議会報告 【食と観光対策特別委員会】 平成21年5月13日 「株式会社エアーニッポンネットワーク(A-net)の丘珠空港発着路線の新千歳空港集約化について」

水曜日, 5月 13, 2009

《 株式会社エアーニッポンネットワーク(A-net)の

丘珠空港発着路線の新千歳空港集約化について 》

 

(一) これまでの経緯と道の対応について

(二) 観光目的での利用について

(三) 集約化の理由について

(四) 札幌市の基本的な考え方について

(五) 札幌市の利用促進に向けた取り組みについて

(六) 今後の道の対応について 

平成21年5月13日

質問者: 自民党・道民会議 千葉 英守

   

(一) これまでの経緯と道の対応について

 このたび、全日本空輸株式会社(全日空)が、子会社のA-netの運行する丘珠空港発着路線全便を新千歳空港に集約化する意向であることが明らかになったが、このことに関するこれまでの敬意と道の対応について問う。

 

所 管 経済部観光局

答弁者 経済部観光局参事

 

これまでの敬意と道の対応についてでありますが

○ 現在、A-netは、丘珠空港から稚内、女満別、中標津、釧路、函館の道内5空港に合計で1日14往復を運行しているところであるが、3月下旬に、全日空から道及び札幌市に対して、「正式決定ではないが、昨今の厳しい経営状況から、丘珠空港発着路線全便を新千歳空港に集約化することを検討しなければならないと考えている」旨の情報があった。

○ その後、4月16日に、全日空の担当役員から道に対し、改めて検討内容の説明があり、副知事からは、「道民の利便性への影響などが大きいことから、時間をかけて地域との話し合いを進める」ことを文書で要請を行った。

○ また、道としては、札幌市のほか丘珠空港発着路線の就航先である地域の意向を把握した上で、全日空からの説明に対する今後の対応方針を固めていく必要があると考え、4月23日に、道と関係市町による意見交換会を開催したところ。

○ この意見交換会では、各市町からは、丘珠空港発着路線の維持を望む意見が多く、また、新千歳空港への集約化に明確に賛成する意見はなかったことから、北海道の総意として、全日空に対して再考を求めることを主な内容とする「道の基本的な考え方」を示し、現在、各地域の意向の把握に努めているところである。

 

(二) 観光目的での利用について

 丘珠空港発着路線はビジネス目的での利用が大半であると報道されているところ。しかし、まで以上に丘珠空港の利用促進を図っていくためには、観光目的での利用を増やすことが必要と考えるが、所見を伺う。

  

所 管 経済部観光局

答弁者 経済部観光局長

 

観光目的での利用促進についてでありますが

○ 道内における観光目的で利用する交通手段のほとんどは、自家用車をはじめ観光バスや鉄道など陸路での移動しゅだんで占められており、道内空港の活性化を図るためには、観光目的での利用促進が有効な方策の一つであると認識。

○ 特に、道内空港ネットワークの中核である丘珠空港は、札幌市の都心部に近いことや人口の集積などから観光目的での利用促進の効果が期待されるところ。

○ 本年度、本道の観光入込客数の約85パーセントを占める道民の道内旅行を喚起するため、道内宿泊旅行の誘発やリピーター客の確保を狙った「もうひと旅キャンペーン」の実施など、道民道内旅行促進キャンペーンを展開することとしており、この事業により、一人でも多くの道民が道内旅行を誘発され、丘珠空港の利用機会が少しでも増えることを期待しているところ。

 

(三) 集約化の理由について 

 全日空では、新千歳空港への集約化への理由として、現在利用している機材の更新を見据えると丘珠空港を発着できる後継機を所有していないこと、また、世界的な景気後退により極めて厳しいい経営状況から抜本的なコスト削減に早急に取り組む必要があることなどが挙げられているが、これだけで十分な説明になっているか疑問である。さらに詳細かつ具体的な説明を求めていくべきではないか。

 

所 管 経済部観光局 

答弁者  経済部観光局参事

 

集約化の理由についてでありますが 

○ 全日空は、現在使用している機材が製造中止となっており、丘珠空港を発着できる後継機を有していないことや、最近の世界的な景気後退により厳しい経営状況にあり、全日空グループ全体で数百億円規模でのコスト削減に取り組むことが必要であることなどを今回の路線集約の理由としておりますが、現在の機材の使用可能年数や機材更新の考え方、丘珠空港発着路線の収支状況などについては、これまで必ずし明らかにされていない。 

