議会報告 【平成20年 第1回北海道議会定例会 予算特別委員会(企画振興部所管)】 平成20年3月21日 「市町村財政について」

金曜日, 3月 21, 2008

《 市町村財政について 》
 

 

 

(一) 地方交付税について
(二) 道路特定財源に係る暫定税率について
(三) 公立病院改革ガイドラインについて

 
平成20年3月21日
質問者: 自民党・道民会議 千葉英守

 
市町村財政について
 
(一) 地方交付税について

 
1 市町村財政への影響について
 ねじれ国会の下で、地方交付税法改正案の3月31日までの成立が危ぶまれております。これが万が一成立しないとなると、4月に各自治体に概算交付される交付額が大幅に縮小し、財政運営に大きな支障が出ることが憂慮されております。市町村財政にどのような影響が出ると考えているか伺います。
 
所 管: 企画振興部地域振興・計画局市町村課
答弁者: 市町村課長
 
市町村財政への影響についてでありますが
○ 今国会に提案されている地方交付税法等の改正案が、年度内に成立しない場合には、道内市町村における地方交付税の4月の概算交付額が140億円程度減少することも見込まれることから、市町村によっては資金繰りに影響が生じるものと考えられる。
 
○ また、この改正案では、平成20年度及び平成21年度の交付税特別会計借入金の償還を平成26年度以降に繰り延べること等により、必要な地方交付税総額の確保を図ることとしており、仮にこの改正案が成立しない場合には、市町村財政に大きな影響があるものと考えている。
 
2 解消策について

 こうした事態を避ける手立てがないのか伺います。
 
所 管: 企画振興部地域振興・計画局市町村課
答弁者: 地域振興・計画局長
 
地方交付税法等の改正案が、仮に年度内に成立しない場合の対応についてでありますが
○ 法案が年度内に成立しないことになれば、市町村の資金繰りに影響が生じる場合があり、市町村によっては事業着手の時期の先送りや資金繰りのための一時借入金などのより対処しなければならない場合もあると考えている。
 
(二) 道路特定財源に係る暫定税率について
 
1 市町村税への影響について

 道路特定財源に係る暫定税率も3月31日で期限切れとなることが現実味を帯びてきております。こうした場合、市町村の税収にどのような影響を及ぼすのか伺います。
 
所 管: 企画振興部地域振興・計画局市町村課
答弁者: 市町村課長
 
仮に道路特定財源にかかる暫定税率が廃止される場合の市町村税収への影響についてでありますが
 
○ 道路特定財源の暫定税率が廃止された場合、道内市町村においては、平成18年度決算を基に試算すると、地方贈与税などで年間275億円程度の減収となることが見込まれ、何らかの財源措置が講じられなければ、市町村が行う道路の整備や維持補修、冬期間の除排雪等に充てている財源に影響が生じるものと考えている。
 
2 解消策について
 こうした事態を避ける手立てがないのか伺います。
 
所 管: 企画振興部地域振興・計画局市町村課
答弁者: 地域振興・計画局長
 
仮に暫定税率が廃止された場合の影響に対する対応についてでありますが
○ そのような場合は、地域にとって不可欠な道路の整備や維持補修、除排雪等に要する経費については、国に必要な財政措置を求めていかなければならないものと考えている。
 
(三) 公立病院改革ガイドラインについて
 
1 平成18年度決算について
 
 次に、公立病院ガイドラインについて伺います。地方財政健全化法の制定により、市町村病院の赤字の解消が急がれます。そこでまず、道内市町村立病院の経営実態について、平成18年度決算ではどうなっているのか、経常収益が赤字となった市長村数と赤字の額、また、不良債務を抱える市町村数と不良債務の額について伺います。
 
所 管: 企画振興部地域振興・計画局市町村課
答弁者: 市町村財政健全化支援室長
 
平成18年度における市町村立病院の決算状況についてでありますが
○ 道内の市町村が経営する83の病院事業全体の経常収益は、2,179億7千7百万円、経常費用は186億1百万円の赤字となっている。このうち、経常収支が赤字の事業は、69事業で全体の83%を占め、赤字の額は、191億6千4百万円と前年度に比べ73億4千3百万円増加している。
 
○ また、不良債務を生じている事業は24事業で不良債務の額は、220億3千7百万円と前年度に比べ75億3千3百万円増加している。
 
2 赤字の要因について
 赤字の要因について、どのように捉えているか伺います。
 
所 管: 企画振興部地域振興・計画局市町村課
答弁者: 市町村財政健全化支援室長
 
赤字の要因についてでありますが
○ 平成18年度の決算では、医業収益が1,915億6千6百万円で前年度に比べて142億2千3百万円、6.9%減少した一方、医業費用は、2,242億1千万円で前年度に比べて54億2千4百万円、2.4%の減少にとどまったところであり、経費の節減努力を上回る減収となったことによるものと考えているところ。
 
