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議会報告 【予算特別委員会】 平成22年3月17日 「北海道劇場について」

水曜日, 3月 17, 2010

≪ 北海道劇場について ≫ 

 

(一)北海道劇場に係る経緯について

(二)北海道劇場の理念について

(三)札幌市との関わりについて

(四)劇団四季の北海道進出について

(五)道内の舞台芸術団体の活動状況について

(六)北海道の舞台芸術振興のあり方について

(七)道内の演劇等の情報発信について

(八)舞台芸術拠点について

(九)北海道の役割について

(十)北海道劇場基本計画について

 
 
平成22317
 質問者:自民党・道民会議 千葉 英守

 

  

(一)北海道劇場に係る経緯について

 

 北海道劇場についてお伺いします。札幌市は、北海道新幹線札幌延伸を踏まえて、札幌駅周辺整備構想を考えなければならない時期がきており、先般、北海道劇場建設予定地でありました中央区北5条西1丁目の土地についてどのようにされるか照会があり、知事は札幌市に対して、あの場所での北海道劇場建設を断念する旨の回答をされたのであります。その経過について、お聞きします。また、北海道劇場についての札幌市との協議はどのようになっていたのか経緯を含めてお伺いします。

 

所 管 : 環境生活部生活局道民活動文化振興課

答弁者 : 道民活動文化振興課参事

 

北海道劇場に係る経緯についてでありますが、

 

○ 北海道劇場については、平成208月開催の知事と市長が出席する道・札幌市行政懇談会においてその方向性や市のまちづくり構想などが話題となったところ。

 

○ その後、札幌市においては、まちづくりの観点から、北海道劇場基本計画で劇場の敷地付設としている北5条西1丁目街区を含む札幌駅周辺地区の再整備構想案を平成22年度中に策定することとしていることから、昨年12月に、この街区における劇場整備の有無について速やかに検討願いたい旨の文書をいただいたところ。

 

○ 道としては、道財政が今後とも極めて厳しい状況が続くことが見込まれることから、現時点において整備の見通しを示すことは困難な状況にあるため、市の再整備構想案の策定に当たっては、北海道劇場の整備を前提としないで検討を進めていただくようお伝えしたところ。  

 

○ 今後、札幌市との間では、市が計画している市民交流複合施設に関して、情報交換、意見交換を行うと共に、同街区における劇場の整備を前提とした北海道劇場基本計画については、道として主体的に見直しを進めて参る考え。    

 

 

(二)北海道劇場の理念について

  

 経過についてはわかりました。私は、文化とは、かねてから心豊かな生活には、ゆとりや潤いが必要であり、文化は人々の暮らしの潤滑油と思っております。平成6年に制定した北海道文化振興条例には、すべての人が文化を享受することが出来る生活文化圏を築いていくものとあり、道立劇場はその目標を具体化するための重要な手立ての一つとあります。「道立劇場構想」は生かしていかなければならないと思っております。見解を伺います。

 

所 管 : 環境生活部生活局道民活動文化振興課

答弁者 : 道民活動文化振興課参事

 

北海道劇場の理念についてでありますが、  

 

○ 委員のご指摘のとおり、平成9年に策定した道立劇場基本構想においては、道立劇場は北海道文化振興条例の目標を具体化するための重要な手立ての一つとして、位置づけているところ。  

 

○ 今後、基本計画の見直しにあたっては、基本構想で示した道立劇場の理念等を踏まえ、今後の舞台芸術の振興のあり方について、検討して参りたい考え。

 

 

(三)札幌市との関わりについて

 

 私は、当時札幌市議会議員でしたが、記憶では、文化行政の道と札幌市の暗黙の役割分担を行ったと思います。道は道立劇場を中心とした演劇振興、札幌市は、音楽ホール・キタラを中心とした音楽振興とのことであったと思います。札幌市は、道立劇場建設に対しても支援を続けてきたと思うが、どのような支援だったのか伺います。

 

所 管 : 環境生活部生活局道民活動文化振興課

答弁者 : 道民活動文化振興課参事

 

札幌市との関わりについてでありますが、

 

○ 北海道劇場の整備に関して、平成9年以降、数次にわたり札幌市から道に対し、札幌駅南口東街区への立地について要請があり、道としては、立地場所として、場所がわかりやすく、交通アクセスが容易であり、公共交通機関と隣接するところへの整備が望ましいとの観点から、平成132月に立地場所を札幌市と表明し、平成147月には北海道劇場基本計画を策定したところ。これを受け、札幌市においては、平成15年に当該予定地の一部、約8,000㎡を旧鉄建公団から、平成16年に残地約5600㎡を日本通運株式会社から劇場用地として取得するなど、北海道劇場の実現に向け協力をいただいたところ。

 

  

 

(四)劇団四季の北海道進出について

 

 話を少し変えます。日本の優れた劇団であり日本最大の劇団でもある劇団四季が札幌市に拠点を持つと報道されておりますが、大変歓迎したいことであります。 どのような計画になっているか伺います。

 

所 管 : 環境生活部生活局道民活動文化振興課

答弁者 : 道民活動文化振興課参事

 

劇団四季の北海道進出についてでありますが、

 

○ 劇団四季については、平成59月から約6年間、札幌駅南口の旧線路跡地に建設したJRシアターで公演し、期間中、延べ約126万人の観客動員を記録し、多くの道民に広く舞台芸術の鑑賞機会を提供いただいたところ。  

 

○ 劇団四季は、3月1日に札幌市内事務所を開設しており、札幌市中央区内に座席数が1,000席程度の専用ホールを設置し、年末の公演を計画されているとのことであるが、北海道進出に係る具体的な計画については、近日中に発表する予定とお聞きしているところ。また、本道の子ども達を対象とする「こころの劇場」を開催し、全道各地において、子ども達がミュージカルを鑑賞する機会の提供について、検討していると伺っているところであり、道民にとって大変喜ばしいことと考えているところ。

 

 

(五)道内の舞台芸術団体の活動状況について

 外国や本州から一流のオペラ、ミュージカル、バレエ、演劇、歌舞伎などに来て頂き、道民に鑑賞の機会を提供できることは素晴らしいことでありますが、北海道の演劇界は、全国的にみてどの程度のレベルにあると認識しているのか伺います。

 

所 管 : 環境生活部生活局道民活動文化振興課

答弁者 : 道民活動文化振興課参事

 

道内の舞台芸術団体の活動状況についてでありますが、

 

○ 道では、道内の舞台芸術団体の活動の推進と向上を図るため、財団法人北海道文化財団を通じて、演劇公演活動に対し支援を行っており、道外や国外での演劇活動も見られるようになってきているところ。

 

○ この中で、平成21年度においては、韓国光州広域市で行われた「光州平和演劇祭」においてグランプリに相当する「平和演劇賞」を受賞した事例や、平成20年度では、東京で開催された「東京劇団フェス08」で、札幌の劇団がグランプリを受賞した事例が見られたところ。  

 

○ このように、全国的にまた、国際的に評価を受ける優れた作品が生まれる裾野が広がりつつあるのではないかと考えているところ。

 

 

(六)北海道の舞台芸術振興のあり方について 

 

 それでは、北海道の舞台芸術文化振興をどのように進めてきたのか、具体的にお示し頂きたいと思います。また、地区ごとに、どのような特色があるかお聞き致します。

 

所 管 : 環境生活部生活局道民活動文化振興課

答弁者 : 道民活動文化振興課参事

 

北海道の舞台芸術振興についてでありますが、  

 

○ 道においては、道民の一人ひとりが心の豊かさを実感できる地域社会の構築をめざし、舞台芸術の活性化、裾野拡大、人材育成や交流の促進等を図るため、道・北海道文化財団及び舞台芸術関係団体等で北海道舞台塾実行委員会を組織し、舞台芸術作品の制作・公演や、地域で活動する舞台芸術団体の交流公演の開催、さらには、個性あふれる地域文化の創生・活性化するための地域舞台塾の開催や、古い倉庫等をホールに改装した地域創連アトリエにおける舞台芸術関連事業等を実施してきたところ。

 

○ こうした中で、函館市では「市民創作函館野外劇」、東川町では「写真甲子園」、むかわ町では「田んぼdeミュージカル」、夕張市では「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」など、道内各地で特色のある新たな芸術活動が開催されているところ。

 

 

(七)道内の演劇等の情報発信について 

 

 北海道には各地で様々な劇場文化が育っています。全て、札幌集中と考えなくてよいと考えます。私の知る、大衆演劇もその一つです。地方で大人気です。北海道演劇ネットワークで、この地域ではこういう演劇があり、この地域ではこういうミュージカルをやっているという情報ネットを構築をすべきであります。また、北海道の演劇が国内外に発信できる、また、国内外の演劇情報を、道内で簡単に手に入れることのできる情報ネットワークをどのように考えているか伺います。

 

所 管 : 環境生活部生活局道民活動文化振興課

答弁者 : 道民活動文化振興課参事

 

道内の演劇などの情報発信についてですが、

 

