議会報告 【平成20年 第1回北海道議会定例会 予算特別委員会(知事政策部所管)】 平成20年3月21日 「新たな手法による政策展開について」

金曜日, 3月 21, 2008

《 新たな手法による政策展開について 》
 

 

  
新たな手法による政策展開について
 
(一) 赤レンガ・チャレンジ事業について
(二) 民間企業等との協働による事業展開について
  

平成20年3月21日
質問者: 自民党・道民会議 千葉英守

 
新たな手法による政策展開について
 
(一) 赤レンガ・チャレンジ事業について
 
1 赤レンガ・チャレンジ事業の取組みについて

 道職員の知恵と工夫により、特別な予算を伴わない赤レンガ・チャレンジ事業については、平成17年度の事業開始から3年経過し、今年度は225本の事業が実施されていると承知している。まず、これまでの取組みについて伺う。
 
所 管: 知事政策部
答弁者: 知事政策部参事
 
赤レンガ・チャレンジ事業の取組みについてでありますが
○ 赤レンガ・チャレンジ事業は、予算措置を伴わずに、道庁が持つ多様な資源を効果的に活用して、様々な行政課題の解決や道民サービスの向上を図るため、平成17年度から、職員の知恵と工夫をこらした取組みとして実施してきたところ。
 
○ 具体的な事業について申し上げると、まず、道有施設を活用したものとしては、支庁庁舎ロビーを開放して、地元産品の宣伝・販売を行ったり、地域にゆかりのある演奏家によるミニコンサートを開催するなど、地域住民の方々がふれあい、楽しめる場の提供に努めている。
 
○ また、職員の経験・技術を活用した事業としては、北海道史をテキストに古文書の解読方法などを道民の皆様と学習する「古文書解読講座」や、水産業や海の生き物に関する子どもからの質問を受け付けて、分かりやすく説明して理解を深める「子ども相談窓口」を開設するなど、多くの世代の方々に事業に参加していただけるような取組みを展開しているところ。
 
 
2 地域に根ざした事業の展開について
 赤レンガ・チャレンジ事業は、本庁各部、教育長、北海道警察本部のほか各支庁において取り組んでいるところであり、とりわけ支庁においては、それぞれの地域の特性や課題を踏まえた特色ある事業の展開が期待されるが、具体的にどの様な取組みが行われているのか伺う。
  
所 管: 知事政策部
答弁者: 知事政策部参事
 
赤レンガ・チャレンジ事業の地域における取組みについてでありますが
○ 平成19年度に取組んでいる225事業のうち、支庁で実施するのは111事業と、全体の約半数を占め、各支庁とも積極的に取り組んでいるところ。
 
○ 地域の課題に対応した特徴的な取組みとしては、例えば、日高支庁において職員食堂を活用し、管内の旬の食材を使ったランチメニューを住民の皆様にも提供して、地産地消に積極的に取り組んだほか、北海道洞爺湖サミットの開催地を抱える胆振支庁では、支庁職員と教育局職員が連携して、周辺施設のパンフレットや資料などの英訳を行い、外国人の受け入れに備えるなどの取組みがなされているところ。
 
○ また、道民の皆様に少しでも親しんでもらおうと、ユニークなネーミングにより取り組んでいる事業もあり、「ジャックとえだ豆木事業」と名付け、子どもたちと枝豆などの栽培体験を行う後志支庁の事業や、「森林からのメリークリスマス」と名付け、クリスマスツリーを児童福祉施設へ贈呈し、地元間伐材の有効活用と木育の推進を図っている上川支庁の事業などがある。
 
3 今後の対応について
 特別な予算を伴わずに政策課題の解決や道民サービスの向上を図る赤レンガ・チャレンジ事業の重要性は、道財政が一段と厳しい中、今後ますます高まって行くと思う。この3年間で、平成17年度は160の事業、平成18年度は212の事業、そして平成19年度は225事業と実施する事業の数が推移してきている。事業の数が増えてきていることも重要ではあるが、それぞれの事業の質を高めていくことも大きなポイントである。今後、赤レンガ・チャレンジ事業をさらに浸透させ、より事業の効果を高めていくために、どのような方策で事業を進めていこうとしているのか見解を伺う。
 
