議会報告 【文教委員会】 平成21年8月4日 「総合学科について」

火曜日, 8月 04, 2009

《 総合学科について 》  

 

(一) 総合学科の成果について
(二) 全国的な評価について
(三) 卒業生を対象とした調査について
(四) 調査の実施について
(五) 総合学科の充実について
(六) 知事部局との連携について

 

 

平成21年8月4日  
質問者 自民党・道民会議  千葉 英守   

 

 

(一) 総合学科の成果について  
 

 道教委では、これまで、総合学科や単位制などの新しいタイプの学校の設置を進めてきているところである。特に、総合学科については、平成9年度に初めて十勝管内の清水高校に設置してから、これまでに公立高校12校に設置しているところであり、はじめての設置から12年を経過していることから、総合学科校における教育実践についての成果や課題など、総合学科としての評価をしっかり行っていくことが求められていると感じている。そこで、このことに関して、何点か伺いたい。総合学科については、普通科と専門学科の両方の特色を併せ持つ学科として設置され、特色ある教育活動を展開していると聞いているが、実際にどのような成果をあげているのか伺う。

 

所  管 新しい高校づくり推進室
答弁者 参事(改革推進)

 

総合学科の成果についてでありますが
○総合学科は、将来の職業選択を視野に入れた自己の進路への自覚を深めさせ、生徒の個性を生かした主体的な学習を通して学ぶことの楽しさや成就感を深めさせることができる学科であることなどから、平成5年に、普通科及び専門学科と並ぶ新しい学科として制度化されたのを機に、本道においても、平成9年度からその設置に取り組み、既存学科からの転換や学校・学科の再編に併せて、その整備を進め、これまで、8管内の12校に設置してきているところ。

 
○ 総合学科からは 
 ・ 生徒自らの科目選択や少人数指導・習熟度別指導の実施などにより学習意欲が高まり、学力の向上が図られたこと、また、
 ・ 総合学科の必履修科目である「産業社会と人間」の中では地域の起業家による実験体験を踏まえた特別講義やインターシップの実施などが行われており、こうした取組を通して、勤労観や職業観が育成され、将来を見通した進路選択ができるようになったことなどの成果が報告されるとともに、大学進学率や就職内定率が上昇し、中途退学率が低下した学校も多く見られているところ。

 

(二) 全国的な評価について  
 

 総合学科は、全国で設置が進められており、昨年4月現在の設置校数は330を超える状況である。これだけ総合学科校が増えていることから、総合学科についての評価も重要であると考える。そこで、全国的には総合学科に対してどのような評価がされているのか伺う。

  

所  管 新しい高校づくり推進室  
答弁者 参事(改革推進)

 

全国的な評価の状況についてでありますが  
○ 平成19年度に国立教育政策研究所が総合学科校とその生徒を対象とした全国的なアンケート調査を実施しておりますが、学校に対する調査からは、  
・ 「目的意識をしっかり持って授業に参加する生徒が増え、学習意欲が向上した」  
・「進路目的を早期に設定できる生徒が増えた」 ことなどが成果としたてあげられ、また、生徒に対する調査ではその約8割が総合学科で学ぶことについて、「満足」または「ほぼ満足」と答えており、満足している点として、「趣味・関心等に応じて教科・科目を選択できる」、「多様な選択科目が開設されている」ことなどがあげられていたところ。

 
○ 学校からは  
・「安易な科目選択をさせない工夫が求められる」  
・「教員によるガイダンスが多様化する進路に対応できていない」ことなどがあげられ、また、生徒からは、「進路について考える時間が必要である」、「施設・設備が不十分である」といったことが上げられていたところ。

 

(三) 卒業生を対象とした調査について  

 

 総合学科においては、一定の成果をあげている印象を受けているが、実際に総合学科で教育を受け卒業した生徒に対して、総合学科で学んだことについてどのように思っているのかなどの声を聞く必要があると考えている。これまでに、本道において総合学科を卒業した生徒を対象とした調査は行われているのか、また、全国的な調査についてはどうかを伺う。

   

所  管 新しい高校づくり推進室  
答弁者 参事(改革推進) 
 

卒業生を対象とした調査についてでありますが  
○ 道教委としては、これまで、総合学科校における教育実践の内容や導入前後の生徒の進路動向などを把握してきておりますが、総合学科を卒業した生徒を対象とした調査等は行っていないところ。

 
○ また、全国的な調査としては、平成11年に当時の文部省が設置した「総合学科の今後の在り方に関する調査研究協力者会議」が実施した総合学科校の在校生や保護者、卒業した生徒などを対象とした総合学科に関する意識調査があるところ。