○ 道では、ホームページや財団法人北海道文化財団を通じて、さまざまな演割に関する情報の発信に取り組んでいるところ。具体的には、道内各地で行われている文化の催しや道内外の文化施設等に関する資料・情報を公開する「文化情報ライブラリー事業」、地域の方々が自主的に企画する文化活動・情報誌で情報提供を行う「文化情報提供事業」、さらには、道内外の財団や文化団体などとの文化情報をホームページで結び、より広範囲な情報の提供などを行ってきているところ。

 

○ 今後もこれらの事業を通じ、道内各地の演劇などに関する情報を積極的に発信していく考え。

 

 

(八)舞台芸術拠点について  

  

「道立劇場基本構想」を進める上でも、たとえ小さくても舞台芸術の拠点を持つべきです。「道立劇場基本構想」の基本的機能を生かすべきであり、「1.舞台芸術の鑑賞拠点」、「2.舞台芸術の創造拠点」、「3.人材育成拠点」、「4.交流拠点」、「5.舞台芸術の情報・ネットワーク拠点」などとしての機能の考え方は基本的に揺るがないものと思います。現在、新しい施設を建設できないとすれば、既存の施設をどう有効活用するかであります。考えられるものとしては、例えば、かでるホールがあります。現在利用率が高いわけですが、分析すると講演会が非常に多くなっています。音楽発表会などは本来、キタラホールが利用できるわけですので、役割分担をして、かでるホールには舞台芸術に振り分けながら、空いている時間帯を、舞台芸術、人材育成、情報ネットなど拠点とすべきであると思いますが、如何でしょうか。ご見解を伺います。

 

所 管 : 環境生活部生活局道民活動文化振興課

答弁者 : 生活部長

 

舞台芸術拠点についてでありますが、

 

○ いわゆる、かでるホールについては、道民自らの創意や活力が生かされる地域づくりに必要な様々な活動などの充実を図ることを目的としており、そうした活動の一環として、平成20年度においては、年間約60件の演劇公演等のための利用があるところ。

 

○ 道内において、舞台芸術の鑑賞や創造、人材育成などといった拠点機能を持つことは、舞台芸術の振興を図る上では意義あることと考えており、今後こうした場の一つとしてのかでるホールの利用拡大に向け、関係部とも連携を図りながら、演劇関係者などへのPRや情報発信に積極的に取り組んで参りたい考え。

 

 

(九)北海道の役割について 

 

 札幌市が市民交流複合施設を考えており、造立劇場基本構想の機能と似通った施設づくりを考えていますが、しかし、道は北海道ならではの役割があるはずです。それは、「1.舞台芸術作品の創造の場」、「2.道内外の舞台芸術交流の場」、「3.舞台芸術学習の場」、「4.質の高い舞台芸術を担い、支える人材育成機能」を発揮できることが、最も北海道ならではの仕事ではないでしょうか。それが、ひいては道内舞台芸術振興に貢献できるものと考えますが、道の考え方を伺います。

 

所 管 : 環境生活部生活局道民活動文化振興課

答弁者 : 生活局長

 

道の役割についてでありますが、

 

○ 札幌市の市民交流複合施設については、今後、詳細な施設プランを作成する予定と伺っていますが、現時点の計画によると、ミュージカル、オペラ、バレエなどの様々な舞台芸術にも対応可能で高機能ホールを有するなど、施設面からは北海道劇場の鑑賞機能の一部に対応できる内容となっているものと考えているところ。

 

○ しかし、北海道劇場基本計画では、鑑賞拠点機能のほか、多彩な舞台芸術の創造、本道の舞台芸術を担い支える人材の育成、道民に親しまれる交流の場などといった機能を持つこととしており、これまでも北海道劇場推進事業等において、演劇作品の制作・公演やワークショップ、さらには各地間での交流公演などを実施してきたところ。

 

○ 道としては、計画に盛り込まれたこうした創造活動、人材育成、交流などにおいて、役割を最大限果たしていくことが重要と考えているところであり、こうした面において、本道の舞台芸術の振興について貢献して参りたいと考えているところ。

 

 

(十)北海道劇場基本計画について 

 

 最後に、先の一般質問に、知事から、道民の意見を聞いて考えるとの答弁がありましたが、平成6年に文化条例ができ、平成9年の道立劇場基本構想、平成14年北海道劇場基本計画策定時から時代は進み、札幌市が平成20年市民交流複合施設建設を明らかにしている現在、「北海道劇場基本計画」をどのように具現化していくお考えなのか、お伺いします。

 

所 管 : 環境生活部生活局道民活動文化振興課

答弁者 : 環境生活部長

 

北海道劇場基本計画についてでありますが、

 

○ この基本計画については、平成147月に策定後、約8年を経過していることから、この間の道内におけるホールの整備状況や、地域の文化活動の状況など、舞台芸術をめぐる情勢変化等の調査に今後速やかに取り組むとともに、札幌市や関係者との意見交換を行いながら、来年度を目途に今後北海道に求められる役割、果たすべき機能について検討を行い、その結果を踏まえて、計画の抜本的な見直しを行い、今後の舞台芸術活動のあり方について検討する考え。

 

○ この計画の見直しに当たっては、舞台芸術を通して道民が集い、交流し、学び、創造することにより活力ある地域社会の形成と文化の厚みに寄与するという北海道劇場の理念を十分踏まえ、全道的な拠点機能やネットワークづくりなどといった点も含め検討し、これまでの舞台芸術振興に関する事業を見直し、計画に反映して参りたい考え。  

 

 

 


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議会報告 【予算特別委員会】 平成21年12月4日 「北海道の航空政策について」

金曜日, 12月 04, 2009

≪北海道の航空政策について≫   

 

 

一)国の航空政策について

(二)道内空港問題について  

 

平成21124

質問者:自民党・道民会議 千葉 英守

 

 

(一)国の航空政策について

1 日本航空に対する国の対策について

 

 最初に、航空政策について伺う。我が国の航空ネットワークを形成する上で重要な役割を果たしている日本航空の経営再建の問題について、国の再建対策が毎日のように報道がなされている。道は、日本航空と共同出資して設立した北海道エアシステム、HACの運営を行うとともに、僅かではあるが、日本航空の株主にもなっている。そこで、最初に、国主導で進められている日本航空の経営再建について、道として、どのような見解を持っているのか伺う。

 

所 管 :  総合政策部新幹線・交通企画局空港活性化推進室参事(航空)

答弁者 : 空港活性化推進室参事

 

日本航空の経営再建に対する国の対応についてでありますが、

 

○ 国においては、日本航空が、我が国最大の航空運送事業者として、極めて大きな公共的責任を担う事業を行っており、また、航空運送事業は、我が国の今後の成長戦略においても重要な戦略産業であることから、日本航空の経営再建は、重大な国益や公益に関わるとの判断の下、日本航空の事業再生に対応されているものと認識しております。

 

○ こうした中、道としては、日本航空の事業再生に伴い、地方路線の休止・減便がなされるようなことになれば、道民生活や観光振興など、地域経済に甚大な影響を及ぼすことが懸念されることから引き続き、国に対し、地方路線の維持・確保のための措置を講じることを働きかけてまいりたい。

 

 

 2 国への要望について

  

 去る9月に日本航空からHACの運営見直しについての申し入れがなされてから、3か月が経過しようとしている。道内航空ネットワークの中核を担う北海道エアシステム(HAC)の安定的な運営や道内空港と道外を結ぶ航空路線の維持・存続のためには、現在、国の指導・監督下で再生手続きを進めている日本航空(JAL)の経営再建問題の解決が必要であることから、国に対して、この問題の早期解決を強く要望していくべきであると考えるが、見解を伺う。

 

所 管 :  総合政策部新幹線・交通企画局空港活性化推進室参事(航空)

答弁者 : 新幹線・交通企画局長

 

日本航空の経営再建に係る国への働きかけなどについてでありますが、

 

○ 現在、実質的に国の管理の下で日本航空の経営再建が進められていることから、道においては、HACが日本航空のグループ関連子会社として、今後も安定的な事業運営が継続できるよう、日本航空から申し入れのあった運営見直しの再検討や離島路線を含めた本道の航空路線の維持・確保について日本航空を強力に指導していただくよう、1013日には、知事が国土交通大臣に対して要請するなど、国に対して働きかけてきているところ。 

 

○ 現在、日本航空においては、企業再生支援機構の主導のもとで、事業再生手続きが進められているところであるが、道としては、丘珠空港をはじめとする本道の航空を取り巻く情勢が極めて切迫しているとの認識の下、日本航空の再生手続きが円滑に進められ、早期に日本航空の経営再建の道筋が明らかにされるよう知事による直接要請も含め、国に強く働きかけてまいりたいと考えている。

 

  

(二)道内空港問題について 

1 国際航空路線について 

(1)運休路線の再開に向けた道の取組などについて

 

 本道の航空路線は、現在国際線で12路線が運航されている。新規路線の開設は航空会社の経営戦略で決まる場合や、道はじめ道内自治体、経済団体などの誘致運動で決まる場合もあると思う。残念ながら、現在運休中の路線や近く廃止や縮小も見込まれる路線もありますが、本道経済の活性化には、路線の維持・拡大は重要なことである。そこで伺いますが、現在国際線で運休している4路線の運休にいたるまでの経緯と運航再開に向けた道の取組、さらには今後の見通しと、運休による影響はどの様なものであるのか伺う。

