議会報告 【第3回北海道議会定例会 一般質問】 平成19年9月25日 「特別支援教育等について」

火曜日, 9月 25, 2007

《 特別支援教育等について 》

二 特別支援教育等について
 (一) 特別支援学校の役割などについて
 (二) 特別支援学校の配置の考え方について
 (三) 異なる障がい種別の受け入れについて
 (四) 知的障がい高等養護学校などの受け入れ体制の整備について
 (五) 盲学校の在籍者数の状況などについて
 (六) 視覚障がい教育のセンター校の整備について
 (七) 知事の認識について

 

 

平成19年9月25日
質問者: 自民党・道民会議 千葉英守

 

二 特別支援教育等について
(一) 特別支援学校の役割などについて

 道教委は、本道における特別支援教育に関して、今後概ね10年間の基本的な考え方と施策の方向性を示す 「特別支援教育に関する基本方針(仮称)」 を本年度内に策定するとし、この度、その素案を公表されております。私は、先の第二回定例会の予算特別委員会において、特別支援学校における教育の在り方について質問をし、道教委の取組や見解を答弁いただいたところでありますが、素案を読ませていただき、全般的に物足りなさを感じております。この後、パブリックコメントを実施したり、14支庁単位で意見を聴く会を開催すると聞いておりますので、そうした中での御意見や道議会での議論を踏まえて、さらに内容が充実されていくものと考えておりますが、本日は、素案の中の特に特別支援学校にかかわって、以下伺ってまいります。
 
 特殊教育から特別支援教育への転換により、これまでのように特別支援学校や小・中学校の特別支援学級だけではなく、幼稚園や小・中学校の通常の学級、高等学校においても障がいのある子どもたちの教育的ニーズに応じた適切な指導・支援が実施されるよう、本道の特別支援教育推進体制を構築していくことが必要であります。そのためには、やはり特別支援教育のセンター的機能を担う特別支援学校の果たす役割が大きいと考えます。まず、この特別支援学校の役割についてどう認識し、本道においてどのような体制を構築しようと考えているのか伺います。

 
所  管: 学校教育局特別支援教育課
答弁者: 教育長
 
特別交接学校の役割などについてでありますが、
 
○ 本年4月の改正学校教育法の施行に伴い、特別支援学校は在籍する幼児児童生徒一人ひとりの障害の種別・程度などに応じ、専門的な指導を行うとともに、小・中学校等に対して助言・援助に努めるセンター的機能がその役割として求められているところ。
 
○ こうした中、今般公表した 「特別支援教育に関する基本方針(仮称)素案」 においては、保護者の様々なニーズや本道の広域性、地域性を踏まえ、

  • 障害に応じた専門性に基づく教育を推進すること
  • できる限り身近な地域において

指導や支援を受けられる体制を整備し、きめ細かな教育を推進することを、基本的な考え方として示しているところ。
 
○ 今後、幼稚園、小・中学校、高校等においても障害に応じた専門性に基づく指導や支援を行うことが求められることから、特別支援学校が、自らその専門性を高めるとともに、センター的機能を発揮して、地域の小・中学校等に対し積極的に支援を行うことができるよう、道教委としては、研修の充実や特別支援学校と小・中学校等、さらには、関係機関との連携を強化するなどして、地域全体で特別支援教育の取組が進むよう努めてまいる。

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二 特別支援教育等について
(二) 特別支援学校の配置の考え方について

 次に、特別支援学校の配置の考え方について伺います。私は、とくに知的障害高等養護学校において極めて遠距離の学校に進まざるを得ない進学実態にあることが、現状の課題として挙げられるのではないかと考えます。そのようなことからすれば、配置のあり方を検討するに当たっては、本道の広域性を十分に考慮すべきと考えますが、教育長の見解を伺います。

 
所  管: 学校教育局特別支援教育課
答弁者: 教育長
 
次に、特別支援学校の配置の考え方についてでありますが、
 
○ 特別支援学校には、在籍する児童生徒等に対して専門的な指導を行うとともに、地域の小・中学校等における特別支援教育を支援する役割を担うことが求められているところ。
 
○ 道教委としては、特別支援学校がこうした役割を十分に果たしていくためには、何よりもその専門性を維持し、向上させていくことが大切であり、そのためには、同一の障害のある児童生徒等による一定規模の集団が確保されることが必要と考えているところ。
 
