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≪十勝管内道立高校におけるいじめ事故について≫
(一)十勝管内道立高校で発生したいじめについて
(二)道教委のこれまでの対応について
(三)いじめを受けた生徒といじめを行った生徒への対応について
(四)道教委の高校への支援について
(五)いじめ根絶に向けた取組について
平成21年6月2日
質問者 :自民党・道民会議 千葉 英守
(一)十勝管内道立高校で発生したいじめについて
昨年の8月から、2年生の男子生徒9名が、一人の生徒を集団でいじめていたということであり、しかもその内容が「ズボンを脱がして写真に撮り、それをインターネットに掲載した」ということであります。マスコミにも大きく取り上げられた事件でありますが、大都会の高校ではなく、のどかな地方の学校での事件であり、また、その内容に正直なところ「ここまでやるのか」と、暗澹たる思いであります。まず、これをどうお考えになるのか、教育長の見解を求めます。
所 管 : 学校教育局学校安全・健康課
答弁者 : 教育長
十勝管内道立高校で発生したいじめについてでありますが、
○ この度の事故は、小・中・高等学校を問わず、道教委が市町村教育委員会と連携していじめ根絶に向けた取組を実施している中で発生したものであり、特に、
・一人の生徒に対し、昨年9月から半年以上にわたり、9名という大勢の生徒がいじめにかかわっていること
・いじめの内容が悪質であること
・長期にわたるいじめに教職員が気付かなかったこと
など、日頃の生徒指導において大きな問題があり、私としても深刻に受け止めているところ。
○ 私としては、今回の事故を真摯に受け止め、この問題を、一つの学校、一つの地域でのことと、とらえることなく、どの学校でも起こり得るものであるという観点に立って、それぞれの学校におけるいじめの対応状況を点検しながら、いじめの根絶に向けた取組を、より一層推進していかなければならないものと考えているところ。
(二)道教委のこれまでの対応について
私は、これらの行為は、最も悪質な行為であると思っています。いじめられた生徒が、気丈に、いじめに耐えてくれたから良かったものの、「かつての滝川市の小学生の事件のように、自殺という最悪の結果をまねいていたならば」と考えると、何とも言いようのない憤りを覚えるものであります。また、1学年にたった2クラス、80名足らずしかいないのに、一部の生徒は知っていたけれど、教師は誰一人として気付かなかったということだそうでありますが、現在、滝川市教委が報告書を作成中と聞いている、滝川市の中学校の事件と全く同じ状況であります。一体、学校経営はどうなっているのか、教師は何を見ていたのかと言わざるを得ません。この事件は、報道が先行し、保護者や生徒に情報がないまま混乱したという話も聞きます。学校も対応に苦慮したと思うが、十勝教育局や道教委本庁は、この問題の対応にどのような汗をかき、どのような指導を行ってきたのか、お伺いします。
所 管 : 学校教育局学校安全・健康課
答弁者 : 学校安全・健康課参事
道教委のこれまでの対応についてであるが、
○ 道教委としては、この度明らかになったいじめが生徒の心に深い傷を負わせていると考えられることから、いじめを受けた生徒の心のケアを行うことを最優先させることとし、緊急にスクールカウンセラーを派遣したところ。
○ また、いじめにかかわった生徒の人数も多く、半年以上にわたって、いじめが行われていたことなどから学校においては、生徒間の人間関係の修復や校内の指導体制の立て直しなど多岐にわたる対応が必要となっているところ。
○ こうしたことから、教育局の職員を直接学校に派遣し、状況の把握に努めるとともに、当面、学校がとるべき対応や今後のいじめの再発防止に向けた取組について強く指導しているところ。
(三)いじめを受けた生徒といじめを行った生徒への対応について
生徒指導の面で伺います。被害者となった生徒の心のケアと、加害者である生徒に対する処分の問題があるが、どのような観点を重視して対応したのかお示し頂きたい。
所 管 : 学校教育局学校安全・健康課
答弁者 : 学校安全・健康課参事
当該高校における生徒への対応についてでありますが、
○ いじめを受けた生徒については、先ほど申し上げたように心のケアを行うことを第一として取り組んでいるところであるが、保護者からは、
・安心して学ぶことのできるいじめのない環境づくりをしてほしいこと
・学校生活に対する不安を取り除いてほしいこと
などの要望が出されていることを踏まえ、校内における生徒の生活状況を十分把握できるよう校内巡視体制の強化を図っており、また、教職員によるケア担当グループを編成し、いじめにかかわった生徒の学校生活全般をサポートしながら、不安の解消に努めているところ。