 

所 管 :  総合政策部新幹線・交通企画局空港活性化推進室参事(航空)

答弁者 : 空港活性化推進室参事  

 

運休路線の再開に向けた道の取組などについてでありますが、  

 

○ 新千歳空港の国際定期路線については、米国同時多発テロやイラク戦争等の影響による 国際旅客需要の低迷や航空会社の経営状況の悪化等を理由に平成142月にKLMオランダ航空の「札幌-アムステルダム」線が、また、平成1510月にJALウェイズの「札幌-ホノルル」線が休止されたところ。

 

○ また、平成199月に中国南方航空の「札幌一瀋陽」線が、大連線及び北京線の開設に伴う搭乗率の低迷などを理由に、また、平成19年の冬期から、カンタス航空の「札幌-ケアンズ」線が、燃油高騰や航空機の機材繰り等を理由に休止されたところ。

 

○ これらの路線の運休により、国際線を利用する方々の利便性が低下するとともに道内を訪れる外国人観光客の減少などにより、本道経済、とりわけ観光振興などの面で少なからず影響があったものと考えている。 

 

○ この間、知事や道の幹部が航空会社の本社や日本支社を訪問し、路線の再開を働きかけてきたところであるが、現在の航空業界を取り巻く状況は大変厳しいものがあり、現時点で、これらの運休路線の再開に向けた具体的な動きは見られませんが、今後とも、各航空会社の動向についての情報収集に努めるとともに随時、航空会社の本社や日本支社を訪問するなど路線の再開に向けた取組を粘り強く行ってまいりたい。

 

 

(2)国際航空路線の運航状況について 

 

 現在開設されている路線のうち、今後も利用者の増加が期待される路線と利用者が減少傾向にある路線の状況を伺う。

 

所 管 :  総合政策部新幹線・交通企画局空港活性化推進室参事(航空)

答弁者 : 空港活性化推進室参事

 

国際航空路線の状況などについてでありますが、  

 

○ まず、新千歳空港の国際線利用者数については、平成20年には約80万人に達し、ここ5年間で50%増加するなど、全体としては右肩上がりで増加してきており、中でも近年は、中国路線や香港路線の利用者の増加が顕著となっている。  

 

○ 一方、昨年後半からの景気後退や円高の影響により、台湾路線や韓国路線などの利用者数が大きく減少しているところ。  

 

○ また、新千歳空港以外の道内空港の国際線利用者は概ね減少傾向にあり、特に、旭川-ソウル線、函館-サハリン線は円高による影響やサハリンⅡプロジェクトの終了に伴う旅客需要の減少により、利用者数が大幅に減少したところであるが、今年に入って、一部回復傾向も見られるところ。  

 

○ なお、今後、利用者の増加が期待される路線としては、昨年、道東を舞台とした映画がヒットし、中国国内で、北海道への関心が高まっていることや、中国人観光客向けの個人観光ビザの発給が本年7月から開始されたこと、更には、来年5月から上海万博が開催されることなどにより中国路線の利用者増が見込まれているところ。

 

  

(3)国際航空路線の利用促進について  

 

 平成20年度の国際線利用状況を見ると、乗客数に占める道民の割合は、定期便で24.3%、チャーター便では5.7%にすぎない。先日、台北の札幌事務所の開所式でも、台湾側から、年間30万人近くの方々が来道しているが、台湾を訪れる道民は3万人しかおらず、たくさんの訪問を期待するとの挨拶があった。路線の維持には、道民の利用を促進することが有効であることは疑う余地はない。観光振興の視点だけで施策を検討すると道外客の誘致に限定されてしまうが、経済交流は、互いが、ウィンウィンの図式でなければ成り立たないと考える。 そこで提案ですが、乗客数が多い割に道民の利用数が少ない台湾・香港線を対象に道民モニターとして募集する方式で運賃助成などを行い、道民の国内線利用者の増を図ることを検討すべきと考えますが、見解を伺います。  

 

所 管 :  総合政策部新幹線・交通企画局空港活性化推進室参事(航空)

答弁者 : 新幹線・交通企画局長

 

道民の国際線利用の促進についてでありますが、  

 

○ 昨今の国際航空路線を取り巻く厳しい状況を踏まえ、国際航空路線の安定的な就航のためには双方向の旅客需要の確保が必要不可欠と考えている。

 

○ そのため、道においてはこれまで東アジア地域など、ターゲットを絞った観光客の誘致や、道産品の販路拡大による経済交流の拡大などに取り組むとともに、道内経済界や各国政府観光局、航空会社、旅行会社などと連携しながら、道民の方々を対象として海外旅行フェアの開催やFM番組を活用した海外旅行のPRなどの「海外旅行促進キャンペーン」を毎年度実施するなど、道民の方々の国際線利用の促進に取り組んできたところ。  

 

○ しかしながら、道民の皆様の海外旅行はここ数年減少傾向にあるなど、停滞している実態にあり、道民の国際線利用を拡大していくためには、経済界や各国政府観光局など関係者がこれまで以上に連携を深め、一体とかつて取り組むことが重要と考えており、これら関係団体等で構成する「北海道海外旅行促進事業実行委員会」と密接に連携し、需要開発セミナーや海外教育旅行セミナーなどを効果的に実施するとともに、ご提案の趣旨なども参考とさせていただきながら、道内からの海外旅行需要の一層の創出に取り組んでまいりたい。  

 

 

2 道内空港活性化ビジョンの原案について 

 

 今回、「(仮称)道内空港活性化ビジョン」の原案が取りまとめられたが、その中を見ると農道空港・ヘリポートの位置付けやその活用方策が入っていない。農道空港などは、農業利用といった本来の活用があまりなされていないのが現実であり、こうした空港を活用して新たに人や物などの輸送を図り、他の空港とネットワーク形成を進めることが必要ではないか。また、道では、交通ネットワークは総合政策部、ヘリポートは建設部、農道空港は農政部といったばらばらの所管となっているが、今回のビジョン原案に示す空港だけでなく、農道空港、ヘリポートなども、道内空港活性化ビジョンに位置づける必要もあると考えるが所見を伺う。

 

所 管 :  総合政策部新幹線・交通企画局空港活性化推進室参事(航空)

答弁者 : 空港活性化推進室参事  

 

道内空港活性化ビジョンについてでありますが、  

 

○ 道内空港活性化ビジョンは、本道における航空輸送の果たしている役割の重要性に鑑み、本道及び地域の活性化を一層推進していくため、空港関係者や地域の方々が本道の航空ネットワーク及び道内空港の将来展望を共有し、これまで以上に一体となった取組を進めていくための指針として策定を進めているもの。  

 

○ 農道空港及びヘリポートについては、現在、旅客や貨物の航空輸送の用途での利用は極めて少なく、遊覧飛行、測量、救難、イベントなどの用途に利用されているものと認識しており、現時点では、人と物の交流と安全・安心な暮らしを支える航空ネットワークの実現などを目指すことを主な内容とする道内空港活性化ビジョンの対象とすることについては、なお検討しなければならないものと考えている。  

 

○ 一方で、当部としては、既存ストックの有効活用という観点から農道空港及びヘリポートの活用を一層推進していくことは重要であると考えているところであり、旅客や貨物の航空輸送の用途での活用の可能性を含め、その推進方策について、所管部と協議するとともに、地域のご意見を伺ってまいりたいと考えている。

 

 

3 丘珠空港について

(1)丘珠空港ビルヘの全日空の出資について

 

 A-net丘株空港路線の新千歳空港への移転によって、札幌市や道、さらには全日空グループも出資する札幌丘珠空港ビル()の経営が厳しくなることは明らかである。現在、同社の出資比率の内訳はどうなっているのか、また、全日空グループの保有する株式については、A-net撤退後、どのような扱いとなるのか伺う。

 

所 管 :  総合政策部新幹線・交通企画局空港活性化推進室参事(航空)

答弁者 : 空港活性化推進室参事

 

札幌丘珠空港ビル株式会社の出資状況などについてでありますが、

 

○ 札幌丘株空港ビル株式会社の資本総額49,800万円のうち、札幌市が約26%を出資し、筆頭株主となっており、続いて、全日空グループのエアーニッポン株式会社が約25%、道と日本政策投資銀行が約13%、そのほか、札幌商工会議所、北洋銀行、北海道銀行、北海道電力、北海道瓦斯が出資しているところ。  

 

○ また、エアーニッポンの保有する株式については、A-netの丘珠空港路線の新千歳空港への集約化の方針を受け入れるに当たって、道から、全日空に対して、今後の札幌丘珠空港ビル株式会社の経営に支障が生じることがないよう、これまでどおり保有することを申し入れており、全日空からは、保有を続けるとの回答を得ているところ。

 

  

(2)今後の丘珠空港ビルの経営について 

 

 また、A-netの移転によって、丘珠空港ビルではA-netからの賃料等の収入が見込めなくなることから、同社の経営が悪化することは必至である。今後、同社の経営継続のために、道としてどのように取り組んで行く考えなのか、また、丘珠空港路線を1社で運航することになるHAC賃料等の経費負担への影響について、どのように考えているのか伺う。

