議会報告 【文教委員会】 平成20年8月5日 「教員採用試験について」

火曜日, 8月 05, 2008

《 教員採用試験について 》

 

(一) 採用試験の運用について

(二) 文書の保存について

(三) 試験問題や合否の判定基準などの公表について

(四) 人事の公正について

(五) 今後の取組みについて

 

平成20年8月5日

質問者: 自民党・道民会議  千葉英守

 

(一) 採用試験の運用について

 大分県で、得点改ざんという手法の不正が可能となったのは、合否の最終判定段階において、逮捕された幹部職員一人で処理できる仕組みとなっていたことが、原因の一端であるという指摘がなされている。そこで伺うが、道教委及び道教委から独立して人事権を持っている札幌市教委の採用試験では、そのような懸念がないのか。採点から合否まで、どのように運用されているのか伺う。

 

所 管: 総務政策局教職員課
答弁者: 教職員課参事

 

採用試験の運用についてでありますが
○ 教員採用選考検査の第一次検査においては、

  • 問題作成段階での近親者及び同居人に受検予定者のいる者の問題作成委員からの除外、
  • 採点・集計段階では、教養検査のマークシートによる機械採点及び、その後の職員による点検作業の実施、専門検査の採点及び集計事務における複数担当者によるダブルチエック

を行っているところ。

  • 合否判定の段階では、採点の集計結果を複数の担当者が確認しながら、選考検査判定基準に基づき、教職員課原案を作成し、教育長決裁により決定

しているところ。

 

○ 第二次検査においては、

  • 論文や集団面接の課題等の作成においても、近親者及び同居人に受検予定者のいる者を作成委員から除外するとともに、採点の際には、複数の採点者によるダブルチェックを行っているところ。
  • 面接・実技検査の実施に当たっては、評価基準や検査の進め方を検査前にホームページ上で公開するとともに、複数の面接員による面接や民間面接員を加えた集団面接などを実施

しているところ。 

  • 採点・評価結果の集計に当たっては、複数の担当者がチエックする体制をとり
  • 合否判定においては、それぞれの評定について複数の担当者による確認を行いながら、選考検査判定に基づき、教職員か原案を作成し、教育長決済により決定

しているところ。

 
○ 更に、道民の皆様からの教育に関する意見などの受付窓口を常時設置しているとともに、職員からの業務改善提案・通報窓口を設置している。また、今年度から、各検査会場に情報提供窓口を設置し、受検者からの情報を受け付けているところ。

 
○ 道教委においては、以上のような体制を整備し、公正でより透明性の高い選考検査の実施に努めているところ。

 

○ なお、札幌市教育委員会の採用検査の運用について、詳細は承知しておりませんが、道教委と、ほぼ同様な不正行為を防止する仕組みを整備していると聞いている。

 

(二) 文書の保存について
 大分県教委では、文書保存規定に反して、答案用紙が半年間程度で廃棄処分されていたと言われているが、道教委及び札幌市教委の場合はどのような扱いになっているのか。

 

所 管: 総務政策局教職員課
答弁者: 教職員課参事

 

文書の保存についてでありますが
○ 第一次検査の教養検査と専門検査、及び第二次検査における論文検査の答案につきましては、教育庁文書管理規定により翌年度末までの1年間保存しているところ。

 
○ 札幌市教育委員会の答案に取扱いにつきましては、第一次検査に係る教養検査及び専門検査の答案は、道教委において一括保存しており、また、
第 二次検査の論文検査の答案については、札幌市教育委員会で永年保存していると聞いている。

 

(三) 試験問題や合否の判定基準などの公表について
 
 このような不正の再発を防止するためには、採用試験の透明性を高めるべきだという指摘もある。試験問題や合否の判定基準などの公表について、道教委及び札幌市教委は、どのように取扱っているのか伺う。また、不合格となった受検者本人から「自分の得点が知りたい」といった問い合わせがあった場合、得点の公表については、どのように対応しているのか、併せて伺う。

 

所 管: 総務政策局教職員課
答弁者: 教職員課参事

 

試験問題や合否の判定基準などの公表についてでありますが
○ 教員採用検査の問題については、受検者に、第一次検査における教養、専門検査問題、第二次検査における論文検査問題の持ち帰りを認めている ほか、各検査実施翌日から、第一次検査における「教養検査問題」、「専門検査問題」、第二次における「論文検査問題」、「集団面接課題」、「実技検査  問題を請求により開示しているところ。かた、合否の判定基準については、「北海道公立学校教員採用候補者選考検査判定基準」を道教委ホームページに より公表しているところ。なお、これらの扱いについては、札幌市教育委員会においても同様の取り扱いとなっております。
 
○ 不合格となった受検者本人から、得点の問い合わせがあった場合の対応については、北海道個人情報保護条例に基づき第一次検査における教養 検査得点、専門検査得点、第二次検査における論文検査結果、面接検査結果、実技検査結果、適正検査結果について開示しているところ。なお、第一次検査で不合格となった方の筆記検査の得点及び第二次検査の受検者で登録にならなかった方の検査結果の総合ランクについては、合否 の結果通知書を発送した日からの1ヶ月間、口頭により開示請求できるものとしております。札幌市教育委員会においても、道教委と、ほぼ同様の取扱  いを行っていると聞いております。

