議会報告 【予算特別委員会】 平成19年7月4日 「特別支援学校における教育の在り方について」

水曜日, 7月 04, 2007

《 特別支援学校における教育の在り方について 》

一 特別支援学校における教育の在り方について
 (一) 特別支援学校の在籍者数の推移などについて
 (二) 特別支援学校の配置の在り方について
 (三) 特別支援学校の配置の考え方について
 (四) 小・中学校等に対する支援について
 (五) 盲学校の在籍者数について
 (六) 盲学校における教育について
 (七) 理療研修センターの目的及び事業について
 (八) 地域の関係機関などとの連携等について
 (九) 高等盲学校改築期成会からの要望について
 (十) 視覚障がい教育のセンター校の整備について

平成19年7月4日
質問者: 自民党・道民会議 千葉英守 委員
一 特別支援学校における教育の在り方について
(一) 特別支援学校の在籍者数の推移などについて

 道教委では、本道における今後の特別支援教育に関する基本方針を年度内に策定するとして、そのための関連予算案を本会議に提案している。特別支援教育の対象となる障がいのある子どもには、小・中学校等の通常の学級に在籍しているLD・学習障がいやADHD・注意欠陥多動性障がいなどの発達障がいのある子どもも含まれることから、その基本方針は、特別支援学校のみならず幼稚園から高等学校までを網羅し、また、ハードとソフトの双方の施策に及ぶものになると思うが、中でも重要となるのは特別支援教育のセンター的機能を担う特別支援学校の在り方であると考える。以下、特別支援学校における教育の在り方について順次、伺ってまいりたい。

 特別支援学校は、視覚障がい者、聴覚障がい者、知的障がい者、肢体不自由者、病弱者の5つの障がい種別を対象としているが、これらの障がい種別ごとに、この10年間の在籍者数の推移はどうなっているか。また、今後の増減の見通しをどう考えているか。

所  管: 学校教育局特別支援教育課
答弁者: 特別支援教育課長

特別支援学校の在籍者数の推移などについてですが、

○ 道内の公立特別支援学校について、障がい種別ごとに、平成8年度と平成18年度の、訪問教育を除く在籍者数を比較すると、視覚障がいについては、平成8年度の247名から平成18年度は197名へと50名の減となっており、聴覚障がいについては、405名から351名へと54名の減、知的障がいについては、小・中学部を置く養護学校に高等部を併置したことや高等養護学校を新設したことから、2,312名から2,801名へと489名の増、肢体不自由については、704名から627名へと77名の減、病弱については、145名から124名へと21名の減となっているところ。

○ また、今後の在籍者数については、明確にお答えすることは難しいところでありますが、視覚障がい、聴覚障がいについては、徐々に減少していく一方、知的障がいについては、今後も増加が続き、肢体不自由、病弱については、18年度と同数程度で推移していくのではないかと考えているところ。

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一 特別支援学校における教育の在り方について
(二) 特別支援学校の配置の在り方について

 今般の学校教育法の改正により、児童生徒等の障がいの重複化に対応した適切な教育を行うため、特別支援学校は地域の実情に応じて複数の障がいの種別を教育の対象とすることができることとされたが、こうした制度改正の趣旨や本道における児童生徒等の在籍状況を踏まえ、今後の特別支援学校の配置の在り方について、道教委としてどのような視点で検討しているのか、その基本的な考えを伺う。

所  管: 学校教育局特別支援教育課
答弁者: 学校教育局長

特別支援学校の配置の在り方についてですが、

○ 学校教育法の改正が行われ、児童生徒等の障がいの重複化や多様化に伴い、個々のニーズに柔軟に対応し、適切な指導及び必要な支援を行う観点から、複数の障がい種別に対応した教育を実施することができる特別支援学校の制度が創設されたところ。

○ 道教委としては、特別支援教育の推進に向けた制度改正が進められる中で、平成17年8月に、外部有識者で構成する検討委員会を設置し、特別支援教育の在り方について、御検討いただいたところであり、特別支援学校の配置については、本道の広域性や地域性を踏まえつつ

  • できる限り身近な地域で教育が受けられること
  • 専門性の高い教育が受けられること

を基本的な考えに据えて、御提言をいただいたところ。

○ 道教委としては、これらの提言や児童生徒等の在籍状況などを踏まえ、今年度策定予定の特別支援教育に関する基本方針の中で配置の在り方についてもお示ししてまいりたい。

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一 特別支援学校における教育の在り方について
(三) 特別支援学校の配置の考え方について

 「できる限り身近かな地域で教育が受けられること」 と 「専門性の高い教育が受けられること」 とは、本道の広域性などを考えたとき、両立が困難な場合があるのではないかと思うが、どう考えているのか伺う。

所  管: 学校教育局特別支援教育課
答弁者: 学校教育局長

特別支援学校の配置についてですが、

○ 障害のある児童生徒等への教育に当たっては、できる限り身近な地域において適切な指導及び必要な支援を行うとともに、特別支援学校が、一人一人の障がいの種類や程度に応じ、専門性の高い教育を行い、併せてそのセンター的機能をもって地域の小・中学校等への支援に取り組むこととしている。