 

所 管 :  総合政策部新幹線・交通企画局空港活性化推進室参事(航空)

答弁者 : 新幹線・交通企画局長

 

今後の丘珠空港ビルの経営などについてでありますが、

 

○ 札幌丘株空港ビル株式会社の収入のうち、A-netからの賃料等の収入が6割以上を占めており、A-netの新千歳空港への移転によって、同社の経営に多大な影響かあるほか、これまでHACA-net2社で負担してきた空港ビルの共用施設使用料をHAC1社で負担することになることから、HACの運営にも大きな影響が及ぶものと考えている。

 

○ このため、道としては、これまでも、空港ビル会社の今後の経営のあり方について同社や筆頭株主である札幌市との間で、協議を進めてきたところであるが、今後とも、こうした札幌市との協議や取締役会での議論などを通じ、空港ビル会社の円滑な運営が図られるよう努めてまいりたい。

 

 

(3)丘珠空港への交通アクセスについて 

 

 次に、札幌市内・丘珠空港間のアクセスについてである。丘珠空港利用者の声として、札幌市内から丘珠空港へのアクセスが悪いということをよく耳にするが、この問題に対して、これまで道と札幌市との間でどのような協議がなされているのか、また、今後どのように改善されていくのか伺う。

 

所 管 : 総合政策部新幹線・交通企画局空港活性化推進室参事(航空)

答弁者 : 空港活性化推進室参事

 

丘珠空港への交通アクセスについてでありますが、

 

○ 本年3月に、道、空港所在の市や町、経済界で構成する「北海道地域航空推進協議会」が取りまとめた道内航空路線のアンケート調査において、利用者からは、札幌市内から丘珠空港への交通アクセスの改善を望む意見も寄せられているところ。

 

○ こうした状況を踏まえ、A-netの丘珠空港路線の新千歳空港への集約化に係る協議を行うために開催した、「丘珠空港発着路線に関する協議会」において、札幌市からは、丘珠空港の利用者利便の向上策として、空港と地下鉄駅間における乗り合いタクシーの試験運行などの提案がなされているところであり、また、これまで数回開催した道と市の事務ベースの打合せにおいても、交通アクセスの重要性を確認しているところ。

 

○ 道としては、交通アクセスの改善など、利用者の利便性が高まる方策の検討について 札幌市との協議を加速してまいりたいと考えている。  

 

 

(4)丘珠空港のジェット化について  

 

 一部の新聞報道で、丘珠空港のジェット化について取り上げられていたが、丘珠空港は将来、運航機材の関係等から、たとえ滑走路の延長が必要になったとしても、私は住民との合意事項を尊重して、丘珠空港はプロペラ機の運航に限定し、ジェット化すべきではないと考える。現在検討中の「道内空港活性化ビジョン」にもそうした考えを明確に示すべきと思うが、道の見解を伺う。

 

所 管 :  総合政策部新幹線・交通企画局空港活性化推進室参事(航空)

答弁者 : 新幹線・交通企画局長

 

丘珠空港のジェット化についてでありますが、

 

○ 丘珠空港については、平成4年以降、道と札幌市がジェット化に向けた検討を進め、その実現を国に対し要請したところであるが、国からは、道央圈における2つのジェット化空港の必要性や空港周辺の市街化の状況などから、必ずしもジェット化の必要性はないという考え方が示され、平成8年に、道と市は最終的にジェット化を断念することとなり、平成10年に、プロペラ機の安定運航を確保するための滑走路の100m延長などを進めることとなった経緯があるところ。

 

○ また、丘珠空港の整備にあたっては、札幌市が主体となって空港周辺住民の方々に対して、将来の丘珠空港のあり方を示し、住民の方々のご理解を得た上で進められてきたものであることから、改めて、丘珠空港のジェット化を検討する場合には、札幌市の意向を尊重することが大切であると考えている。

 

○ いずれにしても、丘珠空港のジェット化の問題は、空港の将来に向けて極めて重要な課題であることから、現在進めている札幌市との丘珠空港やHAC問題に関する意見交換の場において、十分に協議を行ってまいりたいと考えている。

 

○ なお、「道内空港活性化ビジョン」における取扱については、こうした札幌市との協議を踏まえ、検討してまいりたい。

 

 

4 HACについて

(1)HACの丘珠空港への集約について

  

 次に、HACの運営について伺う。丘珠空港は、札幌と道内各地を、片道1時間、札幌駅までの所要時間を含めて1時間30分、料金も1万円程度で、しかもJR並のダイヤで結べるならば、利用者ことって十分魅力ある空港となると考える。HACは、現在、丘珠空港発着路線として釧路・函館の2路線5便、新千歳空港発着路線として釧路線の5便を運航している。これまで我が党から質問してきた今後の丘珠空港の位置づけなどについて、道は、「丘珠空港は、道内航空ネットワークの拠点空港」として、さらに「HACについては、その存続に向けて全力で取り組む」と答弁してきた。 A-netの丘珠空港発着路線の新千歳空港への移転が現実のものとなった以上、もはや、丘珠空港やHACを存続させていくためには、HAC路線を丘珠空港に集約させるべきと考えるが、道の見解を伺う。

 

所 管 :  総合政策部新幹線・交通企画局空港活性化推進室参事(航空)

答弁者 : 総合政策部長

 

HAC路線の丘珠空港への集約についてでありますが、

 

○ HACは、離島の振興をはじめ、道民生活や観光の振興、地域経済の活性化に大きく貢献しており、今後とも、道内航空ネットワークの中核を担う航空会社として存続させていくことが極めて重要であるが、一方で、平成17年度から4期連続で赤字となるなど厳しい経営環境にあり、収益を確保できる企業体質への改善が急務となっている。 

 

○ 道としては、今後、HACが丘珠空港を拠点として運航していくためには、これまで2社で負担していた丘珠空港ビルの使用料をHACが単独で負担することに伴う経営への影響や、丘珠空港への交通アクセスの確保などといった課題が解決される必要があると考えておりますが、A-netの丘珠空港路線の新千歳空港への集約によって新千歳・釧路間の路線において、HAC路線とA-net路線が競合することになることや、HACの運航拠点を丘珠空港に集約化することによるコスト削減効果も期待されることなどから、今後の丘珠空港における民間航空機の運航の維持や、HACの安定的な事業経営の継続を因っていく上で、HACの路線を丘珠空港に集約するメリットは大きいものと考えておりますが、札幌市など関係者との調整をしっかりと進めてまいりたい。

 

 

(2)HACの経営について  

 

 丘珠空港については、私は、先の第3回定例議会でも、HACの丘珠空港への集約化を提案するとともに、HACが公共交通機関として自立できる体制づくりを行って行くためには、北・東北までのエリアを対象にした道外便を開設し、収益を確保していくことを検計すべきと考えているが、道の見解を伺う。

 

所 管 :  総合政策部新幹線・交通企画局空港活性化推進室参事(航空)

答弁者 : 新幹線・交通企画局長

 

HAC経営の安定化に向けた路線展開についてでありますが、

 

○ 今後もHACが安定的な事業運営を継続していくためには、収益を確保できる企業体質への改善が急務となっております。

 

○ このため、道としては、地域と連携した一層の利用促進や、旅客需要の拡大による収入の増加、運営コストの削減などの取組とあわせて、収益を確保できる路線展開を進めていくことが極めて重要であると考えていることから、ご指摘の道外便の可能性なども含め、HAC運営の抜本的な改善に向けて、国や札幌市をはじめ、関係機関との調整を行ってまいりたいと考えている。

 

 

(3)HACの増機について 

 

 道は、HACを存続させるというのであれば、現行の3機体制では、便数や収益にも限界があることから、今後、HACの機材を増やし、路線・便数を拡大させ、利便性の向上を図るという意思表示をすべきと考えるが、道の見解を伺う。

 

所 管 :  総合政策部新幹線・交通企画局空港活性化推進室参事(航空)

答弁者 : 総合政策部長

 

HACの機材についてでありますが、

 

○ HACは、平成11年から3機体制の下、現在では6路線13便を運航しているが、将来にわたって、多くの道民の方々の利便性を確保しつつ、安定的な事業運営を継続していくためには、機材を増やし、効率的で収益の上がる路線及び便数を確保していくことが重要であると考えている。

 

○ 一方、HACの現行機材がいずれ使用期限を迎え、機材更新の問題は、避けて通れない課題であると認識しており、その検討に当たっては、

・現在使用しているサーブは、製造中止となっているが、経年機(中古機)の購入が可能かどうか 

・経年機を購入する場合とサーブ以外の新しい機材を導入する場合の整備面も含めたコスト比較 

・新しい機材を導入する場合の運航安全面の手続きや乗務員等の養成・確保など、 

多角的な検討が必要であると認識している。

 

○ こうしたことから、道としては、今後のHACの経営のあり方や路線展開などを総合的に勘案しながら、機材の増加について中長期的な視点からも検討してまいりたい。  

 

 

()HACの株主構成について  

 

 HACの運営について、日本航空から、HACの持ち株比率を現行の51%から15%未満に引き下げ、HACの経営から退きたいとの申し入れがされている。道としては、日本航空の持ち株比率の引き下げに伴う株式の譲渡先をどのように考えているのか。また、その場合、経営主体はどうなると考えているのか伺う。