所 管: 知事政策部
答弁者: 知事政策部次長
 
今後の対応についてでありますが
○ 赤レンガ・チャレンジ事業は、事業創設以来、各実施部局はもとより当部において、全庁的な観点で、事業の点検を行い、その成果や課題等を整理し、翌年度の企画立案に活かしながらより効果的な事業となるよう務めてきたところ。
 
○ 道としては、今後とも事業に参加された皆様からのご意見を頂くなど、様々な機会を通じてニーズの把握に努め、新たな事業の企画立案や既存事業の磨き上げに活かすとともに、ホームページにおいて事業開始のお知らせから実施状況まで広く紹介するほか、地域における効果的な取組みが、全道的に展開されるよう努めてまいりたい。
 
○ また、道民サービスのさらなる向上を図る観点から、民間企業に対しても、道が保有する施設や人材といった資源の活用について、積極的に働きかけ、民間の有するアイデアなど頂くなどしながら、赤レンガ・チャレンジ事業の一層の充実に努めてまいりたい。
 
4 事業展開のあり方について
 赤レンガ・チャレンジ事業は、予算も伴わず、知恵と工夫による取組みであるが、もっと展開を広げていくべきと考えるものである。道内のいろいろな地域における、暮らし・生活、農林水産業で働く人たちなどは、北海道にとって一つ一つが重要な要素である。こうした地域に根ざした姿をもっとクローズアップし、道民に知ってもらうということも必要ではないか。赤レンガ・チャレンジ事業の取組みの中で、こうした地域の良さを知ってもらうような事業展開をすることが、新しい観光スポットの発掘につながったり、環境への配慮といった行動につながっていくのではないかと考えるが、道としての考え方を伺う。
 
所 管: 知事政策部
答弁者: 知事政策部長
 
事業展開のあり方についてでありますが
○ 道としましてはこれまで、職員自らが汗をかき、知恵を出してさまざまな政策課題の解決や道民サービスの向上をめざし、赤レンガ・チャレンジ事業に取組んできたところであり、事業開始から3年を経過し、庁内に定着してきているものと認識。
 
○ 委員からご提言のありました、地域に根ざした姿をクローズアップし、これを発信していくという視点は、今後の事業展開を進めていく上で大切であると考えており、例えば、平成20年度は、北海道・洞爺湖サミットの年であることから、環境に関する地域の取組みを重点的に発信するということなども、進めていきたいと考えております。
 
○ 限られた資源の中で、道民ニーズに的確に対応した政策を展開していくためには、多様な手法を活用した、効果的な政策展開を図っていくことが重要であり、道としては、今後とも、赤レンガ・チャレンジ事業の取組を一層活発化させていきたいと考えております。
 
(二) 民間企業等との協働による事業展開について
 
1 民間企業等とのタイアップ事業について

 企業の社会貢献意識が高まっている中でこれからは、企業とのパートナーシップを活用して道民サービスの充実などに積極的に取り組んでいくことが重要なことと考える。道では、平成18年度から民間企業などとのタイアップ事業に取り組んでいるところだが、2年間の取組みについて伺う。
 
所 管: 知事政策部
答弁者: 知事政策部参事
 
タイアップ事業の取組についてでありますが
○ 道としては、多様化する道民ニーズに対応するため、広く民間から提案を募り、企業等の知識や経験、資金などを活かしながら公共サービスの充実を図る新しい政策展開の手法方として、昨年度から、「民間企業等とのタイアップ事業」に取り組んできたところ。
 