○ 医業収益の減については、近年における診療報酬のマイナス改定や医師不足などによる診療体制の縮小に伴う収入の減の影響が大きいものと考えている。
 
3 一般会計からの繰出基準について
 ガイドラインでは、一般会計からの繰出基準について、各市町村が定めることとされておりますが、道としては、どう助言していくのか伺います。
 
所 管: 企画振興部地域振興・計画局市町村課
答弁者: 地域振興・計画局長
 
一般会計からの繰り出しについてでありますが
○ 病院事業にあっては、自治体病院が担っているへき地医療や救急医療の確保、高度医療に要する経費など、効率的な経営を行ってもなおその収入では不足すると認められる経費については、一般会計が負担するものとして国において繰出基準が定められているところ。
 
○ また、この度、示されたガイドラインでは、一般会計が病院事業に対し負担すべき額について、地域医療の確保のために果たす自治体病院の役割や診療科目、病床数などの医療の提供体制を踏まえて、一般会計等において費用負担が行われるべきものの範囲を明らかにすることとされている。
 
○ このため、道としては、こうした考えに沿って、各市町村において、定められた繰り出しのルールに基づき、適正に繰り出しが行われ、病院事業の経営健全化が図られるよう、市町村財政の健全化も含め積極的に助言して参る。
 
4 経営の効率化について
 ガイドラインでは、経営の効率化として3年以内の「経常収支の黒字」の達成を目標にするとされておりますが、不良債務を抱える病院がそう簡単に達成できるとは思われません。道としてはどのような助言を行っていくのか伺います。
 
所 管: 企画振興部地域振興・計画局市町村課
答弁者: 地域振興・計画局長
 
公立病院経営の効率化についてでありますが
○ 経営効率化や収支の改善に向けてはそれぞれの病院が提供すべき医療機能を十分検討し、診療科目や病床数等の見直しを行うとともに、現に多額の不良債務を有している事業では、公立病院特例債の活用をはじめ、この度、拡充が図られた地方財政措置を最大限活用して経営改善の取組みを早急に進める必要があると考えている。
 
○ 道としては、このような観点から、地域医療の確保と病院経営の健全化を図るため、経営改善の必要な病院ごとに設置している「市町村立病院の運営に関する連絡協議会」において、それぞれの病院の実情に応じた対応について検討・協議を進めるなど、市町村立病院の経営効率化に向け、適切に対応して参る。
 
5 経営形態の見直しについて
 ガイドラインでは、都道府県の役割として、「再編・ネットワーク化」と「経営形態の見直し」をセットにし、市町村と共同して自ら計画、構想等を策定することも含め、積極的に参画することが強く求められております。道は、「再編・ネットワーク化」については、30の圏域による構想を示しておりますが、「経営形態の見直し」には、道は、どう取り組んでいくのか伺います。
 
所 管: 企画振興部地域振興・計画局市町村課
答弁者: 地域振興・計画局長
  
経営形態の見直しについてでありますが
○ 自治体病院等広域化・連携構想においては、地域における検討に当たって考慮すべき事項として経営形態に関することを掲げており、地方公営企業法の全部適用のほか、地方独立行政法人化、指定管理者制度など、民間的な経営手法を導入した多様な経営形態も考えられることから、これらについての柔軟な検討が必要である、としているところ。
 
○ 道としては、地域ごとに様々な実情があり、一律の考え方で行うことはできないものの、それぞれの市町村が地域の実態を踏まえて経営形態に関する検討を行い、的確な選択が行われることが重要であると考えており、道内外における様々な経営形態の関する情報提供を行うなど、必要な助言に努めて参る。
 
6 改革工程表について
 
 各市町村が、このガイドラインを踏まえ、病院経営の立て直しを進めるためには、各市町村が個々に進めるのではなく、ある程度歩調を合わせる必要があると考えます。そのためには、道がスケジュールや手順を盛り込んだ改革工程表を示し、それに基づき検討作業を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 
所 管: 企画振興部地域振興・計画局市町村課
答弁者: 企画振興部長
 
公立病院改革プランの検討についてでありますが
○ 地域医療を取り巻く環境や市町村の財政状況が厳しさを増す中で、市町村においては、早急に病院経営の健全化を推進する必要があると考えている。
 
○ このため、道としては、市町村において、平成20年度中に改革プランを策定されるよう、速やかに説明会を開催し、周知徹底を図るとともに、地域の実情に応じて公立病院改革が着実に推進されるよう、その推進状況を把握しながら、必要な情報提供や助言に努めるなど関係部が連携し、地域医療の確保と病院事業の健全な経営に向けた取り組みを積極的に推進して参る。



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