 

所 管 :  総合政策部新幹線・交通企画局空港活性化推進室参事(航空)

答弁者 : 総合政策部長

 

HACの経営体制についてでありますが、

 

○ 去る9月に、HACの筆頭株主である日本航空から、道に対し、同社のHACに対する出資比率を、現在の51%から15%未満に引き下げ、 新しい経営体制に移行すべく早急に協議したいとの申し入れがあり、出資比率の引き下げに伴う株式の譲渡先については、地元自治体等への売却を想定している旨の説明があったところ。

 

○ これに対し道としては、日本航空からの申し入れについて、離島路線を含む道内の航空路線の維持・存続の観点から、強く再考を求めてきているところ。

 

○ そうした中、日本航空においては、10月末から企業再生支援機構の主導の下で、再生計画の策定が進められており、年度内には、再生計画が策定されると聞いているところでありますことから、こうした状況を見極めながら、今後のHACの経営体制のおり方についての道としての方針をできるだけ早期に、お示しできるよう、取り組んでまいりたい。

 

 

 


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議会報告 【平成20年第3回北海道議会定例会】 予算特別委員会 平成20年9月29日 「ポスト・サミットについて」

月曜日, 9月 29, 2008

《 ポスト・サミットについて 》

 
 (一) ポスト・サミットの具体案について 
 (二) 国際化の必要性の分析について 
 (三) 国際・国内会議等コンベンション誘致の現状について 
 (四) 国際会議等コンベンション誘致体制づくりについて 
 (五) 北方圏センターのあり方について 
 (六) 国際会議等コンベンション会場の機能について 
 (七) 各国要人に対する対応について 
 (八) 現在誘致している国際会議の進捗状況について
 

 

平成20年9月29日

質問者: 自民党・道民会議  千葉英守

 

 
(一) ポスト・サミットの具体案について 
 
 ポスト・サミットについては、いろいろなことを考えていると思うが、あらためてポスト・サミットにどのようなことをされていこうとしているのか、具体的に伺う。

 

所 管  知事政策部政策審議局参事

答弁者 政策審議局長

 
 
 ポスト・サミットの具体的な取組についてでありますが 

○ 道としては、サミット開催により、国際的に知名度が向上し、食や観光、環境の優位性や魅力が評価されたところであり、こうした成果を将来にわたって持続させ、道内全体に広めていくため、サミット道民会議における官民協働の北海道づくりの考えを引き継ぐ「新たな道民会議」を設置し、「国際化」「産業」「環境」の3つの分野において、ポスト・サミットの取組をオール北海道で展開してまいる考え。

 

○ こうした考えのもと、「国際化」の分野にでは、北海道の国際的な価値をさらに高め、本道の活性化を図るため、国際会議等を積極的なに誘致していくこと とし、先日、「北海道国際会議等誘致推進会議」を立ち上げ、いわゆる「太平洋・島サミット」などの国際会議の誘致活動に官民あげて取り組んでいるとこ ろ。

 

○ また、「産業」では、本道の優位性を生かした産業力の強化を図るため、安全・安心な食の北海道ブランド化を促進するとともに、どさんこプラザや国際ビジネスセンターなどを活用した、国内や東アジアを中心とした海外への道産品の販路拡大、観光振興機構と連携した国際観光の振興、観光関連ビジネスの創出やものづくり産業の強化などに取り組む考え。

 

○ さらに、「環境」分野では、環境先進地をめざし、「北海道環境宣言」に沿った行動計画の策定と環境行動の実践、バイオマスをはじめとした自然エネルギーの利活用の促進などに取り組んでまいりたい。

 

○ 道としては、「新たな道民会議」において、こうした取組についてさらに議論を深めながら、官民協働による本道の魅力の一層の向上や経済の活性化を図ってまいりたいと考えている。 

 

(二) 国際化の必要性の分析について

 国際会議等コンベンション誘致に当たって、北海道として、国際化とはどうあるべきかの認識が必要であります。

 

1. 道民の意識が本当にそうなっているのか  2. 本当に外国人にとって来てもらえる環境になっているのか  3. 経済効果が本当にあるのか 等、国際交流を通じた、北海道の地域振興を考える、そういった調査がトータル的になされているのか、お伺いします。

 

所 管  知事政策部知事室国際課

答弁者 国際課長

 

国際化に関する調査についてでありますが

○ 道では、本道の国際化を総合的、計画的に推進していく観点から、平成18年3月に「北海道  国際化推進方針」を策定したところでありますが、その際、道内の市町村などを対象に、国際化施策の必要性や意義なとについてアンケート調査を実施したところであり、その中で、7割以上の市町村が、異文化との交流による地域社会の活性化や、国際性豊かな人材の育成を重視しているとの調査結果が示されたところ。

 

○ また、道では、市町村や民間国際交流団体などの国際化に向けた取り組みを促進するため、毎年、道内市町村における海外との交流状況や在住外国人の支援状況などの調査を実施し、「北海道の国際化の現状」として取りまとめ、ホームページで公表しているところ。

 

(三)  国際・国内会議等コンベンション誘致の現状について

 北海道・洞爺湖サミットは、関係者の皆さんの大変なご努力によって、私は成功したと思っておりますが、これをただのサミットの政治ショーにしてはいけません。世界最大の国際会議・コンベンションが本道で開催されたのも、北海道が世界的に認められた地域として世界デビューした絶好のチャンスを北海道の経済再生や産業育成のために生かすべきと考えているからであります。そこで、答弁の中にもありました国際会議等の誘致がありますが、7月4日に国際会議等の北海道誘致に閣議了解をいただき、大変な追い風となりました。

 

 そこで、今日までの本道で開催された国際会議など誘致の現状はどうであったか、あらためてお聞きします。

 

所 管  知事政策部知事室国際課

答弁者 国際課長

 

国際会議などの誘致についてでありますが

○ 本道においては2000年以降、毎年、全国平均を上回る100件前後の国際会議が開催されているところ。

 

○ 道としては、これまでも国や政府関係機関、各自治体等と連携を図りながら、道内において開催可能な国際会議の情報収集に努めるとともに、国土交通省などが主催し、国内外のコンベンション関係者が一堂に会する「国際ミーティング・エキスポ」への出展等により、学術団体や企業等のコンベンション主催者に対する誘致活動に取り組んできたところ。

 

○ その結果、近年では「G8サミット」のほか、2006年に「日韓・韓日経済人会議」や「日中韓観光大臣会合」、2007年には「第3回国連軍縮会議」、2008年には「第17回タンパク質構造解析手法学会」などが開催されたところ。

 

(四) 国際会議等コンベンション誘致体制づくりについて

 ここに、面白い資料があります。2006年の資料です。

 国際コンベンションの国別開催状況で、一位がアメリカ894件、2位フランス634件、3位がドイツ434件で、アジアでは、シンガポールが10位298件、中国14位204件、韓国16位185件、日本18位166件となっております。

 

 都市別では、一位パリ363件、2位ウィーン316件、11位ソウル89件、18位北京80件、24位東京58件となっております。

 

 いかに国際会議等を誘致することが難しいかとの証左であります。

 

 政府は2011年までに、現在の5割アップを目標に掲げております。北海道にとっては、ある意味では絶好のチャンスと思います。国が力を入れている国際会議等をどう北海道に誘致するかであります。

 

 国際会議を調べますと、本道で131件のうち、札幌市は127件そのうち北海道大学は87件となっております。釧路市3件、旭川市1件となっておりますが、いかに札幌市に集中しているかがわかります。

 

 そこで、お話したことも踏まえて、国際会議・コンベンションの受け入れ体制づくりをしっかりやらなければなりません。どのような体制づくりで誘致活動を行っていくのか、お伺いします。

 

所 管  知事政策部知事室国際課

答弁者 知事政策部長

 

国際会議等の誘致体制についてでありますが

○ 道としては、国際会議等の誘致をポスト・サミット施策の重要な柱の一つに位置づけ、積極的に取り組んでいくこととしており、知事政策部に国際会議等誘致の窓口を設置するとともに、先般、道をはじめ、市長会や町村会、経済産業団体、国の出先機関等で構成する「北海道国際会議等誘致推進会議」を立ち上げ官民を挙げてオール北海道で取り組む体制の整備を図ったところ。

 

○ また、誘致に当たっては、ソフト面での受け入れ体制の充実も重要であることから、今後、通訳ガイドの確保や育成といったホスピタリティの向上、外国語による情報案内機能の充実などといった、環境整備を一層進め、環境や食料、エネルギーなどの北海道の優位性をアピールできる分野や全道各地、それぞれの個性や可能性を活かしたテーマなど、北海道の地域全体の活性化に結びつく様々な国際会議の開催に向け、積極的な誘致活動を展開してまいる考え。

 