○ これまで、企業、NPO、大学などから70件ほどの提案をいただき、少子化フォーラムなど子育てイベントへのサンプル資材提供や講師の派遣、ポイント交換カタログでの授産製品の取り扱い、道産食材の弁当による産消協働の普及啓発などといった企業等の人材や資産などを活用した26件の事業を民間の皆さまとともに実施してきたところ。
 
2 民間企業との包括連携協定の効果について
タイアップ事業をさらに発展させて、6つの企業との間で複数の政策分野にわたって協働の取組を展開する包括的な連携協定を結んでいると承知しているが、企業との包括連携協定によってどのような効果をねらっているのか考えを伺う。
 
所 管: 知事政策部
答弁者: 知事政策部次長
 
民間企業との包括連携協定の効果についてでありますが
○ タイアップ事業に取り組んでいる企業などから、社会貢献などを目的として、幅広い分野にわたる政策展開への協力の申し出があり、道としても、企業の有する様々な資源を活かすことにより、より効果的な政策展開が可能になると考え、あらかじめ、複数の分野を設定し、多様な事業展開を可能とする包括連携に取り組み、これまでに6つの企業と協定を提携しているところ。
 
○ 道としては、こうした協定を通じ、例えば、企業の店舗網などを活用した食や観光ブランドの道内外へのPRや災害における物資の供給、職員参加による森づくりなど連携企業が持つ特色を活かした多岐にわたる政策効果を期待しているところ。
 
3 包括連携協定に基づく事業展開について
 連携企業の様々な資源を活かすことで、道庁だけでは難しかった様々な施策の展開が可能となったと考えるが、連携協定による取組を通じてどのような成果があったのか伺う。
 
所 管: 知事政策部
答弁者: 知事政策部参事
 
包括連携協定の取組の成果についてでありますが
○ 道では、現在、食品会社、コンビニエンスストアそれぞれ2社、商社、金融機関それぞれ1社と協定を締結し、

  • 「暮らしの安心・安全」では、災害時の物資の支援協定
  • 「食」の分野では、スーパーマーケットでの道産品の販路拡大
  • 「観光」については北海道遺産のポストカードの全国配布などを展開

 
○ また、本年7月に開催される「北海道洞爺湖サミット」に関連して、カウントダウンボード設置やペットボトルの売上寄付と言った「北海道洞爺湖サミット道民会議」への支援があったほか、「地域振興」の関連では、オホーツク・エリアのイベントの紹介や協力、留萌地区での起業家支援セミナーの開催などが行われており、北海道の様々な魅力の発信や地域づくりといった面から、一定の成果がえられているものと認識。
 
4 連携事業の今後の取組について
 企業社会貢献意識の高さと協働による事業の効果についてはわかったが、これらの道政展開においては、こうした企業をはじめ多くの方たちの力をお借りしながら進めていくことが、これまで以上に必要である。これまでの待ちの姿勢を一歩進め、例えば「北海道の食」について、調理師団体と協力してレベルアップを図るといった、北海道を活性化する重要なテーマに関連する取組について道から連携企業に積極的に働きかけるなど、事業展開の充実を図るべきと考えるが、道として今後どのように取り組んでいこうとしているのか伺う。
 
所 管: 知事政策部
答弁者: 知事政策部長
 
連携事業の今後の取組についてでありますが
○ 多様な住民ニーズと政策課題に的確に対応していくためには、企業の社会貢献の意識の高まりなどを踏まえ、民間のアイデアや資産を活かした、知恵と工夫を凝らした施策の展開を図っていくことが重要と認識。
 
○ このため、道としては、今後とも、包括的に連携するパートナー企業を増やしていくとともに委員かあらご指摘のあった「北海道の食」の高付加価値化や観光プロモーションの全国展開といった企業にとって実施することが可能なアイデアを提供するなどして、私どもから積極的に出向く姿勢をもって様々な企業からの参画を則促し、民間企業との協働による取組が厚みと広がりのあるものとなるよう努めてまいる考え。



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