議会報告 【予算特別委員会】 平成22年12月6日 「児童虐待防止対策等について」

月曜日, 12月 06, 2010

≪児童虐待防止対策等について≫

 

 

(一) 児童福祉司の配置状況等について

(二) 児童の安全確認について

(三) 児童虐待に係る福祉部門と教育部門の連携について

(四) 検診等による乳幼児の状況把握について

(五) 一時保護所の入所状況等について

(六) 児童養護施設入所児童等の就業支援について

(七) 心の里親会等について

 

平成22年12月6日

質問者 :自民党・道民会議 千葉 英守

 

 

 児童虐待防止対策について伺う。

 児童虐待の相談件数は年々増加を続けている。厚生労働省の取りまとめによれば、平成21年度に全国の児童相談所が受理・処理した相談件数は、4万4,211件、北海道においても、1,675件といずれも過去最多となっている。また、虐待により幼い子どもの命が奪われたり、心身ともに大きな傷を負ったりといった痛ましい事件の報道が連日のようになされている。本当に残念でならない。

 こうした児童虐待を防止するためには、虐待を早期発見するための取組や体制の整備、関係機関の連携強化など、これまで以上の対策が必要と考える。そこで以下、何点か伺う。

 

 

(一) 児童福祉司の配置状況等について 

 

 児童虐待や、養育問題、非行、障がいなど、児童に関する様々な問題に対応する専門機関として設置されている児童相談所においては、専門職である児童福祉司が中心となって、面接や確認・調査、具体的な指導や支援、法的な措置などの対応をとっていると承知しているが、道の児童相談所における児童福祉司の配置状況は、どのように推移してきているか伺う。

 また、道の児童相談所では、児童福祉司一人あたりの相談処理件数、および全国と比較しどのような状況にあるかを伺う。

 

 

所 管 : 保健福祉部子ども未来推進局

 

答弁者 : 子ども未来推進局参事

 

 

 児童福祉司の配置状況等についてでありますが、

  

○ 道としては、児童相談所が地域における専門的機関として、その機能を十分に発揮できるよう、体制の充実に努めているところ。

○ 本道8か所の児童相談所の児童福祉司の配置については、児童虐待防止法が施行された平成12年度は44名でありましたが、厳しい職員数適正化計画の中にあっても、平成14年度に10名、17年度に8名、21年度に4名、更に22年度に4名増員し、現在70名が配置されているところ。

○ また、児童福祉司1人当たりの相談対応件数については、平成21年度の全国の児童福祉司1人あたりの相談対応件数153人に対し、本道の児童福祉司1人あたりの相談対応件数は214件となっており、全国平均を3割程度上回っているところ。

 

 

 

(二) 児童の安全確認について

 

 虐待は、子どもの生命にかかわる問題であり、迅速な安全確認を行うことが極めて重要である。児童虐待防止法により、児童虐待を受けたと思われる子どもを発見した者は、速やかに市町村や児童相談所に通告することとされている。そして、虐待通告があった場合に、児童相談所は速やかに児童福祉司等が、直接目視等の方法により、その子どもの安全確認することとされている。

 道の児童相談所では、こうした虐待通告があった場合に、どのように安全確認しているかを伺う。

 

 

所 管 : 保健福祉部子ども未来推進局

 

答弁者 : 子ども未来推進局参事

 

 

 児童の安全確認についてでありますが、

 

○ 国の児童相談所運営方針指針において、虐待通告を受けた場合の子どもの安全確認は48時間以内とすることが望ましいとされているところであり、本道においても、国の指針に沿って、虐待通告受理後48時間以内の速やかな安全確認の徹底を図るとともに、緊急性が認められる場合には、通告受理後、ただちに安全確認を実施することとしているところ。

 

○ また、安全確認にあたっては、児童福祉司などの児童相談所職員や、児童相談所が依頼した市町村職員など2名以上による直接目視による確認を原則とし、保護者の不在や協力が得られない場合等、安全確認に行えないような場合には、警察等関係機関の協力を得て、速やかに対応することとしている。

 

 

 

(三) 児童虐待に係る福祉部門と教育部門の連携について

 