(五) 北方圏センターのあり方について

 体制づくりについてお伺いいたしました。札幌市ては、早くから国際会議・コンベンション誘致に全力を入れております。国際プラザや国際会議ができるコンベンションセンターを持ち、人材の育成、外国ボランティアの派遣から在住外国人の生活情報まで一元化し、国際都市札幌市を目指し今日まで努力してまいりましたが、北海道を見るとき、その役割的なものは北方圏センターに感じられますが、攻めの国際的視点がいる、現在の体制でいいものか、疑問を持ちます。30年にわたる外国交流の蓄積を生かしながら、札幌市のような国際プラザ的な、北海道の拠点的なものに事業展開してはどうかと思います。北方圏センターのあり方を今後どのようにされていくのか、お伺いいたします。

 

所 轄  知事室政策部知事室国際課

答弁者 知事政策部長

 

北方圏センターのあり方についてでありますが

○ 社団法人北方圏センターは、気候・風土などの類似している北方圏地域との交流を推進するための団体として発足したところであるが、その後、対象地域や業務範囲を拡大し、開発途上国からの研修員の受け入れ、外国人留学生への支援、全道各地での国際理解教室の開催などに取り組んできており、平成10年には、総務省から地域国際化協会として認定され、本道における中核的な国際交流団体として地域の国際化の推進に重要な役割を担ってきているところ。

 

○ しかしながら、近年、グローバル化のますますの進展や東アジア地域の著しい経済成長など、本道の国際化を取り巻く環境が大きく変化してきており、道としては、北方圏センターには、北海道ブランドの世界への発信や国際社会との共生環境づくりなど、地域の国際化や活性化に向けた一層の役割を果たしていくことを期待している。

 

○ こうした中、北方圏センターは、今年、設立30周年という大きな節目の年を迎え、これを契機として、現在、学識経験者などで構成する検討委員会を設置し、今後の活動のあり方等について検討しているところであり、道としては、この検討委員会の議論などを踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えている。

 

(六) 国際会議等コンベンション会場の機能について

 国際会議等コンベンション誘致をした場合の会場の問題であります。誘致した場合、地方公共団体・受け入れ団体と協議していくことになるでしょうが、会場もしばらくの間限定されることになります。札幌の場合、国際コンベションセンターがありますが、都心にも、最高の国際コンベンションゾーンがあります。厚生年金会館、教育文化会館、ロイトンホテル、プリンスホテルを中心としたゾーンであります。

 

 しかし、厚生年金会館存続がどのようになるのか、危惧されます。札幌市が入札で買い求めるとの話しがありますが、この際、北海道も札幌市と経済界を含めて買い求めることができないでしょうか、もしそれをしないとすれば、北海道が誘致した国際会議等コンベンション会場が、利便性のある会場を容易に使用できなくなるおそれがあります。

 

厚生年金会館のあり方をどのように考えているのか、お伺いします。

 

所 管  知事政策部知事室国際課

答弁者 知事室次長

 

国際会議等の会場に関してでありますが

○ 北海道厚生年金会館につきましては、道と札幌市、札幌商工会議所の三者において、これまで存続に向けた取り組みを進めて来たところ。

 

○ 札幌市としては、新たな市民交流複合施設が完成するまでの間、厚生年金会館の存続を図るとともに、将来にわたる周辺との調和を重視するまちづくりの観点から、市が主体となって入札に参加することを表明したところ。

 

○ また、厚生年金会館を所有している年金・健康保険福祉施設整理機構では、入札の条件として、引渡し後5年間、ホール機能を維持することとしており、その後につきましては、札幌市の市民交流複合施設がその機能を引き継ぐものと承知。

 

○ 厚生年金会館では、大学主催のアジア文化研究会など年1回程度の国際会議も開催されており、道としては、札幌市の取り組みが円滑に進められるよう、調整に務めるなど、その役割を適切に果たしてまいりたい。

 

(七) 各国要人に対する対応について

 先週末、中国全人代の代表者が来札され、洞爺湖のウィンザーホテルを視察されたとお聞きしております。なぜなら、主要国サミットが行われ、胡錦涛主席も出席した会場を視察したいとのことでありましょう。これからも、サミット・アウトリーチ参加国22か国の要人が北海道を訪れる機会が増えてくると思いますが、むしろこういった方々に北海道の良さを最大限に知っていただけることが、これからの北海道にとって大切なことでもあります。どのような対応をされておられるのか、お聞きします。

 

所 管 知事政策部知事室国際課

答弁者 知事政策部長

 

各国要人に対する対応についてでありますが

○ 本道には、これまでも各国から多くの要人が来道しており、道としては、大使館や地元自治体など関係機関と連携を図りながら、歓迎行事の開催、視察先の選定及びアテンドなど可能な限りの対応に努めてきたところ。

 

○ こうした中、委員ご指摘のとおり、サミットを契機に外国要人の来道が一層増えのことが予想されることから、道としては今後とも、おもてなしの心を持ってお迎えするとともに、要人の来道を北海道の魅力を世界に発信する絶好の機会と捉え、環境や食・観光といった本道の優位性を積極的にアピールするとともに、本道への国際会議の誘致や外国人観光客の誘客が促進されるよう努めてまいる考え。

 

(八)  現在誘致している国際会議の進捗状況について

 ホスト・サミットの最後の質問でありますが、現在誘致を進めている会議は、日中韓首脳会議と太平洋島サミットでありますが、ご案内のとおり日中韓首脳会議は開催延期になりました。

 

 島サミット誘致の進捗状況はどうなっているのか、北海道誘致が決定した場合、どこの都市で行うのか、どのくらいの規模で、どのようなことをされるのか、お聞きいたします。

 

所 管  知事政策部知事室国際課

答弁者 知事政策部長

 

いわゆる太平洋・島サミットについてでありますが

○ 来年開催が予定されている「日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議」については、地球温暖化問題など太平洋島嶼国が直面する様々な課題について、率直に意見交換することにより、同地域の安定と繁栄に貢献しようとするもの。

 

○ 道としては、太平洋島嶼国とは、ともに美しい自然環境のもとで第一次産業や観光業を基幹産業とする一方、気候風土など相反する特性も併せ持ち異文化との交流による新たな活力が期待されることから、知事が外務省や総理官邸に要望するなど積極的な誘致活動を行ってきたところ。

 

○ 会議の開催規模や内容に関しては、前回の沖縄開催時には、14か国2地域が参加して2日間にわたって行われたところであり、今回も同規模と聞いているが、その内容については、今後、関係国との間で協議の上決定するものと承知。

 

○ また、候補者の選定については、現在、外務省の事前調査が全国各地で行われており、道内では、外務省の開催用件を満たすものとして、占冠村トマム、小樽市、釧路市がその候補として調査が行われたところ。

 

 道としては、今後とも、外務省との連携を密に情報収集を行っていくとともに、本道での開催の実現に向けて官民一体となって取り組んでまいりたい。


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議会報告 【平成20年 第1回北海道議会定例会 予算特別委員会(知事政策部所管)】 平成20年3月21日 「新たな手法による政策展開について」

金曜日, 3月 21, 2008

《 新たな手法による政策展開について 》
 

 

  
新たな手法による政策展開について
 
(一) 赤レンガ・チャレンジ事業について
(二) 民間企業等との協働による事業展開について
  

平成20年3月21日
質問者: 自民党・道民会議 千葉英守

 
新たな手法による政策展開について
 
(一) 赤レンガ・チャレンジ事業について
 
1 赤レンガ・チャレンジ事業の取組みについて

 道職員の知恵と工夫により、特別な予算を伴わない赤レンガ・チャレンジ事業については、平成17年度の事業開始から3年経過し、今年度は225本の事業が実施されていると承知している。まず、これまでの取組みについて伺う。
 
所 管: 知事政策部
答弁者: 知事政策部参事
 
赤レンガ・チャレンジ事業の取組みについてでありますが
○ 赤レンガ・チャレンジ事業は、予算措置を伴わずに、道庁が持つ多様な資源を効果的に活用して、様々な行政課題の解決や道民サービスの向上を図るため、平成17年度から、職員の知恵と工夫をこらした取組みとして実施してきたところ。
 
○ 具体的な事業について申し上げると、まず、道有施設を活用したものとしては、支庁庁舎ロビーを開放して、地元産品の宣伝・販売を行ったり、地域にゆかりのある演奏家によるミニコンサートを開催するなど、地域住民の方々がふれあい、楽しめる場の提供に努めている。
 
○ また、職員の経験・技術を活用した事業としては、北海道史をテキストに古文書の解読方法などを道民の皆様と学習する「古文書解読講座」や、水産業や海の生き物に関する子どもからの質問を受け付けて、分かりやすく説明して理解を深める「子ども相談窓口」を開設するなど、多くの世代の方々に事業に参加していただけるような取組みを展開しているところ。
 
 
2 地域に根ざした事業の展開について
 赤レンガ・チャレンジ事業は、本庁各部、教育長、北海道警察本部のほか各支庁において取り組んでいるところであり、とりわけ支庁においては、それぞれの地域の特性や課題を踏まえた特色ある事業の展開が期待されるが、具体的にどの様な取組みが行われているのか伺う。
  
所 管: 知事政策部
答弁者: 知事政策部参事
 
赤レンガ・チャレンジ事業の地域における取組みについてでありますが
○ 平成19年度に取組んでいる225事業のうち、支庁で実施するのは111事業と、全体の約半数を占め、各支庁とも積極的に取り組んでいるところ。
 
