協働体制を崩壊させる」などということにはならないものであると考える。

 

○ 巡回指導教員活用事業の実施においては、現在までのところ、校内の指導体制に支障が生じているという事例の報告は受けていない。

 

 

 

(三) 不信感について

 

 三つ目は、かかる施策が「子どもや保護者に不信感をもたらし、授業や教育活動に支障を来す」と主張していることだ。巡回指導教員事業が、なぜ子どもたちや保護者からの不信感に結びつくのか、全く理解できない。例えば、「教え方の上手な先輩が来てくれたので、先生も勉強しながらみんなに教えるからね」と言えば、生徒の側も、「先生も勉強するんだから私も頑張る」ということにならないのか。また、保護者の方々も、学校の努力する姿勢を高く評価するだろうと思う。この点についても見解を伺いたい。

 

 

所 管 : 学校教育局義務教育課

答弁者 : 義務教育課長

 

 

 子どもや保護者の受け止めについてでありますが

 

○ 本事業は、市町村教育委員会の希望に基づいて行うものであり、道教委として、実施に当たっては、実施地域において巡回指導教員の配置や役割、事業の目的などについて子どもはもとより、保護者や地域への周知を行うよう指導したところ。

 

○ 本事業を実施している学校からは、若手教員等の指導技術が高まりつつあることの他、子どもたちから、授業がわかりやすくなったことの感想や、保護者に子どもたちの学力向上の取組の大切さが理解されつつあることなどの効果が表れてきているとの報告を受けているところ。

 

 

 

(四) 意見交換について

 

 さて、北教組から、かかる施策につき交渉の申し入れがあったが、道教委としては、交渉事項には該当しないことから、交渉ではなく、意見交換として行ったということだが、記録を見ると交渉と何ら変わるところはない。

私は、この事業に関して、交渉はおろか、話し合う必要もないと考える。

なぜ、このようなこととなったのか、見解を伺う。

 

 

所 管 : 教育職員局参事(渉外)

答弁者 : 教育職員局参事(渉外)

 

 

 北教組との意見交換についてでありますが、

 

○ 道教委では、職員団体との対応に当たっては、内容によって「交渉」、「意見交換」、「要請」、「情報提供」の四区分で実施してきたところであり、委員ご指摘の「巡回指導教員活用事業」については、教職員の勤務条件にかかわることではないことから、職員団体との交渉事項とはならないが、事業の円滑な実施を図るため、意見交換を行ったところ。

 

○ なお、北教組においては、意見交換や情報提供を行った際の説明内容を、昨年度の大会議案書等の内部資料の中で、あたかも交渉により見解を引き出したような表現を用い、また、説明内容の一部分のみを引用し趣旨を歪めたなどの対応が見られたことから、3月以降意見交換や情報提供を行っていないところであり、その後も改善が見られないため、現時点でも行っていないところ。

 

 

 

(五) 四項目の考え方について

 

 北教組は、先述の大会議案書において「道教委に4項目の考え方を示させ、一方的な配置に歯止めをかけさせた。」と述べている。それは事実か。

 

 

所 管 : 学校教育局義務教育課

答弁者 : 義務教育課長

 

 

 北教組の記述についてでありますが、

 

○ 2月12日に行った北教組との意見交換においては、本事業要綱を踏まえ、

 

・今後、市町村教育委員会の希望を取りまとめること、

・巡回指導教員の配置や巡回、本務校率兼務校における授業等については、関係する学校の実態も踏まえて、市町村教育委員会が判断するものであること、

・巡回指導教員は、若手教員等とチーム・ティーチングを行うほか、自らが授業を公開すること、一緒に教材研究をしたりする中で授業づくりなどにおいて指導を行うこと

 

などに説明したところであるが、本事業の要綱はすでにそれ以前の2月2日に決定したものであり、北教組の「一方的な配置に歯止めをかけさせた」という記述は、事実と異なるところ。

 

 

 

(六) 訂正について

 