○ こうしたことから、素案においては、本道の広域性を踏まえ、現行の地域生活経済圏を基本として、特別支援学校の設置状況や障害種別ごとの児童生徒等の状況などを十分考慮し、障害の種別や程度に応じた専門性の高い教育を行う観点に立って特別支援学校を配置するとしているところ。

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二 特別支援教育等について
(三) 異なる障がい種別の受け入れについて

 また、これまでは重度障がいのある場合を除き、視覚障がいがあれば盲学校というように、同じ障がいを特つ児童生徒だけを受け入れることが基本となっておりました。しかし、特別支援学校では、知的障がいと肢体不自由など、異なる障がい種別の受け入れもできるようになったところであり、東京都など他の都府県では、すでに導入されているところであります。素案では、既存の特別支援学校において、異なる障がい種別も対象とすることを検討するとしておりますが、このことをどのように評価した上で検討しようとするのか、基本的な考えを伺います。

 
所  管: 学校教育局特別支援教育課
答弁者: 教育長
 
次に、異なる障害のある児童生徒の受け入れについてでありますが、
 
○ 今回の法改正により、児童生徒等の障害の重複化や多様化に対応するため、特別支援学校においては、地域の実情に応じて、知的障害と肢体不自由など、複数の障害種別を教育の対象とすることができるとされたところであり、障害のある児童生徒が、より身近な特別支援学校において教育が受けられることは、特別支援教育の観点からは、望ましいと考えているところ。
 
○ 一方、異なる障害のある児童生徒を受け入れるに当たっては、それぞれの障害の特性に応じた配慮も必要となることから、道教委としては、既存の特別支援学校において対象となる児竜生徒や施設設備の状況などを十分踏まえながら、検討することとしているところ。

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二 特別支援教育等について
(四) 知的障がい高等養護学校などの受け入れ体制の整備について

 特別支援学校の配置に関わっては、知的障がいを持つ児童生徒の受入について、二つの整備方針が述べられております。すなわち、高等養護学校については、進学希望者の増加傾向に対応するため、受け入れ体制の整備に努めることとし、また、高等部を併置している養護学校義務校においても、在籍者数が増加傾向にあることから、校舎の狭隘化の解消に努めるということであります。
 
 道央圏、とくに札幌市に所在する学校を中心に入学希望者の増加が著しく、受け入れ体制の改善を求める保護者などの切実な声に応えるためにも、私は、早急に整備を図る必要があると考えます。高校配置計画では近い将来、札幌圏でも再編が必要となり、校舎や教室に空きが生じることも考えられます。札幌市内においても同様のことはあり得ることではないかと考えますが、そのような校合などを活用することも有効な方法ではないでしょうか。
 
 受け入れ体制の整備について、教育長の見解を伺います。

 
所  管: 学校教育局特別支援教育課
答弁者: 教育長
 
知的障害高等養護学校などの受け入れ体制の整備についてでありますが、
 
○ 知的障害の高等養護学校については、近年、中学校特別支援学級の在籍者の増加などに伴って、進学希望者が増加傾向にあり、平成20年度配管計画においては、道央圏に所在する学校を中心に6学級・48人の定員増を行ったところ。
 
○ また、高等部を併置している知的障害の養護学校についても、中学部への入学者や高等部への進学希望者の増加などに伴って在籍者が増加している傾向にあり、特別教室を普通教室に転用するなどして、対応してきたところ。
 
○ 道教委としては、こうした傾向は今後も続くものと考えており、高等養護学校については、特別支援学級在籍者数の推移や進学希望の動向などを十分見極めながら、進学を希望する生徒や保護者の意向にてきるかぎり配慮する観点に立って、ご指鏑のありました受け入れ体制の整備について早急に検討してまいりたい。
 また、養護学校についても、在籍者数の推移や今後の見通しなどを踏まえ、校舎の狭隘化の解消に向けて、早急に必要な対策を検計してまいりたい。

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二 特別支援教育等について
(五) 盲学校の在籍者数の状況などについて

 その一方で、素案では、視覚障がいの特別支援学校については、在籍者数が減少しており 「その在り方について検討する」 とされております。盲学校の在籍者数の減少はどのような状況であり、それによる教育上の影響をどう認識し、今後、どう対応される考えなのか伺います。