○ こうした中で、特別支援学校の配置に当たっては、障がいのある児童生徒等の状況や本道の広域性や地域性などを十分踏まえながら、検討しているところ。

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一 特別支援学校における教育の在り方について
(四) 小・中学校等に対する支援について

 障がいの状況によっては専門性の高い教育を受けるため遠くの特別支援学校に入学している実態があるが、本道の特別支援教育全般にわたって専門性を確保していくためには、特別支援学校がこれまで培ってきたノウハウを生かし、そのセンター的機能により、小・中学校等に対する支援の一層の充実を図ることが必要であると考えるが、どう取り組んでいく考えなのか伺う。

所  管: 学校教育局特別支援教育課
答弁者: 特別支援教育課長

小・中学校等に対する支援についてですが、

○ 特別支援学校においては、これまでも地域の小・中学校等に対して特別支援教育に関する相談や情報提供、研修協力などの支援を行い、特別支援教育の推進に努めてきたところであるが、本道の小・中学校、高等学校等の特別支援教育を一層推進するためには、担当する教員の専門性を高め、学習指導の充実を図っていくことが必要。

○ 道教委としては、引き続き、特別支援学校のセンター的機能を生かした取組を進めるとともに、本年度、新たに、特別支援学校の教員を、小・中学校や高等学校に継続して派遣し、障がいのある児童生徒への学習指導の進め方や個別の指導計画の作成などについて支援を行うモデル事業を、道内3地域で取り組むこととしている。

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一 特別支援学校における教育の在り方について
(五) 盲学校の在籍者数について

 先ほどの答弁では、特別支援学校の中でも、知的障がいについては在籍する子どもの数が増加傾向にある一方、視覚障がい者を対象とする盲学校や聴覚障がい者を対象とする聾学校などは在籍者が減少傾向にあるとのことであるが、私は、病院に併設し病弱者を対象とする特別支援学校を除くと、盲学校は最も在籍者数が少なく、都市部にある学校を含め各学校が小規模化し、専門性の確保も難しくなりつつあると聞いている。そこで、盲学校に絞って、さらに具体的に伺うが、盲学校については、現在、幼稚部、小学部、中学部を置く義務校が4校、高等部のみを置く高等盲学校が1校、合計5校がすべて道立で設置されているが、本年度の各学校ごとの在籍数を伺う。

所  管: 学校教育局特別支援教育課
答弁者: 特別支援教育課長

盲学校の在籍者数についてですが、

○ 本年4月現在の在籍者数は、札幌盲学校は32名、函館盲学校は15名、旭川盲学校は33名、帯広盲学校は16名であり、高等盲学校については、中学部等の卒業者を対象とする本科と、高等部等の卒業者を対象とする専攻科を設置しており、合わせて96名である。

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一 特別支援学校における教育の在り方について
(六) 盲学校における教育について

 盲学校の小学部や中学部ではどのような教育を行っているのか。また、高等盲学校でがどのような教育を行い、その進路状況はどうなっているのか。

所  管: 学校教育局特別支援教育課
答弁者: 特別支援教育課長

盲学校の教育についてですが、

○ 盲学校の小学部、中学部においては、小中学校における教科等の指導のほか、視覚障がいの状態や発達段階に応じて点字の読み書き、弱視レンズの使用等の指導を行っており、知的障がいなどもある児童生徒の重複学級においては、障がいの多様な状態に応じ、生活できる力を養うことに重点を置いた教育を行っているところ。

○ また、高等盲学校の本科においては、小中学部における教育を踏まえて、普通学級においては、基礎学力の定着等を図る教育を行い、重複学級においては、社会生活における環境の変化に適応し、生活できる力等を養う教育を行っているところ。専攻科においては、札幌医科大学や地域の治療院などと連携を図りながら、あん摩・マッサージ・指圧、はり、灸といった理療を中心に据えた職業教育を行っているところ。

○ 高等盲学校の進路の状況については、平成19年3月卒業者の状況でみると、本科普通学級では、6名中4名の生徒が専攻科に進学し、重複学級の生徒2名は、福祉施設等の利用となっており、専攻科の生徒の進路については、16名中12名が理療業に就職している状況である。

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一 特別支援学校における教育の在り方について
(七) 理療研修センターの目的及び事業について

 高等盲学校には、附属施設として理療研修センターが併設されているが、どういう目的で設置され、どのような事業を行っているのか。

所  管: 学校教育局特別支援教育課
答弁者: 特別支援教育課長

理療研修センターの設置目的などについてですが、

○ 理療研修センターは、 高等盲学校における理療教育の充実や 地域であん摩・マッサージ・指圧などの理療業に従事している視覚障害者の理療技術等の向上を図ることを目的に、平成6年4月に設置され、高等盲学校の教育活動や教職員の研修・研究を理療研修センターが連携して行うことにより、その教育的効果が高まるよう、高等盲学校の附属施設としたところ。

○  理療研修センターにおいては、

  • 理療科教員や理療業に従事している方を対象とした臨床研修、研修講座などの研修事業、
  • 臨床研修を通した症例研究などの研究事業、
  • 理療業従事者を対象とした技術指導などの相談・支援事業、
  • 地域住民を対象とした公開講座などの