○ いじめにかかわった生徒については、全員が停学処分となっているが、いじめへのかかわりの度合いや、いじめの回数がそれぞれ異なっていることから停学の日数に軽重をつけ指導したところ。
○ また、停学解除後においても、多数の生徒で一人の生徒をいじめるなど、自分たちの行ったことの過ちに気付かせ、心から済まないと反省させるよう、継続的に個別指導を行っているところ。
○ なお、今回の事故は、狭い地域社会の幼なじみの間で起こっており、今後もいじめを受けた生徒といじめにかかわった生徒の関係が継続することが予想されることからいじめを受けた生徒の心のケアを行うことを最優先としながら、生徒の将来に十分配慮した指導が必要と判断したと聞いているところ。
(四)道教委の高校への支援について
学校では再発防止に向け、相談体制の充実、インターネットの問題など情報モラル教育の実践の徹底、人とのつながりの大切さなどについて取り組むとのことであります。しかし私には、この事件からどのような教訓を得て取り組もうとするのか、残念ながらそれが見えてこないのであります。全校挙げて教師も生徒も、お互いの心の琴線に触れるような、こんなふうな事をやって行くんだというものが無ければならないのではないだろうかと思います。道教委として、どのように支援、指導する考えなのかお伺いします。
所 管 : 学校教育局学校安全・健康課
答弁者 : 学校教育局次長
高校への支援についてでありますが、
○ 当該高校においては、二度といじめを起こさないようにするために、学校側の取組として、
・学校生活の規律の向上を図る生徒指導の充実
・生徒のサインを見逃さない体制づくり
・地元の教育委員会など地域関係機関との連携の強化
などを柱として対応に努めているところであり、また、生徒の主体的な活動として、いじめ根絶の意志を表す黄色いリボンを当該高校の生徒会執行部と教職員が身に付け、さらに全校生徒に対してもリボンを身に付けることを呼びかける「イエローリボン運動」を展開するなど、教職員と生徒が一体となって学校のいじめ根絶の機運を高める取組を進めているところ。
○ こうした学校の対応は、今始まったところであり、道教委としても、学校の取組の状況を把握しながら再びいじめ事故が発生することのないよう、積極的に指導を行ってまいる。
(五)いじめ根絶に向けた取組について
私は、前々から疑問に思っているのですが、教育委員会の関わり方というか、あり方についてであります。今回の事件は、幼い頃からの固定された人間関係の中で起こったとされているわけですが、小中学校は市町村教委が責任を持ち、道立高校は道教委が責任を持ちますという体制になっています。学校の設置者として、制度的に区切るのはわかるとしても、今回のような事件があると、地域ぐるみで子どもたちを見守ること、そのような体制が必要だと言えるのではないでしょうか。小、中、高校の一貫した連携が必要であり、その意味で、道立学校と地元の教育委員会が意見を交換することがあって然るべきではないかと考えます。先ほど、この高校も地域ぐるみでいじめ根絶に取り組むという話がありましたが、改めて道教委の基本的な考え方をお聞かせ頂きたい。
また、いじめは、絶対にあってはならないことです。全道の学校にも、いじめの防止について、改めて指導すべきではないかと考えますが、併せて伺います。
所 管 : 学校教育局学校安全・健康課
答弁者 : 教育長
道教委における取組についてでありますが、
○ この度の事故は、小学校から継続している人間関係の中で、高校入学前からの悪ふざけがエスカレートして起こったという側面をもっており、今後、同様の事故を起こさないようにするためには、特に、小・中学校と高校が連携した生徒指導を行うとともに、家庭や地域の関係機関との協力による地域ぐるみの取組が重要であると考えているところ。
○ 当該高校においては、校長が地元の教育長と意見交換を行い、地域が一体となって取り組んでいく必要があることを確認したところであり、道教委としても、いじめ防止は、家庭と地域と一体となった取組が必要と考えており過日、十勝教育局長が地元教育委員会に出向き、当該高校への支援を要請したところ。
○ また、今回の事故を踏まえた道内の他の学校への指導については、まずは、各学校における、いじめの未然防止対策の実施状況を確認する必要があると考えている。
○ そのため、すべての道立学校に教育庁職員が出向き、この春、各学校に改めて通知した 「いじめの未然防止、早期発見・早期対応に向けた取組の充実について」に基づいて、各学校の取組が適切に行われているかどうか点検を実施し、取組が不十分な学校については、強く指導してまいる。
○ また、市町村教育委員会に対しても、職員が出向くなどして、同様の取組が行われるよう、働きかけてまいる。