 
所  管: 学校教育局特別支援教育課
答弁者: 教育長
 
次に、盲学校の在籍者数の状況などについてでありますが、
 
○ 本道においては、幼・小・中学部を併設する盲学校4校と高等盲学校1校が設置されており、20年前の昭和63年度におけるこれら5校を合計した在籍者数は350名でありましたが、平成19年度には、192名と半数近くまで減少しているところ。
 
○ 盲学校においては、在籍者数の減少に伴い、教育活動の視点からは、児童生徒等にとって、互いに学び合い活動する場面が減少することや対人関係を培う上で課題が生じているとともに、専門性の視点からは、教員にとって、点字指導や歩行指導などの実践的指導技術を向上させる機会が減少し、障害に応じた指導の専門性を維持・向上することに課題があると受け止めているところ。
 
○ このため、盲学校においては、複数の学年で集団を構成したり、交流の機会を効果的に活用するなど、創意工夫ある取組を進めるとともに、校内研修等により、指導力の向上に取り組んできたところであるが、道教委としては、在籍者数が減少していることを踏まえ、盲学校の在り方について検討してまいりたい。

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二 特別支援教育等について
(六) 視覚障がい教育のセンター校の整備について

 次に、私は、第二回定例会において、盲学校の現状を踏まえ、また、高橋はるみ知事の2期目の公約に掲げられている 「有朋高校跡地の有効活用を含め、特別支援教育体制の充実を図る」 ことを実現するためにも、高等盲学校と札幌盲学校を統合し、幼稚部から高等部専攻科まで一貫した教育を行い、さらには卒業生の就職支援の機能を持つ、本道における視覚障がい教育の拠点となるセンター校を有朋高校の跡地に整備することを提言しております。
 
 高等盲学校は藻岩山麓にあるため、校舎・寄宿舎は傾斜地に立地し、階段や段差が多く、雪の登校には厳しいものを感じます。しかも、土石流危険区域内にあるなど、現在の環境は視覚に障がいのある生徒に相応しいものとは言えないと考えます。 PTAや同窓会、視覚障がい者の団体などで構成する改築期成会からも要望書が出されています。また、札幌盲学校は老朽化が進み、大規模な改修工事が必要な状況であります。対象者が減少している視覚障がいについても専門性の高い教育を維持していく必要があり、センター校の実現に向けて早急に検討すべきと考えますが、教育長の所見を伺います。

 
所  管: 学校教育局特別支援教育課
答弁者: 教育長
 
最後に、盲学校の在り方についてでありますが、
 
○ 盲学校については、特別支援学校の中でも在籍者数が少なく、その数が減少しており、障害の特性に応じた専門性の高い教育を維持していくためには、ご指摘がありましたように、一定規模の集団を確保した中で効果的な教育活動を行い、幼稚部から高等部までの各発達段階に応じたノウハウを蓄積し、各学校の指導に生かすような機能の整備が大切であると考えているところ。
 
○ 道教委としては、こうした観点に立って、ただ今申し上げたとおり今後の盲学校の在り方について早急に検討してまいりたい。 

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二 特別支援教育等について
(七) 知事の認識について

 最後に、高橋知事は2期日の公約に 「有期高校跡地の有効活用を含め、特別支援教育体制の充実を図る」 ことを掲げられておられますが、一度、是非、高等盲学校の現状を視察していただき、こうした盲学校のおかれている厳しい立地環境などを踏まえ、今こそ有朋高校の跡地を活用した視覚障がい教育のセンター校の整備の実現に向けてリーダーシップを発揮すべきではないかと考えますが、知事の所見を伺います。

 
所  管: 知事政策部参事
答弁者: 知 事
 
視覚障害の特別支援学校に関する認識についてでありますが、
 
○ 私としては、障がいのある方々が、能力や可能性を伸ばし自立や社会参加を図られるためには、障がいに応じた専門性に基づく教育を進めることが大切であると考え、特別支援教育体制の充実について、私の公約に盛り込んだもの。
 
○ 現在、道教委においては、本道における特別支援教育の一層の推進を図るため「特別支援教育に関する基本方針(仮称)」 の策定に取り組んでいるものと承知。
 
○ 私としては、今後、道の厳しい財政状況や、議会でのご議論、さらには、道民の皆様のご意見などを踏まえるとともに、「基本方針」 の策定状況などを見ながら、有朋高校跡地の有効活用も含めた特別支援教育のあり方について道教委と相談してまいりたい。
 
○ また、私自身も、機会をつくって高等盲学校を視察してまいりたいと考えている。

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