○ 地域の課題に対応した特徴的な取組みとしては、例えば、日高支庁において職員食堂を活用し、管内の旬の食材を使ったランチメニューを住民の皆様にも提供して、地産地消に積極的に取り組んだほか、北海道洞爺湖サミットの開催地を抱える胆振支庁では、支庁職員と教育局職員が連携して、周辺施設のパンフレットや資料などの英訳を行い、外国人の受け入れに備えるなどの取組みがなされているところ。
 
○ また、道民の皆様に少しでも親しんでもらおうと、ユニークなネーミングにより取り組んでいる事業もあり、「ジャックとえだ豆木事業」と名付け、子どもたちと枝豆などの栽培体験を行う後志支庁の事業や、「森林からのメリークリスマス」と名付け、クリスマスツリーを児童福祉施設へ贈呈し、地元間伐材の有効活用と木育の推進を図っている上川支庁の事業などがある。
 
3 今後の対応について
 特別な予算を伴わずに政策課題の解決や道民サービスの向上を図る赤レンガ・チャレンジ事業の重要性は、道財政が一段と厳しい中、今後ますます高まって行くと思う。この3年間で、平成17年度は160の事業、平成18年度は212の事業、そして平成19年度は225事業と実施する事業の数が推移してきている。事業の数が増えてきていることも重要ではあるが、それぞれの事業の質を高めていくことも大きなポイントである。今後、赤レンガ・チャレンジ事業をさらに浸透させ、より事業の効果を高めていくために、どのような方策で事業を進めていこうとしているのか見解を伺う。
 
所 管: 知事政策部
答弁者: 知事政策部次長
 
今後の対応についてでありますが
○ 赤レンガ・チャレンジ事業は、事業創設以来、各実施部局はもとより当部において、全庁的な観点で、事業の点検を行い、その成果や課題等を整理し、翌年度の企画立案に活かしながらより効果的な事業となるよう務めてきたところ。
 
○ 道としては、今後とも事業に参加された皆様からのご意見を頂くなど、様々な機会を通じてニーズの把握に努め、新たな事業の企画立案や既存事業の磨き上げに活かすとともに、ホームページにおいて事業開始のお知らせから実施状況まで広く紹介するほか、地域における効果的な取組みが、全道的に展開されるよう努めてまいりたい。
 
○ また、道民サービスのさらなる向上を図る観点から、民間企業に対しても、道が保有する施設や人材といった資源の活用について、積極的に働きかけ、民間の有するアイデアなど頂くなどしながら、赤レンガ・チャレンジ事業の一層の充実に努めてまいりたい。
 
4 事業展開のあり方について
 赤レンガ・チャレンジ事業は、予算も伴わず、知恵と工夫による取組みであるが、もっと展開を広げていくべきと考えるものである。道内のいろいろな地域における、暮らし・生活、農林水産業で働く人たちなどは、北海道にとって一つ一つが重要な要素である。こうした地域に根ざした姿をもっとクローズアップし、道民に知ってもらうということも必要ではないか。赤レンガ・チャレンジ事業の取組みの中で、こうした地域の良さを知ってもらうような事業展開をすることが、新しい観光スポットの発掘につながったり、環境への配慮といった行動につながっていくのではないかと考えるが、道としての考え方を伺う。
 
所 管: 知事政策部
答弁者: 知事政策部長
 
事業展開のあり方についてでありますが
○ 道としましてはこれまで、職員自らが汗をかき、知恵を出してさまざまな政策課題の解決や道民サービスの向上をめざし、赤レンガ・チャレンジ事業に取組んできたところであり、事業開始から3年を経過し、庁内に定着してきているものと認識。
 
○ 委員からご提言のありました、地域に根ざした姿をクローズアップし、これを発信していくという視点は、今後の事業展開を進めていく上で大切であると考えており、例えば、平成20年度は、北海道・洞爺湖サミットの年であることから、環境に関する地域の取組みを重点的に発信するということなども、進めていきたいと考えております。
 
○ 限られた資源の中で、道民ニーズに的確に対応した政策を展開していくためには、多様な手法を活用した、効果的な政策展開を図っていくことが重要であり、道としては、今後とも、赤レンガ・チャレンジ事業の取組を一層活発化させていきたいと考えております。
 
(二) 民間企業等との協働による事業展開について
 
1 民間企業等とのタイアップ事業について

 企業の社会貢献意識が高まっている中でこれからは、企業とのパートナーシップを活用して道民サービスの充実などに積極的に取り組んでいくことが重要なことと考える。道では、平成18年度から民間企業などとのタイアップ事業に取り組んでいるところだが、2年間の取組みについて伺う。
 
所 管: 知事政策部
答弁者: 知事政策部参事
 
タイアップ事業の取組についてでありますが
○ 道としては、多様化する道民ニーズに対応するため、広く民間から提案を募り、企業等の知識や経験、資金などを活かしながら公共サービスの充実を図る新しい政策展開の手法方として、昨年度から、「民間企業等とのタイアップ事業」に取り組んできたところ。
 
○ これまで、企業、NPO、大学などから70件ほどの提案をいただき、少子化フォーラムなど子育てイベントへのサンプル資材提供や講師の派遣、ポイント交換カタログでの授産製品の取り扱い、道産食材の弁当による産消協働の普及啓発などといった企業等の人材や資産などを活用した26件の事業を民間の皆さまとともに実施してきたところ。
 
2 民間企業との包括連携協定の効果について
タイアップ事業をさらに発展させて、6つの企業との間で複数の政策分野にわたって協働の取組を展開する包括的な連携協定を結んでいると承知しているが、企業との包括連携協定によってどのような効果をねらっているのか考えを伺う。
 
所 管: 知事政策部
答弁者: 知事政策部次長
 
民間企業との包括連携協定の効果についてでありますが
○ タイアップ事業に取り組んでいる企業などから、社会貢献などを目的として、幅広い分野にわたる政策展開への協力の申し出があり、道としても、企業の有する様々な資源を活かすことにより、より効果的な政策展開が可能になると考え、あらかじめ、複数の分野を設定し、多様な事業展開を可能とする包括連携に取り組み、これまでに6つの企業と協定を提携しているところ。
 
○ 道としては、こうした協定を通じ、例えば、企業の店舗網などを活用した食や観光ブランドの道内外へのPRや災害における物資の供給、職員参加による森づくりなど連携企業が持つ特色を活かした多岐にわたる政策効果を期待しているところ。
 
3 包括連携協定に基づく事業展開について
 連携企業の様々な資源を活かすことで、道庁だけでは難しかった様々な施策の展開が可能となったと考えるが、連携協定による取組を通じてどのような成果があったのか伺う。
 
所 管: 知事政策部
答弁者: 知事政策部参事
 
包括連携協定の取組の成果についてでありますが
○ 道では、現在、食品会社、コンビニエンスストアそれぞれ2社、商社、金融機関それぞれ1社と協定を締結し、

  • 「暮らしの安心・安全」では、災害時の物資の支援協定
  • 「食」の分野では、スーパーマーケットでの道産品の販路拡大
  • 「観光」については北海道遺産のポストカードの全国配布などを展開

 
○ また、本年7月に開催される「北海道洞爺湖サミット」に関連して、カウントダウンボード設置やペットボトルの売上寄付と言った「北海道洞爺湖サミット道民会議」への支援があったほか、「地域振興」の関連では、オホーツク・エリアのイベントの紹介や協力、留萌地区での起業家支援セミナーの開催などが行われており、北海道の様々な魅力の発信や地域づくりといった面から、一定の成果がえられているものと認識。
 
4 連携事業の今後の取組について
 企業社会貢献意識の高さと協働による事業の効果についてはわかったが、これらの道政展開においては、こうした企業をはじめ多くの方たちの力をお借りしながら進めていくことが、これまで以上に必要である。これまでの待ちの姿勢を一歩進め、例えば「北海道の食」について、調理師団体と協力してレベルアップを図るといった、北海道を活性化する重要なテーマに関連する取組について道から連携企業に積極的に働きかけるなど、事業展開の充実を図るべきと考えるが、道として今後どのように取り組んでいこうとしているのか伺う。
 
所 管: 知事政策部
答弁者: 知事政策部長
 
連携事業の今後の取組についてでありますが
○ 多様な住民ニーズと政策課題に的確に対応していくためには、企業の社会貢献の意識の高まりなどを踏まえ、民間のアイデアや資産を活かした、知恵と工夫を凝らした施策の展開を図っていくことが重要と認識。
 
○ このため、道としては、今後とも、包括的に連携するパートナー企業を増やしていくとともに委員かあらご指摘のあった「北海道の食」の高付加価値化や観光プロモーションの全国展開といった企業にとって実施することが可能なアイデアを提供するなどして、私どもから積極的に出向く姿勢をもって様々な企業からの参画を則促し、民間企業との協働による取組が厚みと広がりのあるものとなるよう努めてまいる考え。


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議会報告 【平成20年 第1回北海道議会定例会 予算特別委員会(企画振興部所管)】 平成20年3月21日 「市町村財政について」

金曜日, 3月 21, 2008

《 市町村財政について 》
 

 