○ 道としては、今後、全日空との協議を進める中で、全日空が集約化の理由とする事項について、よりしょうさいかつ具体的な説明を求めてまいりたいと考えている。

  

(四) 札幌市の基本的な考え方について 

 今回のA-netの新千歳空港への集約化に札幌市の基本的な考え方を問う。 

 

所 管 経済部観光局 

答弁者 経済部観光局参事

 

札幌市の基本的な考え方についてでありますが 

○ 市に確認した内容を申し上げますと、札幌市では、丘珠空港を同市と道内5と結ぶ拠点空港として位置付け、国や道との役割分担のもと、空港周辺の環境整備や住民理解の促進に多大な労力と市費を投じてきている。 

○ そうした中、次のA-netの丘珠路線からの全面撤退は、年間40万人におよぶ利用者のみならず、同社の丘珠空港における運行に積極的に支援・協力してきた数多くの関係機関や周辺住民の期待を大きく裏切るとともに、極めて深刻な問題だと捉えている。 

○ こうしたことから、札幌市では、丘珠空港が200万人の人口を擁する大都市内に位置する非常に利便性の高い空港として、将来ともに道内路線のハブ機能を維持・促進させることが不可欠との立場から、新千歳空港との機能分担を図りつつ、丘珠空港における全路線が存続・維持されるよう、北海道をはじめ地元経済団体や関係機関との連携のもと、全日空に対して、路線存続を強く働きかけていくとともに、丘珠5路線のさらなる利用促進策を検討していくものと伺っている。

 

(五) 札幌市の利用促進に向けた取り組みについて 

 丘珠空港の利用促進のためには、札幌市と就航先である5市町との緊密な連携が不可欠であると考えるが、札幌市では、過去6年間、丘珠空港の利用促進に関してどのような需要喚起を講じてきたのか問う。

 

所 管 経済部観光局 

答弁者 経済部観光局参事

 

札幌市の利用促進に向けた取り組みについてでありますが 

○札幌市に確認した内容を申し上げますと、札幌市では、平成16年3月の滑走路の整備以降、同市が出資する三セクである札幌丘珠空港ビル株式会社と協働のもと、チャーター便の運航、利用促進に向けた各種イベントの開催、ボランティア説明員の導入など、空港利用の促進や搭乗率の向上を目的に、様々な事業を展開してきているとのことである。 

○ また、空港が地域と調和し十分な機能を発揮できるように、空港周辺の住民のコンセンサスのもと、「丘珠空港周辺のまちづくり構想」に基づき、緩衝緑地の整備を始めとした空港周辺の環境整備を、多額の市費を投入しつつ、計画的に進めてきていると伺っているところ。 

○ 加えて、丘珠路線の就航先5都市との連携のもと、ビジネス利用のみならず、観光交流の促進も視野に入れた需要喚起策につき、すでに具体的な検討を開始していると聞いているところ。

 

(六) 今後の道の対応について 

 新千歳空港への集約化によって、様々な影響が懸念されるところであることから、道として、全日空からの申し入れに対して、今後どのように対応していくのか伺う。

 

所 管 経済部観光局 

答弁者 経済部参事監

 

今後の道の対応についてでありますが 

○ 道としては、千歳空港への集約化によって、丘珠空港利用者の利便性の低下や地域経済への影響が懸念されるものと考えている。 

○ このため、全日空に対しては、 

 1 A-netの丘珠空港発着路線の新千歳空港への集約化について再考を求めること

 2再考に当たっては地域と十分な時間をかけて協議を行うことまた、国に対しては、

  ①丘珠空港が引き続き道内航空ネットワークの中核としての役割を果たすことができるよう務めること

  ②全日空と地域との間で十分な時間をかけて協議がなされるよう全日空に働きかけること

を要請することを主な内容とする「道の基本的な考え方」を関係市町に対してお示しし、現在、各地域の意向の把握に努めているところである。

○ 道としては、今後、最終的な意向を確認後、直ちに対応方針を固めた上で、早急に、全日空及び国に対して要請活動を行ってまいる考え。



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