 要するに、北教組は、道教委が言ったことのうち、自らにとって都合のいい一部分を切り取って大会議案書に記載しているということである。

 先日の予算特別委員会で我が会派の同僚議員が、議案書の内容について質問したのに対し、全体で61か所に上る事実と異なる部分について、速やかに北教組に対し是正するよう、強く抗議すると答弁されたが、その中にこの問題は含まれていない。

道教委の意図するところと異なるものが記載されているということであれば、当然、合わせて訂正させるべきと考えるが、見解を伺う。

 

 

所 管 : 教育職員局参事(渉外)

答弁者 : 教育職員局参事(渉外)

 

 

 議案書の内容についてでありますが、

 

○ 議案書に記述されている道教委の「確認」「見解」等のうち、実際には存在しないなどの事実と異なるものは61箇所となっているが、委員ご指摘の「巡回指導教員活用事業」にかかる記述については、道教委が北教組と実際に意見交換を実施していることから、事実に異なるものに含めていなかったところ。

 

○ しかしながら、議案書における当該事業の記述には事実と異なる部分があることから、他の事実と異なる記述と同様に、是正するよう、速やかに北教組に強く抗議してまいる。

 

 

【再質問】

 

 北教組に強く抗議するとのことだが、どのように行うのか。私は、ただ文書を出すだけではダメだと考える。北教組が事実と異なることを議案書に記載・頒布することにより、本道の教育に様々な悪影響や混乱を招くことが危惧されることから、教育長自らが北教組のトップを呼び、厳しい姿勢を示すべきと考えるが、教育長の見解を伺う。

 

答弁者 : 教育長

 

 北教組の対応についてでありますが、

 

○ 議案書における事実と異なる記述については、私から、直接、北教組の代表者に対し、是正するよう強く抗議してまいりたいと考える。

 

 

【再々質問】

 

 教育長による直接抗議に加え、事実と異なる内容は市町村教委に通知するとともに、道教委のホームページにも掲載して周知を図るべきと考えるが、見解を伺う。

 

 

議案書における事実と異なる記述の周知についてでありますが、

 

○ こうした記述により、学校運営に支障をきたさないよう、市町村教育委員会や学校長に対し、正確な情報を周知徹底してまいる。また、教職員の服務規律の確保と適切な労使関係の構築の観点から、ホームページでの公表についても、法律の専門家の意見を聴きながら、検討してまいりたい。

 

 

 

(七) 再調査について

 

 北教組は、一方的な配置に歯止めをかけさせたとか、今後、この事業を実体化させない取り組みを強化すると主張するが、果たして保護者に受け入れられる言い草か。先ほど述べたように、この件に関しては、交渉はおろか話し合う必要もなかったことである。それにも拘わらず、相手の策に嵌って意見交換などを行うから、このように都合の良い使われ方をされるのだ。今後、十分に気を付けるべきと指摘する。

 さて、道教委が調べたところ、61か所に上る事実と異なる部分があったということだったが、この問題は含まれていなかった。そのほかにも問題のある部分があるように見受けられる。来年の統一地方選挙に関するものなど、法令違反に繋がる恐れのある政治活動についても記述されている。

 改めて内容を見直し、教員による違法な活動が行われないようにすべきと考えるが、見解を伺う。

 

 

所 管 : 教育職員局参事(渉外)、(総務政策局教職員課)

答弁者 : 教育職員局参事(渉外)

 

 

 北教組の議案書についてでありますが、

 

○ 議案書に記述されている、道教委が北教組と実際に行った意見交換や情報提供の際、道教委の説明についても、事実と異なる内容となっていないかどうかを改めて確認してまいる。

 

○ また、教職員の法令遵守については、本年度実施した「教職員の服務規律等の実態に関する調査」の結果を踏まえ、服務規律の厳正な保特について、改めて、通知を発出するほか、職員向けリーフレットを作成・配布し、各種の研修会で活用するなどして教職員一人ひとりに確実にその趣旨を周知徹底してまいりたい。

 

 

 



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