 

(四) 人事の公正について

 大分県教委では採用試験の他に、校長や教頭の昇任人事に際しても、多額の金品の贈与が行われていたことが発覚している。二ュースの画面では、県内の元校長と言う人物が、「一緒に受検した先生が提出した答案の1枚は白紙だったが、その先生も私と一緒に校長になった。」「昔から、何であの人が校長に・・・と、まわりから不思議がられるような人事があった。」などと話しているばめんも流されている。道教委でもかって、道立学校の事務長人事で 幹部職員が逮捕されるという事件があったが、人事の公正を保つために、どのように取り組んでいるのか。

 

所 管: 総務政策局教職員課
答弁者: 総務政策局長

 

人事の公正についてでありますが

○ 道教委では、校長採用や教頭昇任に当たっては、それぞれの選考実施要綱に基づき、論文及び面接により選考検査を行っているところ。
 
○ 論文評定に当たっては、本庁及び教育局の管理職が3人1組で解答の評価を行い、協議の上、総合評定をしているところ。論文の解答用紙には、氏 名を記載させず番号により管理を行うとともに、各教育局の評定員は、所属する管内の評定はしないこととしているところ。
 
○ 面接についても、本庁及び教育局の管理職の3人から4人の面接者が1組となり、論文と同様に、それぞれが評定が行い、協議の上、総合評定を行 っているところであり、相互牽制がなされているところ。

○ 小中学校の校長、教頭の論文、面接の評定結果については、教職員課及び教育局が互いに管理を行っているところ。ない、登録に当たっては、教育 局が、論文、面接のそれぞれの評定結果を基本に、市町村教育委員会教育長や校長の意見も参考にして原案を作成し、教職員課では、教育局の原案 について点検に上、全道の登録案を作成し、教育長決裁により決定しているところ。また、高等学校、特別支援学校については、論文、面接の評価結果  は教職員課が管理しており、登録に当たっては、小中学校同様、論文、面接のそれぞれの評定結果を基本に、校長からの意見も参考にして登録案を作 成し、教育長決裁により決定しているところ。

○ 道教委としては、複数者による評定や相互牽制を行うなどして公正の確保の努めているところであるが、今後も引き続き、「教員採用候補者選考検  査等のあり方に関する連絡協議会」において業務を点検し、より、公正や透明性の確保が図られるよう努めてまいる。

 

(五) 今後の取組みについて

 「教員の世界は一般社会に比べると、遥かに閉鎖的な社会であり、そのような土壌・風土は全国に共通するのだ。」とか「今回の事件と同じようなことは、 全国どこでも行われているのではないか。」と疑問を抱く人も多いと言われている。今年度4月早々、道教委や札幌市教委においても、内部限りの資料で あるはずの「面接実施要領」が受験生の間に流出していたことが明らかになり、面接員を努めた校長が漏らしたのではないかなど、道民の厳しい批判を 浴びたことは、記憶に新しいところである。本道教育界に、このたびの大分県のような事態を招かないために、道教委としてどのように人事行政を進める のか、教育長の考えを聞く。

 

所 管: 総務政策局教職員課
答弁者: 教育長

 

今後の取組みについてでありますが

○ 教育経験のある職員が人事を行うことについて、委員からご指摘がありましたが、道教委においては、行政職の職員により相互牽制を働かせながら 人事を行っているところである。

○ また、北海道においても、同じ大学の出身者による同窓会があることは承知しているが、同窓会が人事の不正の温床となっているものではなく、むし ろ、先輩が後輩を育てるという役割うを担っている面があると受け止めているところ。

○ 私としては、人事を所管するものが、しっかりと適材適所、公正な人事を行い透明性を高めることが、なによりも大事なことと考えているところ。

○ 道教委では、これまでも教員採用選考検査等において不正防止のための取組みを行ってきているが、今回の大分県の事件を契機に、道教委として 道民の皆様に、しっかりと説明責任を果たすことが大切と考えており、今後も引き続き、より公平・公正で透明性の高い人事行政を推進するために、全力 を上げてまいる。

 

(結び)

 本道では、道教委と札幌市教委がそれぞれ任命権を持っていることから、採用事務等も個別に行われているが、「面接実施要領」の例からも明らかなよ うに、例えば札幌市で起こったことは、道でも起きている可能性が高いと考えなければならないし、逆のこともあり得るだろう。その意味では、常に両者の 連携を図ることが大切である。もつろん、一般市町村教委との間でも連携を密にするとともに、市町村教委が持つ人事の内申権を、形だけのものにして  はならないと考える。また、いささかなりとも不正を疑わせるような情報があれば、速やかに調査を行い、事実を明らかにすることが必要であるということ  を強く申し上げ、質問を終わる。

 

 

 



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