 

(一) 地方交付税について
(二) 道路特定財源に係る暫定税率について
(三) 公立病院改革ガイドラインについて

 
平成20年3月21日
質問者: 自民党・道民会議 千葉英守

 
市町村財政について
 
(一) 地方交付税について

 
1 市町村財政への影響について
 ねじれ国会の下で、地方交付税法改正案の3月31日までの成立が危ぶまれております。これが万が一成立しないとなると、4月に各自治体に概算交付される交付額が大幅に縮小し、財政運営に大きな支障が出ることが憂慮されております。市町村財政にどのような影響が出ると考えているか伺います。
 
所 管: 企画振興部地域振興・計画局市町村課
答弁者: 市町村課長
 
市町村財政への影響についてでありますが
○ 今国会に提案されている地方交付税法等の改正案が、年度内に成立しない場合には、道内市町村における地方交付税の4月の概算交付額が140億円程度減少することも見込まれることから、市町村によっては資金繰りに影響が生じるものと考えられる。
 
○ また、この改正案では、平成20年度及び平成21年度の交付税特別会計借入金の償還を平成26年度以降に繰り延べること等により、必要な地方交付税総額の確保を図ることとしており、仮にこの改正案が成立しない場合には、市町村財政に大きな影響があるものと考えている。
 
2 解消策について

 こうした事態を避ける手立てがないのか伺います。
 
所 管: 企画振興部地域振興・計画局市町村課
答弁者: 地域振興・計画局長
 
地方交付税法等の改正案が、仮に年度内に成立しない場合の対応についてでありますが
○ 法案が年度内に成立しないことになれば、市町村の資金繰りに影響が生じる場合があり、市町村によっては事業着手の時期の先送りや資金繰りのための一時借入金などのより対処しなければならない場合もあると考えている。
 
(二) 道路特定財源に係る暫定税率について
 
1 市町村税への影響について

 道路特定財源に係る暫定税率も3月31日で期限切れとなることが現実味を帯びてきております。こうした場合、市町村の税収にどのような影響を及ぼすのか伺います。
 
所 管: 企画振興部地域振興・計画局市町村課
答弁者: 市町村課長
 
仮に道路特定財源にかかる暫定税率が廃止される場合の市町村税収への影響についてでありますが
 
○ 道路特定財源の暫定税率が廃止された場合、道内市町村においては、平成18年度決算を基に試算すると、地方贈与税などで年間275億円程度の減収となることが見込まれ、何らかの財源措置が講じられなければ、市町村が行う道路の整備や維持補修、冬期間の除排雪等に充てている財源に影響が生じるものと考えている。
 
2 解消策について
 こうした事態を避ける手立てがないのか伺います。
 
所 管: 企画振興部地域振興・計画局市町村課
答弁者: 地域振興・計画局長
 
仮に暫定税率が廃止された場合の影響に対する対応についてでありますが
○ そのような場合は、地域にとって不可欠な道路の整備や維持補修、除排雪等に要する経費については、国に必要な財政措置を求めていかなければならないものと考えている。
 
(三) 公立病院改革ガイドラインについて
 
1 平成18年度決算について
 
 次に、公立病院ガイドラインについて伺います。地方財政健全化法の制定により、市町村病院の赤字の解消が急がれます。そこでまず、道内市町村立病院の経営実態について、平成18年度決算ではどうなっているのか、経常収益が赤字となった市長村数と赤字の額、また、不良債務を抱える市町村数と不良債務の額について伺います。
 
所 管: 企画振興部地域振興・計画局市町村課
答弁者: 市町村財政健全化支援室長
 
平成18年度における市町村立病院の決算状況についてでありますが
○ 道内の市町村が経営する83の病院事業全体の経常収益は、2,179億7千7百万円、経常費用は186億1百万円の赤字となっている。このうち、経常収支が赤字の事業は、69事業で全体の83%を占め、赤字の額は、191億6千4百万円と前年度に比べ73億4千3百万円増加している。
 
○ また、不良債務を生じている事業は24事業で不良債務の額は、220億3千7百万円と前年度に比べ75億3千3百万円増加している。
 
2 赤字の要因について
 赤字の要因について、どのように捉えているか伺います。
 
所 管: 企画振興部地域振興・計画局市町村課
答弁者: 市町村財政健全化支援室長
 
赤字の要因についてでありますが
○ 平成18年度の決算では、医業収益が1,915億6千6百万円で前年度に比べて142億2千3百万円、6.9%減少した一方、医業費用は、2,242億1千万円で前年度に比べて54億2千4百万円、2.4%の減少にとどまったところであり、経費の節減努力を上回る減収となったことによるものと考えているところ。
 
○ 医業収益の減については、近年における診療報酬のマイナス改定や医師不足などによる診療体制の縮小に伴う収入の減の影響が大きいものと考えている。
 
3 一般会計からの繰出基準について
 ガイドラインでは、一般会計からの繰出基準について、各市町村が定めることとされておりますが、道としては、どう助言していくのか伺います。
 
所 管: 企画振興部地域振興・計画局市町村課
答弁者: 地域振興・計画局長
 
一般会計からの繰り出しについてでありますが
○ 病院事業にあっては、自治体病院が担っているへき地医療や救急医療の確保、高度医療に要する経費など、効率的な経営を行ってもなおその収入では不足すると認められる経費については、一般会計が負担するものとして国において繰出基準が定められているところ。
 
○ また、この度、示されたガイドラインでは、一般会計が病院事業に対し負担すべき額について、地域医療の確保のために果たす自治体病院の役割や診療科目、病床数などの医療の提供体制を踏まえて、一般会計等において費用負担が行われるべきものの範囲を明らかにすることとされている。
 
○ このため、道としては、こうした考えに沿って、各市町村において、定められた繰り出しのルールに基づき、適正に繰り出しが行われ、病院事業の経営健全化が図られるよう、市町村財政の健全化も含め積極的に助言して参る。
 
4 経営の効率化について
 ガイドラインでは、経営の効率化として3年以内の「経常収支の黒字」の達成を目標にするとされておりますが、不良債務を抱える病院がそう簡単に達成できるとは思われません。道としてはどのような助言を行っていくのか伺います。
 
所 管: 企画振興部地域振興・計画局市町村課
答弁者: 地域振興・計画局長
 
公立病院経営の効率化についてでありますが
○ 経営効率化や収支の改善に向けてはそれぞれの病院が提供すべき医療機能を十分検討し、診療科目や病床数等の見直しを行うとともに、現に多額の不良債務を有している事業では、公立病院特例債の活用をはじめ、この度、拡充が図られた地方財政措置を最大限活用して経営改善の取組みを早急に進める必要があると考えている。
 
○ 道としては、このような観点から、地域医療の確保と病院経営の健全化を図るため、経営改善の必要な病院ごとに設置している「市町村立病院の運営に関する連絡協議会」において、それぞれの病院の実情に応じた対応について検討・協議を進めるなど、市町村立病院の経営効率化に向け、適切に対応して参る。
 
5 経営形態の見直しについて
 ガイドラインでは、都道府県の役割として、「再編・ネットワーク化」と「経営形態の見直し」をセットにし、市町村と共同して自ら計画、構想等を策定することも含め、積極的に参画することが強く求められております。道は、「再編・ネットワーク化」については、30の圏域による構想を示しておりますが、「経営形態の見直し」には、道は、どう取り組んでいくのか伺います。
 
所 管: 企画振興部地域振興・計画局市町村課
答弁者: 地域振興・計画局長
  
経営形態の見直しについてでありますが
○ 自治体病院等広域化・連携構想においては、地域における検討に当たって考慮すべき事項として経営形態に関することを掲げており、地方公営企業法の全部適用のほか、地方独立行政法人化、指定管理者制度など、民間的な経営手法を導入した多様な経営形態も考えられることから、これらについての柔軟な検討が必要である、としているところ。
 
○ 道としては、地域ごとに様々な実情があり、一律の考え方で行うことはできないものの、それぞれの市町村が地域の実態を踏まえて経営形態に関する検討を行い、的確な選択が行われることが重要であると考えており、道内外における様々な経営形態の関する情報提供を行うなど、必要な助言に努めて参る。
 
6 改革工程表について
 
 各市町村が、このガイドラインを踏まえ、病院経営の立て直しを進めるためには、各市町村が個々に進めるのではなく、ある程度歩調を合わせる必要があると考えます。そのためには、道がスケジュールや手順を盛り込んだ改革工程表を示し、それに基づき検討作業を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 
所 管: 企画振興部地域振興・計画局市町村課
答弁者: 企画振興部長
 
公立病院改革プランの検討についてでありますが
○ 地域医療を取り巻く環境や市町村の財政状況が厳しさを増す中で、市町村においては、早急に病院経営の健全化を推進する必要があると考えている。
 
○ このため、道としては、市町村において、平成20年度中に改革プランを策定されるよう、速やかに説明会を開催し、周知徹底を図るとともに、地域の実情に応じて公立病院改革が着実に推進されるよう、その推進状況を把握しながら、必要な情報提供や助言に努めるなど関係部が連携し、地域医療の確保と病院事業の健全な経営に向けた取り組みを積極的に推進して参る。


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