  
○ この調査によると、卒業生の約8割が総合学科で学ぶことについて、「満足」又は「ほぼ満足」と答えているとの結果が報告されているところ。

 

(四) 調査の実施について
  

 今年3月、道内で総合学科の卒業生を出した学校は9校となり、その数も1,200人を超えている。本道においても、そろそろここらあたりで、総合学科を卒業した生徒を対象とした調査を実施し、卒業生からの声も聞きながら、様々な観点から総合学科の教育実践等に関して、分析していく必要があると考える。今後、道教委としてどのように対応していくのか伺う。

 

所  管 新しい高校づくり推進室
答弁者 新しい高校づくり推進室長

 

調査の実施についてでありますが  
○ 総合学科における教育の改善・充実の為には、総合学科校における成果や課題等を様々な角度から把握し、分析していくことが大切であると考えているところ。

  
○ 道教委では、これまで、総合学科校における教育実践の内容等の把握ということでの調査を実施しておりましたが、今年度におきましては、委員からご指摘の点を踏まえ、総合学科の卒業生を対象とした調査も行うこととし、調査の方法や内容などについて、大学の研究者からの専門的な意見等を伺いながら、早急に検討してまいりたい。

 

(五) 総合学科の充実について

 

 総合学科校においては、その特色を生かした様々な教育活動を展開しているようである。また、来年には余市町で、再来年には美唄市で総合学科が設置されることになっており、総合学科における教育の充実は、本道の高校教育を推進する上でも重要であると考えている。今後、道教委として、総合学科における教育の充実に向けてどのように取り組んでいくのか、伺う。

 

所  管 新しい高校づくり推進室  
答弁者 教育長

 

総合学科の充実についてでありますが  
○ 近年、少子化の進行などにより、総合学科校においても学級規模が縮小し、開設科目の維持が難しくなることや、また、生徒の興味・関心や進路希望等が多様化する一方で、進路意識が十分でないまま科目を選択する生徒がいることなど、課題となっているところ。

  
○ こうした中、これまで、総合学科校においては、地域や学校の実態に合わせた開設科目の工夫や進学や就職希望にも対応した魅力あるカルキュラムとするため、情報系列と観光ビジネス系列を大括にした商業・情報系列といった新たな系列にまとめたりするなど工夫、さらに、必履修科目である「産業社会と人間」における進路選択や科目選択のガイダンス指導の充実などに取り組んできているところ。

   
○ 今後、多様化する生徒の進路希望等に適切に対応していくためにも、総合学科の機能は有効であることから、道教委としては、総合学科における成果と課題等の分析結果なども踏まえながら、総合学科の本来の機能が十分発揮できるよう工夫・改善を重ねつつ、地域の学校・学科の配置状況にも配慮し、総合学科校を多くの通学区域に設置できるよう検討して参りたい。

 

(六) 知事部局との連携について  
 

 総合学科を多くの通学区域に設置するということであるが、本道においては、総合学科の設置に関わり、産業教育の振興が重要であると考える。特に、道においては、企業誘致を進めているところであるが、そういった産業を発展させていくためには、産業を担う若い労働力が必要である、そして、そのためには、産業教育において、北海道の将来を担う人材の育成という観点にたって、知事局と十分連携し、人づくりを進めていくことが大切である。このことについてどのように考えているのか、教育長に伺う。

 

所  管 新しい高校づくり推進室(高校教育課)
答弁者 教育長

 

知事部局との連携につてでありますが  
○ 高等学校における職業教育は産業経済の発展と地域社会の振興に寄与する有為な職業人の育成に大きな役割を担っているものと考えており、そういった点で、時代の要請に応える産業人材の育成・確保に向けた施策を進めることとしている知事部局との連携は大切なものと考えているところ。

 
○ こうしたことから、道教委では、これまでも、知事部局との連携を図った「ものづくり人材育成事業」の実施による技術・技能の向上を目指す教育等にも取り組んできたところであり、さらに、今年度から実施する「専門高校 Power Up プロジェクト」推進事業においても、知事部局と連携し、道立の試験研究機関はもとより、大学や地域の企業の協力・支援による実習や研究を行うなどして、将来の地域産業を担う実践的な能力を身につけた人材の育成に努めることとしているところ。

 
○ 道教委としては、本年2月の北海道産業教育審議会からの提言も踏まえ、今後とも、知事部局との連携を図りながら、新しい産業技術や経済システムなどに適切に対応し、本道の明日の地域を支え産業を担うことのできる人材の育成に努めてまいりたい。

 

 

 



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