 児童の安全確認、虐待への早期対応や適切な保護を行うためには、関係機関が早い段階からその児童に関する情報等を共有し、適切な連携の下で対応していくことが重要である。本年1月に発生した、東京都江戸川区での小学1年生虐待死亡事件では、福祉担当部門(児童相談所)と、教育部門(小学校)との連携が不十分であったことが指摘され、このことを踏まえ、本年3月には、厚労省と文科省が、「学校及び保健所から市町村又は児童相談所への定期的な情報提供に関する指針」を、各都道府県、政令市、各都道府県・政令市教育委員会等に通知している。道では、この指針の通知を受け、福祉部門と教育部門の連携について、どのような取り組みを進めているか、伺う。

  

 

所 管 : 保健福祉部子ども未来推進局

 

答弁者 : 子ども未来推進局参事

 

 

 福祉部門と教育部門の連携についてでありますが、

 

○ 本年3月に厚労省及び文科省から示された「学校及び保健所から市町村又は児童相談所への定期的な情報提供に関する指針」では、要保護児童対策地域協議会において、児童虐待ケースとして扱っている児童の欠席状況などについて、学校等から定期的に情報提供を受けるなどの対応が求められており、そうした取扱いについて、市町村等へ周知するとされているところ。

 

○ 道及び道教育委員会においては、本指針を速やかに市町村や市町村教育委員会に通知し、周知を図るとともに、児童相談所においても、自ら必要と判断した被虐待児童については、学校等からの定期的な情報提供が行われるよう、その徹底を図ったところ。

 

○ また、本年6月には、児童相談所が定期的な情報提供を受ける場合の参考例を作成し、市町村教育委員会や市町村、児童相談所に周知しており、今後とも、地域の関係機関の情報交換や連携がさらに円滑に進むよう、市町村等への助言等に努めてまいる。

 

 

 

(四) 検診等による乳幼児の状況把握について

 

 乳幼児健康診査については、第3回定例道議会で同僚議員からの質問により、道内では1歳6か月児健診、3歳児健診合わせて約5,000人の未受診が明らかになった。

 この健診は、疾病の早期発見、健康の保持のほか、育児支援の必要な家庭の把握にもつながり、児童虐待の早期発見という面からも重要な取り組みである。

 国が本年7月にまとめた「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について」では、乳幼児健康診査の未受診は子ども虐待のリスク要因の一つと考えられていることからも、未受診者を含めた全乳幼児の状況把握に努めていくことが大切であると考える。道としては、これまでどのように対応してきたか、また今後どのように対応していくのか、見解を伺う。

 

 

所 管 : 保健福祉部子ども未来推進局

 

答弁者 : 子ども未来推進局長

 

 

 検診等による乳幼児の状況把握についてでありますが、

 

○ 道としては、乳幼児健診は疾病の早期発見、健康の保持のほか、育児支援の必要な家庭の把握にもつながることから、対象となるすべての乳幼児の受診が大切なことと考えており、今般、市町村における未受診者への対応状況について調査したところ。

 

○ その結果、すべての市町村において、電話、文書、家庭訪問等により、未受診者への受診勧奨が行われておりますが、データを所有していないとの回答があった札幌市、旭川市を除き、所在を確認できず、連絡が取れない乳幼児は、1歳6か月児で53名、3歳児で138名に上ったところ。

 

○ 道としては、今後とも、市町村に対して、居住実態がない場合には、本年8月の総務省通知を踏まえ、関係部局とも連携し、適切に対応するよう、助言、指導するとともに、未受診者の解消に向けて、さらに市町村に対し、受診勧奨に向けた取組を強めるよう働きかけてまいる。 

 

 

 

 (五) 一時保護所の入所状況等について

 

 児童虐待のケースなど、子どもの安全確保のために急を要する場合などには、児童相談所は職権または保護者の同意により、その子どもを一時保護する権限を有している。このため、児童相談所には、保護した子どもたちが生活するための一時保護所が設けられているが、道の児童相談所の一時保護所における入所状況はどうなっているか。また、適切な生活環境を確保するため、一時保護所ではどのような取り組みを行っているかを伺う。

 

 

所 管 : 保健福祉部子ども未来推進局

 

答弁者 : 子ども未来推進局参事

  

 

 一時保護所の入所状況等についてでありますが、

 

○ 平成21年度における、道内8か所の児童相談所の一時保護所への入所児童数は994名であり、一日あたりの平均入所児童数は、入所定員の158名に対し、51名となっている。

 