普及・啓発事業を実施しているところ。

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一 特別支援学校における教育の在り方について
(八) 地域の関係機関などとの連携等について

 理療研修センターは、理療科教員の研修や理療業に従事している視覚障がい者の技術研修などを実施しており、高等盲学校における理療教育への支援や卒業生に対する就労支援の機能を持つ、高等盲学校と一体となった施設である。研修等の実施に当たっては、地域の関係機関などとの連携や協力が必要不可欠になっていると考えるが、どのような状況なのか伺う。

所  管: 学校教育局特別支援教育課
答弁者: 特別支援教育課長

地域の関係機関などとの連携等についてですが、

○ 視覚に障害のある方々が理療業で自立していくためには、卒業後においても資質の向上を図ることが重要であり、理療研修センターは、高度で先端の医療技術を有する札幌医科大学を中心とし、地域にある医療機関、治療院とも連携・協力して、卒業生をはじめとした理療業従事者等に対する研修事業等の充実を図っているところ。

○ また、研修事業の実施に当たっては、臨床研修にかかわって、臨床患者としての協力者の確保が不可欠であり、これまでも地域住民の方々に御理解や御協力をいただいて進めてきたところ。

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一 特別支援学校における教育の在り方について
(九) 高等盲学校改築期成会からの要望について

 高等盲学校にかかわっては、昨年9月、高等盲学校のPTAや同窓会などの関係団体で構成する校舎改築期成会から道教委に対して移転新築の要望書が提出されたと承知している。その中では現校舎のある地域は平成11年に建設省から土石流危険区域内にあるとされたようであるが、要望は具体的にどのような内容でどういった理由からのものなのか伺う。

所  管: 学校教育局特別支援教育課
答弁者: 特別支援教育課長

北海道高等盲学校改築期成会からの要望についてですが、

○ 昨年9月に、高等盲学校父母と先生の会や視力障害者福祉連合会などの福祉団体、あんま・マッサージ・指圧師会などの業界団体等で構成される改築期成会から道教委に対して高等盲学校の有朋高校跡地への移転・新築について要望があったところ。

○ その内容について申し上げますと、移転・新築については、

  • 学校が土石流危険区域内にあること
  • 傾斜地にあるため、校合は階段が多く複雑であること
  • 校舎が狭隘で老朽化していること

などが、また、移転先を有朋高校跡地とすることについては、

  • 医師の派遣指導など札幌医科大学との連携が図りやすいこと
  • 専攻科の理療臨床実習に必要な臨床患者が確保しやすいこと
  • 視覚障害者である生徒や理療業従事者にとって移動に係る身体的な負担が少ないこと

などが理由となっているところ。

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一 特別支援学校における教育の在り方について
(十) 視覚障がい教育のセンター校の整備について

 私は、盲学校の在籍者数が今後も減少していくことが予想される中で、盲学校がこれまで培ってきた視覚障がい教育の専門性を維持し、一人一人の教育的ニーズに応じた教育を展開していくためには、これまでの地域との関係を保持しつつ、幼稚部から高等部専攻科まで一貫した教育を行い、さらには卒業後の就労支援の機能を持つ本道における視覚障がい教育の拠点となるセンター校を有朋高校の跡地に整備し、他の盲学校や小・中学校の特別支援学級などに対し高度の専門性に基づく支援を行っていく体制を整備すべきであると考えている。高等盲学校の校舎・寄宿舎は傾斜地にあり、校舎は階段や段差が多い。土石流危険区域内でもある。市電から降りて坂道を登っていく姿、雪道を漕いで通学する姿などを見るにつけ、視覚に障がいを持つ生徒の学習環境・生活環境としてよいのか、常々考えているところである。高橋知事の2期日の公約においても 「有朋高校跡地の有効活用を含め、特別支援教育体制の充実を図る」 ことが掲げられており、早急に検討する必要があると考えるが、教育長の見解を伺う。

所  管: 学校教育局特別支援教育課
答弁者: 教育長

視覚障害教育の在り方などにかかわってでありますが、

○ 盲学校においては、視覚障害に対応した高い専門性を生かし、一人一人の教育的ニーズに応じ、将来の自立、社会参加を目指した教育を展開してきたところ。

○ 委員から御指摘のありました幼稚部から高等部専攻科まで一貫した教育体制の整備については、視覚障害のある児童生徒への教育についてより専門性を高めていく上で、効果があると考えているところ。

○ また、

  • 高等盲学校については、土石流危険区域内にある上、校舎は段差が多く、移動がスムーズに行えない。
  • 札幌盲学校については、建物の老朽化が進んでいるなどの状況にあり、

必ずしも、視覚障害の児童生徒に対し、十分に配慮された教育環境とはなっていない面もあると考えているところ。

○ 道教委としては、今年度策定を予定している特別支援教育に関する基本方針の中で高等盲学校などの在り方についても、ただ今申し上げた状況を踏まえ、検討することとしており、できるだけ早期にその考え方をお示しできるよう取り組んでまいる。

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