○ また、一時保護所に保護される児童は、その年齢、性別、生活環境、保護された理由など様々であることから、男女別の居室とすることはもとより、保護した背景や年齢構成等を考慮したうえで居室を分けるなど、施設の整備状況を踏まえたうえで、プライバシーに配慮するなど、できるだけ一人ひとりの状況に応じた適切な援助に努めてまいるところ。

 

○ なお、一時的に入所が集中した場合や、学習機会の確保などが必要な場合には、児童養護施設や里親等への一時保護委託の活用を図るなどして、対応しているところ。

 

 

 

(六) 児童養護施設入所児童等の就業支援について

 

 虐待等により、保護者と一緒に生活できない子どもたちは、児童養護施設等で生活することとなるが、一定の年齢になると、施設を退所することとなる。その際、就職や進学といった退所後のことが問題となるが、昨今の雇用情勢が大変厳しいことに加え、相談に乗ってくれる家族がいない、雇用側がそれまでの事情について必ずしも十分に理解してもらえないといったことから、就職については大変厳しい状況にある。

 私は、こうした子どもたちの自立に向けては、一般の子ども以上の支援が必要であると考えるが。道はこうした子どもたちの自立支援についてどのように取り組んでいく考えなのかを伺う。

 

 

所 管 : 保健福祉部子ども未来推進局

 

答弁者 : 子ども未来推進局参事

 

 

 児童養護施設入所児童等の就業支援についてでありますが、

  

○ 児童養護施設等で生活する子どもたちの中には、対人関係を築くことが苦手であったり、家庭からの支援が得られない子どもも多いことから、個々の子どもの性格や事情などに応じたきめ細やかな相談や就職先の開拓、就職後の職場訪問など、一人ひとりの実情に沿った支援が必要であると考えているところ。

 

○ このため、道では、本年1月から、子どもたちが希望する職種や業種、あるいは身につけたい技能や知識などの意向を十分踏まえたうえで、面接等のトレーニング、資格取得のためのアドバイス、子どもたちに合った職場開拓、さらには、就労後のフォローアップなどを行う事業を、職業紹介や人材派遣に人材派遣のある企業に委託して実施しているところ。

 

○ 道としても、今後とも、こうした民間のノウハウも活用しながら、学校はもとより、職業訓練施設などとも連携を図り、児童養護施設等を退所する子どもたちに対する親身できめ細やかな就職支援に一層努めてまいりたい。

 

  

 

(七) 心の里親会等について

 

 虐待や両親の死亡等の理由で児童養護施設に入所している子どもたちについて、国や地方公共団体のみならず社会全体で支えていかなければならないと考えているが、こうした子どもたちを50年以上に亘り、支援し、交流を続けている「社団法人 心の里親会」や、こうした子どもたちに対する奨学金支給を行っている「財団法人 心の里親奨学会」といった素晴らしい団体がある。

 道として、こうした支援の意義や団体の活動をどう評価しているのか、また、こうした団体に対してどのように対応していくのか伺う。

 

 

所 管 : 保健福祉部子ども未来推進局

 

答弁者 : 保健福祉部長

 

 

 心の里親会等についてでありますが、

 

○ 心の里親会は、長年にわたり、文通や施設訪問、絵画・書道展・作文コンクールの実施、クリスマスプレゼントなどの心温まる活動により、児童養護施設に入所している子どもたちとの心の交流を続けており、また、心の里親奨学会は、奨学金により、これまで多くの子どもたちに学びの機会を提供し、立派な社会人としての巣立ちを支えてこられたところ。

 

○ 両団体のこうした取り組みは、子どもたちの豊かな心の育成をはじめ、物心両面で子どもたちを支えるものであり、支援が必要な子どもたちを社会全体で支える観点から、大変有意義で、他の模範となると考えているところ。

 

○ 道としては、昨年開催された心の里親会創立50周年記念式典には、知事自ら出席し、祝辞と感謝を述べさせていただいたほか、毎年、心の里親会が開催する児童養護施設児童の絵画・書道展には知事賞を贈呈しているところであり、今後とも、こうした団体との連携に努めていくとともに、様々な機会を捉えて、団体の活動を紹介、PRするなど、その周知を図りながら、こうした活動による子どもたちへの支援の機運がさらに広がるように努めてまいりたい。

 

 

 



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